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知識創造研究室 by CRM(xRM)

なぜ私はCRMを作り続けるのか — CRMの第一人者が語るアーカス・ジャパンの原点と使命

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

よく驚かれますが、私はホームレスでした。

高校を卒業した後すぐに親を亡くし、居場所がなくなりました。
今でいう「社会的孤立」という状態でした。
お金もない、仕事もない、頼れる人もいない。それが私のスタート地点です。

2001年、19歳の私が最初に就いた仕事はシステムエンジニアでした。
なぜITを選んだかといえば、「実力さえあれば出自は関係ない」と感じたからです。
学歴がなくても、人脈がなくても、コードを書く技術があれば評価される。その感覚は正しかった。
入社から1年でWebエンジニアのトップ技術者(アーキテクト)として就任しました。

その経験が、私の人生の信念を作りました。

「置かれた環境に規定されず、自分の可能性を自分で拓く」

この信念が、後にCRM4.0の思想と繋がることになるとは、当時の私には想像もできませんでした。


CRMとの出会い——「顧客との関係を管理する」という言葉への違和感

2003年、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(現アクセンチュア)の創設メンバーとして移籍しました。
大企業の基幹システム・CRM導入プロジェクトに関わる中で、私はずっと違和感を持ち続けていました。

「顧客関係管理(CRM)」という言葉への違和感です。

「管理」という言葉が引っかかっていました。
CRMのベースは、カスタマーインサイト(顧客の深層心理)にアプローチする「リレーションシップマーケティング」というマーケティング手法なのにです。
顧客は「管理される対象」ではない。
顧客は人間です。
感情があり、価値観があり、人生の文脈がある。
その人に「管理」という概念を当てはめることへの、拭えない居心地の悪さがありました。

でも当時は、それを明確な言葉にできませんでした。


マイクロソフト時代——CRM2.0の提唱とWorldwide表彰

2006年に渡米し、米系ソフトウェア会社でCRM領域の知見を深めました。
翌2007年、日本マイクロソフトからの声がかかり、Dynamics CRMの製品担当として事業部設立に参画しました。

この時期に、私はCRM2.0という概念を提唱しました。

CRM1.0が「顧客情報を記録・管理するシステム」だったとすれば、CRM2.0は「顧客との関係をプラットフォームとして設計する」という発想の転換でした。
xRM(anything Relationship Management)——「顧客だけでなく、あらゆる関係をマネジメントする」という概念です。

この提唱がWorldwide(WW)で表彰されました。
「やっと自分の考えが世界に届いた」という感覚がありました。
現に、今のマーケティング(CRM)の世界の基本概念はこのCRM2.0をベースに動いてます。

しかし、私の中の違和感は消えていませんでした。
むしろ大きくなっていました。CRM2.0でも、まだ「管理」の発想から抜けきれていない。
関係性を「設計する」のはいい。
でも、顧客の感情・価値観・深層心理——数値にできないものを、どうシステムが扱えるのか。
この問いが頭から離れませんでした。


独立——「自分にしか作れないCRMがある」という確信

2012年、マイクロソフトをスピンアウトし、独立してCRMチームを立ち上げました。

なぜ大企業のポジションを捨てたのか。

「組織の中にいる限り、自分が本当に作りたいCRMは作れない」という確信があったからです。
大企業には大企業の論理があります。
「売れるものを作る」「既存の市場に応える」——それは正しい。
でも私が作りたいのは「まだ誰も定義していない本当のCRM」でした。

「顧客の感情に共鳴するCRM」「管理ではなく共創のCRM」——この概念を製品にするには、自分でゼロから作るしかありませんでした。

2015年にアーティサン株式会社でCRM事業本部を立ち上げ、2020年に分社・独立してアーカス・ジャパン株式会社を設立しました。


アーカス・ジャパンという名前の意味

「アーカス(Arcuss)」という名前は、造語です。

"AR"tists for "CU"stomer "S"ucce"S"——「顧客成功のための職人集団」

なぜ「専門家集団」ではなく「職人集団」なのか。専門家は「知識を持っている人」ですが、職人は「作れる人」です。CRMについて語れる人は世界中にいますが、顧客の現場で本当に機能するCRMを「作り続けられる」人は少ない。私たちは後者でありたい。

この名前には、もう一つの意味があります。「グローバルに顧客の成功を届ける日本発の専門家集団」——日本のおもてなし文化をテクノロジーに変換し、世界に届けるという使命です。


「おもてなし」という言葉との出会い——CRM4.0の哲学的な根拠

独立してから長い時間をかけて、私はCRM3.0、そしてCRMの最終形であるCRM4.0という概念の輪郭を描き続けました。

その過程で気づいたことがあります。
私が「管理ではなく共創」と言っていること、「顧客の感情・価値観・深層心理に共鳴する」と言っていること——これはすべて、日本語で一言に集約されることに。

「おもてなし」

おもてなしの語源は二つあります。
「表裏がない」——裏表のない真心で接すること。
そして「モノを持って成し遂げる」——道具(テクノロジー)を通じて相手の心を動かすこと。

この二つを組み合わせると、「テクノロジー(モノ)と真心(表裏なし)の両方で、相手の心に届ける」という定義になります。
これがCRM4.0の設計思想そのものです。

私が長年感じていた「管理への違和感」の正体は、日本文化の根底にある「おもてなし」の思想をCRMが体現していなかったことへの違和感だったのです。

CRMは外来のシステムではありません。日本のおもてなし文化の、現代的なテクノロジー実装です。


EMOROCO CRM Liteが生まれた理由——「大企業だけのCRM4.0はおかしい」

CRM4.0の概念を構築しながら、私はずっと一つの問いを持ち続けていました。

「CRM4.0は大企業だけのものでいいのか」

日本の企業の99.7%は中小企業です。
日本の顧客体験の大半は、中小企業との接点で生まれます。
地域の税理士事務所、街の工務店、近所の保険代理店、昔なじみの不動産屋——こういった中小企業こそが、日本のおもてなし文化を最も色濃く体現している場所です。

ところが、エンタープライズCRMは中小企業には高すぎる。
設定・運用に専門知識が必要で、小規模の会社では使いこなせない。
「大企業向けのCRM4.0」を作り続けていても、日本のほとんどの顧客体験は変わらない。

これがEMOROCO CRM Liteを作った理由です。

エンタープライズの設計思想を、中小企業が使える価格と形にする。
月額1,500円/ユーザー・初期費用ゼロ・ノーコード設計——このスペックは「廉価版を作った」のではありません。
「中小企業に最適化した設計にした」結果です。

感情温度・ナラティブメモ・GISマップ・CRM4.0の思想——これらはエンタープライズCRMにも存在しない、私たちが独自に開発した機能です。


「なぜ作り続けるのか」への答え

よく聞かれます。「なぜCRMだけをこれだけ長くやり続けられるのか」と。
答えは一つです。

「CRMは未完成だから」

CRMは1990年代に生まれ、2000年代に普及し、2010年代に高機能化しました。
でも「顧客の感情に共鳴する」「担当者が変わっても関係が続く」「組織の暗黙知を資産にする」——これらはまだどのCRMも十分に実現できていません。

私がホームレスだった時代に感じた「孤立した人間が可能性を自分で拓く」という体験は、今も私の中にあります。
それは顧客の側からも同じです。顧客は「管理される存在」ではなく、「自分の可能性を拓こうとしている存在」です。

CRMが「その人の自己実現に伴走するシステム」になれたとき、私はようやく作り続けた理由に答えを出せると思っています。

まだ、その答えは出ていません。
だからEMOROCO CRM Liteは日々進化を続けています。


アーカス・ジャパンが目指す未来

2012年のマイクロソフトスピンアウトから、私たちは国内外数千社以上のお客様にCRMを導入し、20以上の業種に特化した設計を作り、AI・GIS・感情温度・ナラティブという概念をCRMに組み込んできました。

でも、これはまだ道の途中です。

私が目指しているのは、「日本の中小企業が世界で最も顧客に愛される組織になること」を、CRMというインフラから支えることです。
おもてなしという日本の文化的財産をテクノロジーに変換し、一軒の税理士事務所から一軒の工務店まで、すべての顧客接点を「関係を育む場」に変えること。

その日が来るまで、私はCRMを作り続けます。

【EMOROCO CRM Liteについて】 松原が思い描く「おもてなしのCRM」を、今日から30日間無料で体験できます。

デジタル化・AI導入補助金2026 対応ツール番号:DL07-0022934
製品情報:https://www.emoroco.com/


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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