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知識創造研究室 by CRM(xRM)

がんセンター向けにEMOROCO CRM Liteで患者支援・地域連携・研究協力者管理を設計する方法

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「がんと診断されてから治療・回復・サバイバーシップまで、患者は長い時間をかけて病院と関わる。その全期間の支援の文脈が、担当スタッフの記憶にしかない」——がんセンターの患者支援センターが抱える最大の課題です。

がんは診断から治療・経過観察・再発・緩和ケアと、長期にわたる医療機関との関わりがあります。その「患者の物語の全体」を支援チームが共有できていることが、質の高いがん医療を実現する土台です。

※本記事で述べる「患者関係管理」は、診療情報・医療記録の管理ではなく、患者支援・心理社会的サポート・地域連携の文脈での関係情報管理を指します。患者の医療情報は診療情報システムで管理し、EMOROCO CRM Liteはセルフホスト環境での運用を推奨します。


がんセンター特有の関係管理の三層

患者・家族(長期支援の文脈管理): 診断から治療・サバイバーシップまでの長期にわたる支援の文脈。「この患者が今どういう気持ちで治療に臨んでいるか」「家族関係・就労・経済的な不安はどこにあるか」というICX的な情報が支援の質を決める。

地域連携機関(かかりつけ医・在宅医療・緩和ケア施設): 治療後の地域への移行・在宅緩和ケアへの連携。「この地域のどの医療機関がどんな患者を受け入れられるか」の把握が速やかな連携を実現する。

研究・臨床試験協力者・患者会・支援団体: 研究参加への同意管理・患者会との連携・院内外の支援団体との関係維持。


フィールド設計(患者支援センター向け)

【患者支援レコード(心理社会的サポートの文脈)】
・支援対象(患者本人/家族/両方)
・がん種・治療フェーズ(選択式):
  診断直後/治療中/治療後経過観察/
  再発・転移後/緩和ケア移行/サバイバーシップ
・主な相談内容(選択式・複数可):
  心理的サポート/就労/経済的不安/家族関係/
  在宅移行/緩和ケア/患者会紹介/その他
・感情状態(支援者の観察による):
  前向きに治療に臨んでいる/不安が強い/
  孤立感がある/怒り・戸惑い/落ち着いている
・主な支援内容・対応履歴(ナラティブメモ)
・担当支援スタッフ(社会福祉士・看護師・心理士)
・外部連携先(地域の支援機関・患者会)
・次のフォロー推奨日

【地域連携先レコード(在宅・緩和ケア)】
・機関名・種別(診療所/在宅医/訪問看護/緩和ケア病棟)
・受け入れ可能ながん種・フェーズの特記事項(テキスト)
・関係温度(感情温度)
・最終連携日・最終接触日
・連携上の課題・改善点(テキスト)

ワークフロー設計

【患者支援ワークフロー】

「治療フェーズが『再発・転移後』に更新されたとき」:
  → タスク:「○○様 再発後の包括的支援ニーズ確認」
  内容:「心理・就労・経済・家族関係など
       あらゆる面でのニーズを改めて確認する。
       このタイミングは支援の重点を
       見直す最も重要な時期」

「フォロー推奨日を過ぎた患者支援レコード」:
  → タスク:「○○様 支援状況の確認フォロー」

「治療フェーズが『緩和ケア移行』に更新されたとき」:
  → タスク①:「○○様 在宅・緩和ケア移行の調整開始」
  → タスク②:「○○様 担当チームへの情報共有確認」

【地域連携ワークフロー】

「最終連携日から90日以上経過×関係温度:良好以上」:
  → タスク:「○○診療所 定期的な関係維持の連絡」
  内容:「受け入れ状況・新しい在宅対応の情報・
       困っていることのヒアリング」

がんセンターCRMの倫理的配慮

がん患者の関係情報管理には、通常のCRM以上に倫理的な配慮が必要です。

個人情報の厳格な管理: セルフホスト運用を強く推奨します。患者の病状・心理状態・家族関係は「要配慮個人情報」として、アクセス権限を厳格に設定します。

患者の尊厳の優先: CRMのデータは「患者を効率的に管理するため」ではなく「患者が自分の物語の主人公として生きることを支援するため」に記録されます。CRM4.0の「管理から共創へ」という思想が最も深い形で問われる現場です。

支援スタッフのバーンアウト防止: 感情的に重い支援業務を担うスタッフが、ワークフロー自動化によって「記録・フォロー漏れ防止」の認知負担を減らすことで、患者との直接的な関わりに集中できる環境を作ります。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


関連記事:[診療所・クリニック向けにEMOROCO CRM Liteで患者との長期関係と紹介医療機関との関係を同時管理する方法]

関連記事:[ホロスティック分析とCRM4.0——「全体としての顧客」を理解することが最も深い関係を生む理由]

この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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