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知識創造研究室 by CRM(xRM)

労働組合向けにEMOROCO CRM Liteで組合員との関係・要求管理・組織強化を設計する方法

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「組合員が何に困っていて、何を求めているか——それを把握できているのが専従者の頭の中だけでは、組織として機能しない」

労働組合にとってのCRMは「組合員の声を組織として受け止め、要求実現と組織強化につなげる仕組み」です。営利企業のCRMが「顧客との関係管理」であるように、労働組合のCRMは「組合員との関係管理と民主主義的な代表」の仕組みです。


労働組合CRMの三つの核心機能

①組合員の声・要求の収集と管理: 日常の相談・苦情・要求を記録し、春闘・秋の要求活動の根拠とする。「この要求は何人の組合員が感じているか」を可視化することで、交渉力が高まります。

②組合員の関与度・離脱リスクの管理: 組合活動に積極的な組合員と、「なんとなく加入しているだけ」の組合員を把握し、組織の活性化と未加入者の加入促進を設計する。

③役員・専従者の異動時の引き継ぎ: 専従者が変わるたびに「あの組合員との関係」がリセットされる属人化を防ぐ。特定の組合員・職場との関係の文脈を組織として継承する。


フィールド設計

【組合員レコード】
・氏名・所属部署・職種・等級
・組合歴(加入年)
・組合活動への関与度(感情温度):
  執行委員・積極参加/定期参加/たまに参加/
  ほぼ参加なし/関心薄い/脱退リスクあり
・主な職場の悩み・要求(テキスト):
  例「夜間作業の手当が低すぎる」
  例「ハラスメントを受けているが相談できる場所がない」
  例「育児と仕事の両立支援が不十分」
・相談・連絡履歴(ナラティブメモ)
・フォロー中の案件(テキスト):
  例「2ヶ月前に職場いじめの相談。対応中」
・次のアクション内容と期日
・上部団体・産別の担当組織
・役職(選択式):
  専従/執行委員/職場委員/一般組合員/オルグ対象

【職場レコード(職場単位の管理)】
・職場名・所属事業所・従業員数・組合員数
・組合組織率(計算フィールド)
・職場委員名
・直近の職場集会開催日・参加率
・職場の主な課題・要求(テキスト)
・職場の雰囲気(感情温度):
  組合活動活発/普通/関心薄い/分裂リスクあり
・未加入者数・未加入者へのオルグ状況

【交渉・要求管理レコード】
・要求事項の名称
・関連組合員数(この要求を持つ組合員の数)
・要求の優先度(高/中/低)
・交渉ステータス:
  要求提出前/交渉中/妥結/継続案件
・経営側の回答・交渉の経緯(ナラティブメモ)
・次の交渉期日

ワークフロー設計

【組合員向けワークフロー】

「関与度:脱退リスクあり に更新されたとき」:
  → タスク:「○○さん 丁寧な個別フォロー——今月中に」
  内容:「なぜ組合活動に距離を置いているのかを
       批判なく聴く。困っていることが解決されれば
       関与度が戻ることが多い。
       脱退防止より先に、この人の困りごとを
       理解することを優先する」

「相談のフォロー中案件の対応期日が来たとき」:
  → タスク:「○○さん 相談案件のフォローアップ」

「組合歴の節目(5年・10年・20年)前月」:
  → タスク:「○○さん 組合歴○周年の感謝とフォロー」
  内容:「長年の組合活動への貢献に感謝を伝える。
       これまでの関わりを振り返る対話が、
       関与度の維持・向上に繋がる」

【職場・組織強化ワークフロー】

「職場集会から3ヶ月以上開催なし×職場の雰囲気:関心薄い」:
  → タスク:「○○職場 集会・懇親の場の設定」
  内容:「職場委員と相談して、
       小規模でも集まる機会を作る。
       要求ではなく『話し合いの場』として設計する」

「春闘の2ヶ月前」:
  → タスク:「全組合員への要求アンケートの実施」
  内容:「各職場からの要求を系統的に収集し、
       要求書の作成根拠とする」

ダッシュボード設計

【専従役員・書記長の週次ダッシュボード】

「今週フォロー推奨の組合員リスト」:
  フォロー中案件の期日が今週以内

「脱退リスクアラート」:
  関与度:脱退リスクあり の組合員

「職場別の関与度・雰囲気マップ」:
  職場ごとの感情温度の分布
  → 「関心薄い・分裂リスクあり」職場を優先的に把握

【執行委員会向け月次ダッシュボード】
・要求別の関連組合員数(交渉優先度の根拠)
・組合組織率の職場別分布
・脱退リスクのある組合員の推移

「組合員の声を組織の力にする」——CRM4.0と労働組合

CRM4.0の「共感・共鳴・共創」という思想は、労働組合の民主主義的な原理と深く一致しています。

組合員一人ひとりの「職場での悩み・要求・感情の変化」を丁寧に記録し、それを組織の交渉力として集約し、経営側への要求実現につなげる——これはまさに「個人の声→組織の共創→社会の変革」というCRM4.0的な関係の実践です。

専従者の記憶の中にしかなかった「組合員との関係の文脈」をEMOROCO CRM Liteで組織として継承することで、専従者の交代があっても「組合員一人ひとりとの信頼関係」が途切れない組織が実現します。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


関連記事:[「営業の属人化を解消する」——担当者が変わっても顧客との関係が続く仕組みをEMOROCO CRM Liteで作る完全ガイド]

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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
インタビュー記事
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