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知識創造研究室 by CRM(xRM)

防災向けにEMOROCO CRM Liteで地域防災ネットワーク・要配慮者支援・訓練管理を設計する方法

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「要配慮者名簿はある。でも、実際に誰がどこに住んでいて、誰が支援できて、最後に状況確認したのはいつか——それが把握できていない」

「防災訓練に来てくれる住民は毎年同じ顔ぶれで、来ない人への働きかけが仕組みになっていない」

防災の現場におけるこれらの課題は、「人との関係を記録し管理する仕組みがない」という本質的な問題に行き着きます。防災は「発生したときに動く」ではなく「日常から関係を構築しておく」ことで機能します。その「日常の関係管理」こそがCRMの役割です。


防災CRMの四つの管理対象

要配慮者(高齢者・障がい者・外国人・乳幼児のいる家庭): 災害時に自力避難が困難な方々の状況・支援者・避難計画を日常から管理する。名簿があるだけでなく「今の状態」を継続的に把握することが重要。

地域防災協力者・自主防災組織: 避難誘導・安否確認・炊き出し・救護などを担う地域の協力者。「誰がどんな役割を担えるか・最後にどんな訓練を受けたか」の管理が必要。

企業・施設のBCP担当者: 地域の企業・学校・病院・福祉施設との防災連携。帰宅困難者の受け入れ・施設の共助機能の把握と関係維持。

防災訓練・研修の参加者管理: 訓練の参加履歴・未参加者へのアプローチ・訓練の改善サイクルの管理。


フィールド設計

【要配慮者レコード】
・氏名・住所・生年月日
・要配慮の区分(選択式・複数可):
  高齢者(一人暮らし)/身体障がい/知的障がい/
  精神障がい/医療的ケア児・者/外国人/乳幼児同伴/
  妊産婦/その他
・自力避難能力(選択式):
  完全に自力/一部補助が必要/全面的な支援が必要
・居住形態:一軒家/マンション(階数)/グループホーム
・緊急連絡先(家族・ケアマネジャー)
・担当支援者(近隣の担当者名・連絡先)
・主治医・通院している医療機関
・医療機器・薬(電源が必要な機器の有無)
・避難先の希望(選択式):
  指定避難所A/医療的配慮が必要な避難所B/在宅避難/未定
・最終状況確認日(定期訪問・電話確認の日付)
・現在の状況メモ(ナラティブ):
  例「先月から入院中。退院後は娘宅に移る予定」
  例「最近一人での外出が困難になってきている」
・感情温度(関係の状態):
  定期的に連絡が取れている/たまに確認できる/
  連絡が取れていない(要確認)

【地域防災協力者レコード】
・氏名・住所・連絡先
・担当地区・班
・担当できる役割(選択式・複数可):
  避難誘導/安否確認/救護/炊き出し/情報伝達/
  重機・車の運転/外国語対応/医療・看護/その他
・最終訓練参加日・参加した訓練の種類
・健康状態・活動可能レベル(高/中/低/体調不良中)
・関係温度(感情温度):
  積極的協力者/協力的/消極的/連絡がつかない
・次回訓練への参加意向

【企業・施設BCP担当レコード】
・企業・施設名・業種・所在地
・担当者名・連絡先(BCP担当者)
・受け入れ可能な帰宅困難者数
・提供できる支援(選択式):
  施設開放/食料・水の備蓄/発電機/AED/
  医療関係者の派遣/その他
・最終連携確認日・次回合同訓練予定日
・BCP策定状況(策定済み/策定中/未策定)
・感情温度(連携関係の状態)

【防災訓練参加者レコード】
・訓練参加履歴(日付・訓練種別・役割)
・最終訓練参加日
・次回訓練の参加意向
・特技・資格(AED/救急救命/土木/etc.)

ワークフロー設計

【要配慮者向けワークフロー】

「最終状況確認日から30日以上経過」:
  → タスク:「○○様 定期安否確認」
  内容:「電話または訪問で近況を確認する。
       体調の変化・生活状況の変化を記録する。
       孤立を防ぐことが最大の目的」

「感情温度:連絡が取れていない(要確認)に更新」:
  → タスク:「【要確認】○○様 安否確認——今週中に」
  内容:「電話で連絡が取れない場合は
       担当支援者または家族に確認を依頼する。
       状況をナラティブメモに記録する」

「医療機器使用者×台風・大雨シーズン前(毎年5月・9月)」:
  → タスク:「○○様 電源確保の事前確認」
  内容:「医療機器の停電対策・避難判断基準を
       本人・家族・支援者と事前に確認しておく」

【地域防災協力者向けワークフロー】

「最終訓練参加から6ヶ月以上経過」:
  → タスク:「○○さん 次回訓練への参加案内」

「健康状態:体調不良中 に更新されたとき」:
  → タスク:「○○さん 体調回復後の役割再確認」
  内容:「回復したら担当役割の変更が
       必要かどうかを確認する」

【企業・施設BCP連携ワークフロー】

「最終連携確認から6ヶ月以上経過」:
  → タスク:「○○社 BCP連携状況の定期確認」

「合同訓練の2ヶ月前」:
  → タスク:「○○社 合同訓練の詳細調整を開始」

ダッシュボード設計

【防災担当者の週次ダッシュボード】

「要配慮者の安否確認アラート」:
  最終確認から30日以上経過した要配慮者リスト
  → 「今週確認すべき人」が自動リストアップ

「感情温度:連絡が取れていない 要配慮者」:
  早急に対応が必要な人のリスト

「地域防災協力者の訓練未参加アラート」:
  最終訓練参加から6ヶ月以上経過した協力者

【災害発生時の緊急ダッシュボード(有事活用)】
・地区別の要配慮者リスト(支援が必要な順)
・担当支援者が不明・連絡不通の要配慮者
・医療機器使用者で避難支援が必要な人のリスト
・企業・施設の受け入れ可能施設リスト

防災CRMの本質——「名簿管理」から「日常の関係構築」へ

防災において最も重要な資産は「日常からの顔の見える関係」です。

要配慮者名簿があっても、「この方が今どんな状態にあるか・誰が支援できるか・どこに避難するか」という文脈がない名簿は、災害発生時に機能しません。月に一度の電話確認・年に一度の訪問——この「日常の接触の記録」が、有事に機能する防災ネットワークを作ります。

EMOROCO CRM Liteの「最終確認日からのアラート」「感情温度(連絡が取れているか)」「状況のナラティブメモ」は、この「日常の関係構築としての防災」を組織の仕組みとして実現する設計です。

防災は「いざというときのために」ではなく「日常の関係の延長線上にある」もの——EMOROCO CRM Liteがその「日常の関係」を支えます。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


関連記事:[自治体向けにEMOROCO CRM Liteで移住促進・関係人口・事業者支援の関係管理を設計する方法]

関連記事:[「営業の属人化を解消する」——担当者が変わっても顧客との関係が続く仕組みをEMOROCO CRM Liteで作る完全ガイド]

 

この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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