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CRM特許出願解説 — 「関係性」を数式で扱うという発想(特願2026-122904)

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

なぜCRMの会社が、特許を出願するのか

「CRMって、ソフトウェアの機能の話ですよね? なぜ特許なんですか?」

こう聞かれることがあります。もっともな疑問です。
CRMの多くは「顧客情報をどう管理するか」という機能の話に終始しており、特許という発想とは縁遠く見えるかもしれません。

しかしEMOROCO CRM Liteが向き合っているのは、機能の実装そのものではなく、「顧客との関係性という、これまで数値化されてこなかったものを、どう定量化するか」というロジックです。
このロジックを2026年6月30日に特許出願しました(特願2026-122904、早期審査請求済み)。
今回はその中身をできるだけ分かりやすく解説します。

なお、今回の出願は個別のアルゴリズムやシステム実装に関する技術特許ではなく、「顧客との関係性を資産として定量化し、運用する仕組み」そのものを対象とするビジネスモデル特許です。
ソフトウェアの裏側にある一つの技術要素ではなく、CRM4.0という経営戦略そのものの根幹をなす考え方として出願している、という点が特徴です。

関係性資産(RA)という考え方

出願の中心にあるのは、「関係性資産(Relationship Asset:RA)」という指標です。次のような式で表現されます。

RA = αR + βH − γN + δM + εA

数式だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、考え方はシンプルです。
顧客との関係性の「今の価値」を、複数の要素を重み付けして足し引きすることで一つの数字にする、という発想です。

5つの指標

RAを構成するのは、次の5つの指標です。

  • 関係性スコア(R)ナーチャリングスコアリングのような行動データに基づく関係性の強さ
  • 人間らしさ評価(H):機械的なやり取りではなく、人間味のあるコミュニケーションがどれだけ行われているかの評価
  • 不快感補正(N):しつこい営業や過剰な接触など、関係性を損なう要因をマイナスとして補正する項目
  • 記念候補価値(M):契約更新日、誕生日、記念日など、関係性を深める節目としてのポテンシャル
  • 次アクション候補価値(A):次にどんな働きかけをすると関係性が前進しやすいかという期待値

プラスに働く要素(R・H・M・A)を重み付けして足し合わせ、マイナスに働く要素(N)を差し引く。
これによって、「なんとなく良い関係」「なんとなく危ない関係」といった感覚的な評価を、比較可能な数値として扱えるようにしています。

多言語での「共感変換」という視点

もう一つの技術的な特徴が、多言語での共感変換(E)です。
同じ内容の言葉であっても、言語や文化によって「どれだけ丁寧に、どれだけ温かく伝わるか」は異なります。
この変換ロジックを組み込むことで、海外拠点や多言語対応が必要な組織でも、関係性の評価基準がぶれにくくなります。

関係性の7段階進行モデル

RAという静的な数値に加えて、関係性がどのフェーズにあるのかを7段階のモデルとして捉える仕組みも、この出願の一部です。
初対面から始まり、信頼構築、深い関係性、そしてロイヤルカスタマーへと至る道のりを段階的に定義することで、「今どのフェーズにいて、次に何をすべきか」を関係性資産の数値と組み合わせて判断できるようになります。

なぜ、これが特許出願に値するのか

ナーチャリングスコアと感情温度の2軸マトリックスNPSとの統合管理など、これまで紹介してきた機能群は、実はすべてこの関係性資産化のロジックの応用です。
単発の機能として個別に作られたものではなく、一つの数式・一つのモデルから展開された、体系立った設計だからこそ、技術として出願する価値があると考えています。

属人的な「勘の良い営業担当者」だけが持っていた関係性の見極め方を、組織全体で再現可能な仕組みに変える。
これがEMOROCO CRM Liteの目指す「関係性資産化」であり、解約率(チャーン)予測のような具体的な機能にも、このロジックが土台として活きています。
技術特許のように特定の実装方法を守るのではなく、ビジネスモデル特許として「関係性を資産として扱う」という考え方そのものを守っている点に、この出願の独自性があります。

この出願内容については、プレスリリース(お知らせ)でも公表しています。

まとめ

特許出願という言葉は、ともすると製品の売り文句のように聞こえるかもしれません。
しかし今回ご紹介したRAの式や5つの指標、多言語共感変換、7段階の関係性進行モデルは、いずれも「感覚に頼っていた関係性の見極めを、再現性のある技術に落とし込む」という一貫した思想のもとに設計されています。
EMOROCO CRM Liteが単なる管理ツールではなく、関係性資産を育てるためのプラットフォームであることの裏づけとして、この特許出願を位置づけています。

EMOROCO CRM Liteは月額1,500円/ユーザー(最低3ユーザーから)・初期費用0円で、30日間の無料トライアル(https://www.emoroco.com/)から始められます。
IT導入補助金対象ツール番号:DL07-0022934。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
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アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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