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知識創造研究室 by CRM(xRM)

大企業向け・中小企業向けとは – ERP製品の違いを整理してみる(1)

みなさん、こんにちは。(よく閲覧される皆様、はじめまして。)

兼ねてよりERPに関するお問い合わせが多かったこともありますが、この度、Microsoft DynamicsR 365にてCRMとERPが同梱されましたこともありましてERPにも少しフォーカスをあてていきたいと思います。
なお、文中意見に渡る部分については、本稿執筆者の私見を含むことをお断りします。

製品ベンダー各社は技術刷新や独自の角度でのソリューション展開により、製品の差別化を図ろうとしています。
例えば、リアルタイムな経営判断を目的に超高速化が期待できるプラットフォームを構築したり、1つの業務をとことん追求し、法・制度改正にも随時対応する業務特化型製品・ソリューションを展開したり、今ブームであるAIをERPに搭載してしまおうなんて考える会社まであります。

本当にすばらしい!

・・・しかしながら 業種によって、データの見方や業務処理の手順に差異はあるものの、販売・購買や在庫管理、会計処理を行う仕組み、いわゆるベースとなる基幹業務は一通り製品標準で実現できるというのが、ERPの大っきな枠での特徴であり、基幹業務システムの導入やリプレイスを検討されている企業様にとっては、各社製品がある中で、どの製品が自社に本当に適しているのか、判断に迷うところだと思います。その上、初期費用は? 導入計画に無理はない? 保守内容は? といったことも加味すると基幹業務システムの導入・リプレイスにおいて、もう、何が最適解であるかわからなくなってしまいます。

このような悩みに対する一助になればと考え、製品の違いをブログを通して少しずつ整理していきたいと思います。

Dynamics AX (現Dynamics 365 for Operations) とDynamics NAV

Dynamics AXとDynamics NAVにフォーカスをあてていきます。
この2製品、導入する会社の規模でどちらが適当であるか判断する謳い文句を目にします。

・Dynamics AX 中~大規模
・Dynamics NAV 小~中規模

明確な判断基準であると思いますが、一方で「規模によって基幹業務って異なるのかしら?」と少々違和感が残ります。それでは、海外拠点・海外取引の有無、いわゆる企業のターゲットスコープで規模を捕えてみましょう。大凡、ターゲットが海外におよぶ=中~大規模、国内のみ=小~中規模と解釈できそうです。(ターゲットが海外におよぶ場合、それなりの体力を要する=体力を持っている=規模が大きいという。。。)

この解釈を加味すると、上記の謳い文句は妥当な基準であると思えます。というのも、Dynamics AXは、ローカライゼーションが標準実装されている一方、Dynamics NAVにおいては、ローカライゼーションはユーザー側または導入ベンダー側による機能追加を基本としているからです。

例として、インドにおける海外取引を見てみましょう。

インドでは、評価額(CIF + 陸揚げ費用)に対して基本関税(BCD: Basic Custom Duty)がかかり、評価額 + 基本関税に対して追加関税(CVD: Counter Vailing Duty)が課されます。
さらに基本関税 + 追加関税に対して、教育目的税(E-Cess: Education-Cess)と2次高等教育目的税(SHE-Cess: Secondary & Higher Education-Cess)それぞれが課され、且つ、評価額 + 基本関税 + 追加関税 + 教育目的税に対して特別追加関税(SAD: Special Additional Duty)が課されます。非常に複雑ですね。

Dynamics AXでは、製品標準のインドローカライゼーションにより設定のみで、これらの税金や費用の取引明細が自動生成されるよう実装することが可能ですが、Dynamics NAVでは追加開発が必要になるかと思います。また現地での申告納税時の添付資料(法定帳票)等も、Dynamics AXでは製品標準のローカライゼーションにて実装されていたりしますので、より中~大規模のグローバル企業向けであると言えるかと思います。

1つ注意したいのは、Dynamics AXのローカライゼーションも全世界各国をサポートしているものではありませんので、製品選定の過程でローカライゼーションサポート国の確認は必要となります。

なお、言語パックは両製品ともMicrosoft社より提供されております。

以上、Dynamics AXとDynamics NAVの違いについてでした。
今回の投稿は文字文字してしまいましたが、次回からは、より具体的に画像も使いながら解説していければと思います。

この記事を書いた人
杉原 義彦

SIer、パッケージベンダー、システム開発会社を渡り歩き、あらゆる角度からERPビジネスに携わる。
グローバルでのビジネスキャリアが長く、アジア圏、特に東南アジアに精通しておりローカライゼーションを得意としている。

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