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EMOROCO CRM Lite

小売・卸売向けEMOROCO CRM Lite活用ガイド — 消費者との関係と、取引先との関係を両立する

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

小売・卸売業は、「消費者との関係」と「取引先企業との関係」という性質の異なる2種類の顧客関係を扱う業種です。

今回は、この両方の関係性をEMOROCO CRM Liteでどう管理・強化していけるかを解説します。

目次

1. 小売・卸売業が抱える特有の課題
2. なぜPOSデータやExcelだけでは限界があるのか
3. 小売業向けのエンティティ設計
4. 卸売業向けのエンティティ設計
5. リピート購入・優良顧客の可視化(小売)
6. 得意先ごとの関係管理(卸売)
7. 与信・掛売管理という卸売特有の要素
8. 在庫システムとの連携という視点
9. ECサイトとの関係、オンライン・オフラインの統合
10. ある卸売業のよくある課題シナリオ
11. ワークフロー自動化の具体例
12. ダッシュボードでの売上・関係性の可視化
13. 小売と卸売、両方を手がける企業の場合
14. よくある質問(FAQ)
15. まとめ

1. 小売・卸売業が抱える特有の課題

小売業と卸売業は、扱う顧客の性質が大きく異なります。

小売業の課題
・来店客・会員それぞれの購買履歴や好みを個人として把握する必要がある
・リピーターと新規客を区別し、それぞれに合った対応をする必要がある
・複数店舗がある場合、店舗をまたいだ顧客情報の統合が難しい

卸売業の課題
・取引先である小売店・小規模事業者ごとの受発注状況や取引条件を管理する必要がある
・与信限度額や掛売の状況を取引先ごとに把握する必要がある
・営業担当者が多数の取引先を巡回・管理する必要がある

これらの課題は一見異なりますが、「顧客(消費者、または取引先)との関係性を組織の記録として蓄積する」という点では共通しています。

2. なぜPOSデータやExcelだけでは限界があるのか

小売業では、POS(販売時点情報管理)システムによって、購買データそのものは記録されています。
しかし、POSデータだけでは、次のような限界があります。

・購買履歴は記録されても、顧客からの問い合わせや要望といった非定型データは残らない
・複数店舗のPOSデータが統合されておらず、顧客の全体像を把握しづらい

卸売業では、多くの場合、受発注情報や取引先情報がExcelで管理されています。
この場合、以前解説してきたExcel運用共通の限界——複数人での同時編集の難しさ、データの分断——がそのまま当てはまります。

3. 小売業向けのエンティティ設計

EMOROCO CRM Liteのノーコード機能を使い、小売業向けに次のようなエンティティ設計が可能です。

顧客(会員)エンティティ:氏名、連絡先、会員ランク、初回来店日を管理
購買履歴エンティティ:購入日、購入商品、金額を管理
問い合わせ・要望エンティティ:接客時の要望や、クレームの内容を記録

POSシステムとの連携が可能であれば、外部コネクタ機能を使い、購買データをCRM側に取り込むという設計も検討できます。

4. 卸売業向けのエンティティ設計

卸売業向けには、次のようなエンティティ設計が考えられます。

取引先(小売店)エンティティ:店舗名、担当者、与信限度額、取引開始日を管理
受発注エンティティ:注文日、商品、数量、納期を管理
掛売・入金エンティティ:請求額、入金状況、支払いサイトを管理

リレーションシップ管理機能を使い、「取引先(親)→ 受発注(子)」という構造を組み立てることで、取引先ごとの取引履歴を一つの画面で確認できるようになります。

5. リピート購入・優良顧客の可視化(小売)

小売業においては、リピーターと新規客を区別し、それぞれに応じたアプローチを行うことが重要です。
ナーチャリングスコアを使い、来店頻度や購買金額に応じて、顧客の関心度・ロイヤルティを可視化できます。

・一定期間、来店がない顧客をリストアップし、フォローの案内を検討する
・購買金額の多い優良顧客に優先的な案内やサービスを提供する
・新規顧客の初回購入後、一定期間内の再来店を促す施策を検討する

これらの取り組みは、以前新規顧客に多大な予算をかける前にで解説した既存顧客重視の考え方とも直結しています。

6. 得意先ごとの関係管理(卸売)

卸売業においては、取引先である小売店・事業者との関係管理が中心になります。
この点は、以前食品・飲料ルート営業向け活用ガイドで解説した内容とも重なる部分がありますが、卸売業全般に共通する要素として、次のような管理が有効です。

・取引先ごとの発注サイクル、平均発注金額を記録し、傾向を把握する
・担当者が異動した場合でも取引先ごとの経緯を引き継げるようにする
・新商品の案内を、取引先の業態や過去の発注傾向に応じて優先順位をつけて行う

7. 与信・掛売管理という卸売特有の要素

卸売業には、小売業にはあまり見られない与信管理という重要な業務があります。

・取引先ごとに、与信限度額を設定し、超過しそうな場合にアラートを出す
・掛売の入金状況を記録し、未入金が一定期間続いている取引先を可視化する
・与信限度額の見直しを取引実績に応じて定期的に検討する

ワークフロー機能を使えば、与信限度額に近づいた取引先や入金遅延が発生している取引先について、営業担当者や経理担当者への自動通知を設定できます。

8. 在庫システムとの連携という視点

小売・卸売業では、CRMと在庫管理システムとの連携が実務上重要になる場面があります。

・顧客ごとの購買履歴と在庫状況を照らし合わせ、再入荷の案内を行う
・卸売の受発注状況と在庫の引当状況を連携させ、欠品リスクを事前に把握する

EMOROCO CRM Liteの外部コネクタ機能を使えば、在庫管理システムとのAPI連携を検討できます。
ただし、在庫管理そのものは専用システムで行い、CRMは顧客・取引先との関係管理に特化するという役割分担を意識することをおすすめします。

9. ECサイトとの関係、オンライン・オフラインの統合

近年は、実店舗とECサイトの両方で販売する小売業も増えています。
この場合、次のような統合の考え方が有効です。

・実店舗での購買履歴とECサイトでの購買履歴を、同一の顧客エンティティに紐づける
・オンラインでの行動データ(サイト訪問、カート放棄など)をナーチャリングスコアの一部として取り込む
・店舗スタッフが顧客のオンラインでの購買傾向を把握した上で、接客に活かす

「1顧客=1ID」の原則は、オンライン・オフラインという複数のチャネルをまたいだ場合にも、そのまま当てはまります。
むしろ、チャネルが複数になるほど、この原則を徹底することの重要性が高まります。

10. ある卸売業のよくある課題シナリオ

具体的なイメージを持っていただくために、ある卸売業でのシナリオを紹介します。

この会社では、営業担当者ごとに、取引先の発注状況や与信の状況を個別のExcelファイルで管理していました。
ある取引先について、与信限度額に近づいていることに気づかず、通常通り出荷を続けてしまい、後になって未回収リスクの高い状態になっていることが判明しました。
担当者は、「気づいていたら、もっと早く対応できたのに」と振り返っていました。

EMOROCO CRM Liteを導入し、与信限度額に対する掛売残高をワークフローで監視する仕組みを整えたことで、この会社は限度額に近づいた取引先を早期に把握できるようになりました。
営業担当者の「気づき」に依存せず、システムとして与信リスクを可視化できる状態を作ったことが大きな改善点でした。

11. ワークフロー自動化の具体例

小売・卸売業における、具体的な自動化の例を紹介します。

・一定期間来店のない顧客に、案内メールの送付を促すタスクを自動作成する(小売)
・与信限度額に近づいた取引先に、営業担当者への通知を送る(卸売)
・定期発注のタイミングが近づいた取引先に、リマインドを送る(卸売)
・優良顧客の来店時に、担当スタッフへの通知を送り、特別対応を促す(小売)

12. ダッシュボードでの売上・関係性の可視化

ダッシュボード機能を使えば、次のような指標を可視化できます。

・顧客ランク別・取引先別の売上推移
・リピート率、新規顧客獲得数
・与信限度額に対する掛売残高の状況
・発注サイクルの遅れが見られる取引先の一覧

これらを日々の営業会議や経営会議で活用することで、報告資料作成の手間を減らしながら、リアルタイムの状況把握が可能になります。

13. 小売と卸売、両方を手がける企業の場合

小売と卸売の両方を手がける企業も少なくありません。
この場合、消費者向けの顧客エンティティと取引先向けの取引先エンティティをそれぞれ別のエンティティとして設計しつつ、共通の商品マスタや在庫情報と紐づけることで、両方の事業を一つの基盤で管理できます。

セキュリティロールを使い、小売部門の担当者には消費者向けの情報を、卸売部門の担当者には取引先向けの情報を、それぞれ適切な範囲で見せる設計も可能です。

14. よくある質問(FAQ)

Q. POSシステムとの連携は必須ですか?
必須ではありません。
まずはCRM上での顧客管理から始め、必要に応じて外部コネクタ機能での連携を検討するという進め方も可能です。

Q. 複数店舗の情報を統合して管理できますか?
はい。
店舗ごとにフィールドを設け、店舗をまたいだ顧客の来店履歴を一元的に確認できます。

Q. 与信管理はどの程度細かく設定できますか?
ノーコードでフィールドを設計できるため、自社の与信管理ルールに合わせた項目を追加できます。

Q. 小売と卸売、どちらを先に導入すべきですか?
どちらか一方から始めても問題ありません。
まずは自社にとって課題が大きい方から着手し、段階的にもう一方にも広げていくことをおすすめします。

Q. 在庫管理もEMOROCO CRM Liteだけで完結できますか?
在庫管理そのものは専用システムで行うことをおすすめします。
CRMは、顧客・取引先との関係管理に特化した活用が適しています。

15. まとめ

小売・卸売業は、「消費者との関係」と「取引先企業との関係」という性質の異なる2つの関係性を扱う業種です。
EMOROCO CRM Liteのノーコード設計を使えば、それぞれの関係性に応じたエンティティを構築し、リピート顧客の育成や取引先との与信管理まで、一つの基盤で対応できます。
POSシステムや在庫管理システムとの適切な役割分担を意識しながら、CRMを顧客・取引先関係の中核に据えることが、両方の事業を安定的に成長させる鍵になります。

EMOROCO CRM Liteは月額1,500円/ユーザー(最低3ユーザーから)・初期費用0円で、30日間の無料トライアル(https://www.emoroco.com/)から始められます。
IT導入補助金対象ツール番号:DL07-0022934。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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