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【連載:EMOROCO CRM Lite導入コンサルティングの進め方】第6回(最終回) — 「CRMを育て続ける仕組みを作る」定期健診・改善・進化
こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。
6回の連載の最終回です。
第1回から第5回まで「ヒアリング→設計→構築→研修→SoI-PDCA」という導入の流れを解説してきました。
しかし、最も重要なことをお伝えしていませんでした——CRM導入に「完了」はない、ということです。
「CRMを入れた」ことは、ゴールではなくスタートです。CRMは生き物です。業務が変われば設計を変える必要があります。組織が変わればフィールドを変える必要があります。新しい課題が生まれれば新しいワークフローが必要になります。
この「育て続けること」を仕組みにするのが、定期健診・改善・進化のフェーズです。
「CRMの劣化」——なぜ放置するとCRMは死ぬのか
アーカス・ジャパンが多くのCRM支援で見てきた現実があります。「導入後1年以内に、CRMが形骸化する」という現象です。
【CRMが形骸化するパターン(典型例)】
Month 1〜3(活性期):
研修効果で入力率が高い。
ダッシュボードを毎朝確認する習慣がある。
週次会議でCRMが活用されている。
Month 4〜6(停滞期):
「忙しい」を理由に入力が後回しになり始める。
ダッシュボードの確認が週次から月次になる。
週次会議でCRMが開かれなくなる日が出てくる。
フィールドの追加依頼はあるが、誰も実施しない。
Month 7〜12(形骸化期):
データが3ヶ月以上更新されていないレコードが増える。
「CRMは入れているが、実際はExcelで管理している」
という担当者が再び現れる。
CRMドクターが「忙しくて健診できていない」状態になる。
Month 12以降(死亡):
「CRMは入れたが、誰も使っていない」
→ 高額なライセンス料だけが発生している状態
この形骸化を防ぐために「定期健診」という仕組みを導入の最初から設計しておくことが必要です。
定期健診の3つのサイクル——週次・月次・四半期
健診は3つのサイクルで行います。
【定期健診カレンダーの全体設計】
週次健診(毎週月曜・15分):CRMドクターが実施
目的:「今週のアラート」を確認し、担当者に伝える
確認項目:
①赤アラートリスト(クール以下×接触途絶)
②今週期限のアクションタスクの未完了件数
③先週最も良い入力を1件ピックアップして共有
月次健診(月初第1月曜・45分):CRMドクターが実施
目的:「バイタルサインの測定と改善策の実施」
確認項目(4つのバイタルサイン):
①入力率:全接触のうちCRMに記録された割合
②活用率:週次でダッシュボードを確認した担当者の割合
③精度:感情温度の分布(全員ウォームになっていないか)
④適合率:使われていないフィールドがないか
四半期大健診(四半期初・2時間):CRMドクター+コンサルタント
目的:「CRMの全体設計を見直し、次の四半期の進化を設計する」
実施内容:(後述)
月次健診の詳細設計——「4つのバイタルサインの測定と処方」
月次健診は医師が患者の健康診断を行うように、CRMの健康状態を測定します。
【月次健診の手順(45分)】
① 入力率の測定(10分)
測定方法:
「今月の全接触件数(訪問・電話・メール等)」と
「今月CRMに記録された接触件数」の比率
目標値:70%以上(最初の3ヶ月は50%以上でも可)
危険値:50%未満 → 原因を特定して処方を実施
原因別処方箋:
原因①「忙しくて後回しにする」
→ 週次健診で「昨日の接触を入力しましたか」
を全員に声がけする頻度を上げる
原因②「入力が大変(フィールドが多い・PCでしか入力できない)」
→ フィールドを削減するか、スマホ入力の設定を確認
原因③「入力しても何も変わらない(リターンがない)」
→ ダッシュボードが「入力すると自分が助かる」
状態になっているか確認・再設計
② 感情温度分布の確認(10分)
測定内容:全顧客の感情温度の分布
目標分布:
ホット:10〜20%
ウォーム:50〜65%
クール:15〜25%
コールド:5%以下
問題パターンと処方箋:
パターンA「全員がウォーム(分布が偏っている)」:
原因:判断基準が共有されていない or
「とりあえずウォームにする」癖がついている
処方:感情温度の判断基準を改めてチームに共有する
「よくわからない時はクールを選ぶ」ルールを再確認
パターンB「クール以下が30%を超えている」:
原因:フォローが追いついていない
処方:担当者の顧客数を見直すか、
フォローの頻度・方法を再設計する
パターンC「コールドが増え続けている」:
原因:休眠顧客の整理ができていない
処方:コールド顧客の「再接触or整理」の判断基準を設定し、
整理できる顧客はCRMからアーカイブする
③ フィールドの棚卸し(15分)
確認内容:過去1ヶ月間で入力されていない(または
ほとんど入力されていない)フィールドを特定する
処方箋:
「このフィールドは何のために作ったか」を確認する
・使われていない理由が「入力が面倒」→ 形式を変える
・使われていない理由が「不要になった」→ 非表示にする
・使われていない理由が「存在を忘れていた」→ 必要なら研修で再周知
新しいフィールドの追加要望があれば、
「このフィールドがあると具体的に何が変わるか」を確認してから
追加を判断する(不要なフィールドの追加を防ぐ)
④ ワークフローの完了率確認(10分)
確認内容:過去1ヶ月間にワークフローが生成したタスクのうち、
担当者が「完了」にしたタスクの割合
目標値:70%以上
危険値:50%未満 → 原因を特定して処方を実施
原因別処方箋:
原因①「タスクが多すぎる」
→ ワークフローの条件を見直す(発火条件を絞る)
原因②「タスクの内容が曖昧で行動できない」
→ タスクの内容テキストを具体的な行動に書き直す
原因③「タスクを確認する習慣がない」
→ 週次会議でタスクリストの確認を明示的に組み込む
四半期大健診——「CRMのリニューアルと次の進化」
四半期ごとに、コンサルタントとCRMドクターが「CRMの全体設計を見直す」大健診を実施します。
【四半期大健診のアジェンダ(2時間)】
① 前四半期のKPI達成状況の確認(20分)
第1回ヒアリングで合意した「成功の定義」と
実際の結果を比較する:
・フォロー漏れ件数は目標通りに減ったか
・担当変更後の顧客継続率は向上したか
・紹介経由の新規顧客は増えたか
・週次報告会議の時間は削減できたか
・感情温度クール以下の比率は目標範囲内か
→ 達成できていない指標については
「なぜ達成できなかったか」を
設計の問題・運用の問題・外部要因に分けて整理する
② 現場の声のヒアリング(20分)
CRMドクターが事前に収集した
「担当者からのフィールバック」を確認する:
収集しておくべき声:
「このフィールドが使いにくい」
「こんな情報も記録できるようにしてほしい」
「このワークフローのタイミングがずれている」
「ダッシュボードにこういうビューが欲しい」
→ 現場の声が「設計の改善」に繋がることを
毎回体験させることで、担当者が
「自分たちのCRM」という感覚を持ち続ける
③ アーキテクチャの全体見直し(30分)
以下の観点で、現在の設計が業務に合っているかを確認する:
エンティティの適合性:
「新しい業務が始まったが、
現在のエンティティでは管理しきれない」
ということはないか
→ 必要なら新しいエンティティを追加する
ワークフローの網羅性:
「まだ手動でやっているが、
自動化できそうな繰り返し作業はないか」
→ 新しいワークフローの候補を洗い出す
セキュリティロールの適合性:
「組織変更・採用・担当変更があったが、
権限設定が現実と合っているか」
→ 必要なら修正する
④ 次の四半期の「進化テーマ」を決める(30分)
四半期ごとに「このフェーズで進化させるテーマ」を
1〜2個に絞って設定する。
進化テーマの候補例:
Phase 2(導入3〜6ヶ月):
「ナラティブメモの質の向上と引き継ぎ設計の強化」
「紹介ネットワークフィールドの追加と設計」
Phase 3(導入6〜9ヶ月):
「SoI-PDCAの自走化(コンサルタント不要の状態へ)」
「失注分析の自動化とパターン発見」
Phase 4(導入9〜12ヶ月):
「関係性資産スコアの設計と四半期レポートへの組み込み」
「グループ会社・代理店への展開設計」
⑤ 次の四半期の健診スケジュールの確定(20分)
月次健診・四半期大健診の日程を
4ヶ月分先までカレンダーに登録する。
「カレンダーに入っていない健診は実施されない」
→ スケジューリングは健診成功の最重要条件
「卒業の設計」——コンサルタントが不要になることを目指す
アーカス・ジャパンの導入コンサルティングには、最初から「卒業の設計」が組み込まれています。
コンサルタントの伴走がなくても、CRMドクターと経営者が自律的にCRMを育て続けられる状態を作ること——これが連載6回の最終的なゴールです。
【「自律稼働」の判断基準(導入12ヶ月後目安)】
以下の5つが満たされていれば、
アーカス・ジャパンの定期的な伴走は不要になります:
①CRMドクターが月次健診を自律的に実施できている
(コンサルタントの声がけなしに実施できる)
②週次SoI-PDCA会議が「習慣」になっている
(誰かが声をかけなくても月曜朝に始まる)
③フィールドの追加・変更をCRMドクターが
ノーコードで実施できる
④四半期大健診を社内だけで実施できる
⑤「新しい課題が生まれたとき」に
CRMドクターが自分で「どう設計するか」を
考えられる(相談が減る)
→ これが「CRMが組織の仕組みとして根付いた」状態
卒業後も、アーカス・ジャパンは「何か大きな変化(組織変更・事業拡大・グループ展開)が起きたとき」の相談パートナーとして関係を続けます。
これはCRM4.0の「持続的関係性」——伴走が薄くなっても関係は継続する——の実践でもあります。
連載のまとめ——6ステップの全体像
【導入コンサルティング6ステップの全体像】
第1回:初回ヒアリングと現状診断(Day 0)
「何のためにCRMを入れるか」を明確にする
5つの問い × 4つのバイタルサイン × 6項目の合意
第2回:導入設計(Day 0〜3)
「どんなCRMを作るか」をクライアントと共に設計する
エンティティ × フィールド × ワークフロー × ダッシュボード
第3回:構築・データ移行(Day 1〜7)
「実際に動くCRMを作る」
Day 1設定 × Day 2〜3インポート × Day 4ワークフロー × Day 5ダッシュボード
第4回:研修・定着支援(Day 8〜14)
「現場が使い続ける体制を作る」
キックオフ × 操作研修 × CRMドクター育成 × 72時間フォロー
第5回:SoI-PDCA活用(Day 60前後)
「CRMを洞察のシステムとして機能させる」
データレビュー × ダッシュボード高度化 × 週次会議設計 × 失注分析
第6回:定期健診・改善・進化(継続)
「CRMを育て続ける仕組みを作る」
週次健診 × 月次健診 × 四半期大健診 × 卒業の設計
アーカス・ジャパンの伴走哲学——「教えるのではなく、共に考える」
6回の連載を通じて、アーカス・ジャパンの伴走スタイルの核心をお伝えしてきました。
それは**「コンサルタントが答えを持ってきて渡す」ではなく「クライアントと共に考え、クライアント自身が答えを出す」**という姿勢です。
設計セッションでフィールドを決めるのはクライアント自身です。研修でキックオフを語るのは経営者自身です。月次健診を実施するのはCRMドクター自身です。
アーカス・ジャパンのコンサルタントは「ファシリテーター」です。問いを立て、気づきを引き出し、設計を支援し、「自分たちで動ける状態」になるまで伴走する。
これはCRM4.0の「共創(Co-Creation)」のコンサルティング版です。
「ARtists for CUStomer SuccesS(顧客の成功のための職人たち)」——社名が示す通り、アーカス・ジャパンは「EMOROCO CRM Liteを売ること」ではなく「クライアントのCRMが成功すること」を最終的なゴールに置いています。
EMOROCO CRM Liteの導入を検討している方は、ぜひアーカス・ジャパンにご相談ください。
第1回のヒアリングから始まる6ステップで、「現場が使い続けるCRM」「洞察のシステムとして機能するCRM」「組織と共に育ち続けるCRM」を実現します。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ
連載一覧:
[【第1回】「何のためにCRMを入れるのか」を決める初回ヒアリングと現状診断]
[【第2回】「どんなCRMを作るか」をクライアントと共に設計する]
[【第3回】「実際に動くCRMを作る」構築・データ移行・初期設定]
[【第4回】「現場が使い続ける体制を作る」導入研修・定着支援]
[【第5回】「CRMを洞察のシステムとして機能させる」SoI-PDCA・ダッシュボード活用]
関連記事:[CRMドクター(CRM診断士)とは何か——CRM4.0時代にCRMを定着させる専門家の役割]



