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通貨/為替レート(Currency/Exchange rate)について – ERP製品の違いを整理してみる(4)

みなさん、こんにちは。

ERPの違いについて整理してみる第4回です。
中堅中小企業向けERPのDynamicsR NAVと大企業向けERPのDynamics 365 for Operationsの比較となります。

今回は、会計周りの設定の中で通貨(Currency)と為替レート(Exchange rate)について触れてみたいと思います。
なお、文中意見に渡る部分については、本稿執筆者の私見を含むことをお断りします。

基幹システムにおける通貨と為替レート

企業活動におきましては、販売や購買、請求、入金、従業員の経費申請等、様々なトランザクション(システム上の取引)が日々発生します。それらが全て国内でのものであれば、海外通貨や為替レートの考慮は不要なのですが、グローバルな昨今では、海外トランザクション、つまり海外通貨での取引が一般的なものとなっております。

例えば、取引対象製品の価格設定がドル建てだからドル取引、であったり、海外グループ会社に為替の影響を受けにくくする為、海外グループ会社との取引は現地通貨建てで行う、であったりと、理由は様々ですが、そうした時、都度、マニュアルで海外通貨の取引金額を会計上の通貨に換算しシステムに入力するのは非常に手間な為、海外取引が発生する企業の基幹システムにおいては、通貨、為替レートの設定と換算機能は必須要件とされております。

製品による通貨および為替レートの違い

通貨、為替レートにおけるDynamics NAVとDynamics 365 for Operationsの違いは、前回の投稿で扱った勘定科目と同様に共有(Shared)の差となります。

Dynamics NAVの通貨と為替レートの設定

会社で利用する通貨と為替レートを会社に対して1つ1つ設定していきます。会社間で共有する仕組みはありませんので、同じ通貨、為替レートであっても会社毎に設定する必要があります。

< 通貨と為替レートの設定画面 >

< 同一インスタンス別会社の通貨と為替レートの設定画面 >
他社の設定済みの通貨とは別管理となります。

Dynamics 365 for Operationsの通貨と為替レートの設定

Dynamics 365 for Operationsでは通貨は基本的にISOの通貨コードで表されます。(Dynamics NAVでは、人民元の略号RMB等、ローカルコードの設定が可能。)

< 通貨コードの定義 >

為替レートの設定画面で利用する通貨間の為替レートを設定します。為替レートは複数通貨間の設定、期間の設定が可能です。

< 為替レートの設定画面 >

会社に、会計上の通貨の設定と(為替レートタイプを介して)為替レートを紐づけることで、海外通貨の取引が可能となる仕組みです。
為替レートタイプを介することによって、会社毎に同一通貨間で別の為替レートを設定することも可能となります。

< 通貨と為替レートの設定画面 >


通貨のように初期設定すればよいものであれば、共有(Shared)の仕組みを特に必要としませんが、為替レートのように定期的に更新を行ったり、更新をグループ会社間で統一する等の事項に対しては、共有の仕組みは非常に有用だと思います。
以上、ERP製品の違い・通貨/為替レート(Currency/Exchange rate)についてでした。

この記事を書いた人
杉原 義彦

SIer、パッケージベンダー、システム開発会社を渡り歩き、あらゆる角度からERPビジネスに携わる。
グローバルでのビジネスキャリアが長く、アジア圏、特に東南アジアに精通しておりローカライゼーションを得意としている。

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