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官公需を活用してEMOROCO CRM Liteを届ける【連載④】入札案件・発注担当者との関係管理をCRM上で設計する
こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。
前回までは、官公需の全体像とEMOROCO CRM Liteを提案する際の切り口をご紹介しました。
第4回となる今回は、実際にCRM上でどう設計すればよいかをエンティティ・フィールドレベルまで踏み込んで解説します。
官公需を狙う企業への提案時に、そのまま設計のたたき台として使っていただける内容です。
目次
1.設計の全体思想:発注機関を起点にする
2.エンティティ設計の詳細
3.リレーションシップ設計:親子関係の組み方
4.BPFによる案件プロセスの可視化
5.ワークフローによる自動化
6.バリデーション設計:入力ミスを防ぐ
7.ダッシュボード設計:見るべき指標
8.実践例:一つの案件のライフサイクルを追う
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ
1. 設計の全体思想:発注機関を起点にする
官公需の管理設計で最初に決めるべきは、「何を中心にデータを組み立てるか」です。
一般的な民間営業では「取引先企業」を起点にしますが、官公需の場合は「発注機関(省庁・自治体・部署)」を起点に置くことをおすすめします。
理由は、発注担当者は異動しますが、発注機関そのものは存続し続けるからです。
担当者個人ではなく、発注機関という組織の単位で関係性を蓄積していくことが官公需管理における設計の要となります。
2. エンティティ設計の詳細
具体的なエンティティとフィールドの設計案を示します。
発注機関エンティティ
| フィールド名 | 型 | 備考 |
|---|---|---|
| 発注機関名 | テキスト | 省庁名・自治体名・部署名 |
| 区分 | 選択肢 | 中央省庁/都道府県/市区町村 |
| 所在地 | テキスト | |
| 統一資格・入札参加資格の登録状況 | 選択肢 | 未登録/申請中/登録済み |
| 過去の取引実績 | 数値 | 累計受注件数など |
担当者エンティティ(取引先担当者の応用)
| フィールド名 | 型 | 備考 |
|---|---|---|
| 氏名 | テキスト | |
| 所属部署 | テキスト | |
| 役職 | テキスト | |
| 連絡先 | テキスト | |
| 感情温度 | 選択肢 | Hot/Warm/Cool/Cold |
| 異動履歴メモ | 非定型データ(活動) | 異動時の引き継ぎ内容 |
案件エンティティ
| フィールド名 | 型 | 備考 |
|---|---|---|
| 案件名 | テキスト | |
| 入札形式 | 選択肢 | 一般競争入札/指名競争入札/随意契約/オープンカウンタ |
| 公示日 | 日付 | |
| 応札締切日 | 日付 | |
| 予定価格帯 | 数値 | バリデーションで最小値0を設定 |
| ステータス | 選択肢(BPF) | 情報収集/提案準備/応札/結果待ち/履行/完了 |
実績エンティティ
| フィールド名 | 型 | 備考 |
|---|---|---|
| 受注案件名 | テキスト | 案件エンティティと紐づけ |
| 履行状況 | 選択肢 | 履行中/完了/一部未了 |
| 評価コメント | 非定型データ | 発注機関からのフィードバック |
| ナーチャリングスコア | 数値 | 関係性の客観評価 |
3. リレーションシップ設計:親子関係の組み方
リレーションシップ管理機能を使い、次のような親子関係を設計します。
・発注機関(親)→ 担当者(子):1つの発注機関に複数の担当者が所属する
・発注機関(親)→ 案件(子):1つの発注機関から複数の案件が発生する
・案件(親)→ 実績(子):1つの案件に対して、履行後の実績が1件紐づく
・担当者(親)→ 活動履歴(子):担当者ごとに、面談・電話・メールのやり取りを記録する
この構造により、「ある発注機関を開けば、その機関に紐づくすべての担当者・案件・過去の実績が一覧できる」という状態を作れます。
担当者が異動しても発注機関という単位で情報が保持され続けるため、後任の担当者との関係構築をゼロからではなく、これまでの経緯を踏まえて始められます。
4. BPFによる案件プロセスの可視化
Business Process Flow(BPF)を使い、案件のステータスを次のようなステージとして定義します。
1.情報収集:案件情報を把握した段階
2.提案準備:提案書・見積書を準備している段階
3.応札:入札・見積を提出した段階
4.結果待ち:発注機関からの結果通知を待っている段階
5.履行:受注し、実際の納品・サービス提供を行っている段階
6.完了:履行が完了し、実績として記録された段階
このステージを可視化することで、「今どの案件が、どの段階で止まっているか」が一目で分かるようになり、応札の締切に間に合わなかった、といった機会損失を防げます。
5. ワークフローによる自動化
ワークフロー機能を使い、次のような自動化を組み込みます。
・応札締切日の一定期間前に、担当者へリマインド通知を送る(トリガー:日付の条件、アクション:LINE通知)
・案件のステージが「結果待ち」から進まないまま一定期間が経過したら、フォローアップを促す(トリガー:更新なし、アクション:通知を送る)
・担当者の異動が記録されたら、後任担当者への引き継ぎタスクを自動作成する(トリガー:担当者エンティティの更新、アクション:レコードを作成)
これらの自動化により、「締切を逃してしまった」「担当者交代に気づかなかった」といった官公需営業特有のヒヤリハットを防げます。
詳しくは承認ワークフロー機能ガイドで紹介している考え方も応用できます。
6. バリデーション設計:入力ミスを防ぐ
バリデーション設定を使い、次のようなルールを組み込みます。
- 予定価格帯フィールドに「最小値0」を設定し、マイナス値の入力を防ぐ
- 応札締切日フィールドを必須入力とし、入力漏れを防ぐ
- 入札形式フィールドを選択肢形式にし、表記ゆれ(「一般競争」「一般競争入札」など)を防ぐ
こうした入力ルールの整備は、複数の担当者が案件情報を入力する体制になったときに、特に効果を発揮します。
7. ダッシュボード設計:見るべき指標
官公需管理のダッシュボードでは、次のような指標を可視化することをおすすめします。
- 応札締切が近い案件の一覧
- 発注機関別の累計受注件数
- ステージ別の案件件数(情報収集・提案準備・応札・結果待ちなど)
- 感情温度別の担当者一覧(関係性の温度感の分布)
これらを個人ダッシュボードのウィジェットとして組み込むことで、日々の営業活動の中で自然に確認できる状態を作れます。
8. 実践例:一つの案件のライフサイクルを追う
具体的に、ある自治体の案件を例に、ライフサイクルを追ってみます。
1.発注機関エンティティに「〇〇市 総務部」を登録し、担当者として「田中様」を紐づける
2.田中様との説明会での面談をきっかけに、感情温度を「Warm」で記録する
3.〇〇市が新しい案件を公示したタイミングで、案件エンティティに登録し、BPFのステージを「情報収集」にする
4.提案準備を進め、ステージを「提案準備」に更新する
5.応札締切の3日前にワークフローが自動でリマインド通知を送る
6.応札後、ステージを「結果待ち」に更新する
7.受注が決まったら、実績エンティティを作成し、履行状況を記録する
8.履行完了後、評価コメントを記録し、次回提案の参考にする
9.後日、田中様が異動したという情報を得たら、担当者エンティティを更新し、後任の担当者情報を新たに登録する。過去の経緯はすべて発注機関エンティティに紐づいたまま残る
このように、担当者個人ではなく発注機関を軸に情報を積み重ねていくことで、「異動によって関係性がリセットされる」という官公需営業特有の課題を構造的に解消できます。
9. よくある質問(FAQ)
Q. この設計は、どのくらいの期間で構築できますか?
基本的なエンティティ・フィールド・リレーションシップの設計であれば、数日程度で構築可能です。
ワークフローやダッシュボードの調整を含めても、数週間程度で運用を開始できる規模感です。
Q. 複数の営業担当者で、同じ発注機関を分担して管理できますか?
はい。
セキュリティロールとフォームごとの権限管理を使えば、担当者ごとに見える範囲を分けながら発注機関という単位でのデータ共有が可能です。
Q. 入札情報サイトとの連携はできますか?
標準機能としての自動連携は用意していませんが、外部コネクタ機能を使った連携を検討することは可能です。
Q. この設計は、官公需以外にも応用できますか?
はい。
「発注機関」を「取引先企業」に置き換えれば、担当者の異動が多い業界(人事異動の多い大企業向け営業など)にも同様の考え方を応用できます。
10. まとめ
官公需における関係管理の設計のポイントは、担当者個人ではなく「発注機関」を起点に情報を組み立てることです。
エンティティ・リレーションシップ・BPF・ワークフロー・バリデーション・ダッシュボードという6つの要素を組み合わせることで、担当者の異動があっても関係性が途切れない官公需特有の営業管理を実現できます。
次回は、官公需適格組合など中小企業が連携して受注機会を広げる仕組みとの関わり方を掘り下げます。
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