テキスト分析を使ったDynamics 365サポート情報記事の自動提案
みなさん、こんにちは。
Dynamics 365 と人工知能(Cognitive Service)の統合に注目しているこの頃です。
今回は、顧客サービス業務で使えるテキスト分析を使ったナレッジの自動提案をご紹介します。人工知能搭載のDynamics 365はどこまでコミュニケーターをサポートできるのでしょうか。
Dynamics 365 でテキスト分析を使えるようにする
まずはDynamics 365 でテキスト分析を使えるようにします。
- Dynamics 365にシステム管理者でログインします。
- メニューから設定>管理>システムの設定>プレビューの順に移動し、[Dynamics 365 テキスト分析のプレビューを有効にする]を“はい”に設定します。
- 設定>管理>[Azure Machine Learning Text Analytics サービスの構成]に移動し、Azure Serviceの接続情報を登録しておきます。接続情報であるサービスURLとAPIキーはAzureポータルで事前に取得しておくことが必要です。
- 接続テストを行い、設定を検証します。接続に成功した場合、アクティブ化します。これでDynamics 365 でテキスト分析が統合され使えるようになります。
テキスト分析とはCognitive Services の Text Analytics API のことです。Text Analytics APIには次の機能が含まれています。
- 評判分析:指定されたテキストについて主観的な意見を識別し抽出するために0と1の間のスコアを返す。0にもっとも近い数字は負の感情、1にもっとも近い数字は正の感情を示す
- 重要なフレーズを抽出(用語抽出):入力テキストの要点を示す文字列のリストを抽出
- トピック検出:テキストグループ全体の要点を検出する。トピック検出には100件以上のテキストが必要
- 言語検出:エンジンが検出した言語がどの程度正確か示す明確なスコアとともに、検出された言語を返す
今回の解決ナレッジの自動提案においては、重要なフレーズを抽出(用語抽出)の機能を使っているように見受けられます。
サポート情報検索フィールド設定のセットアップ
Dynamics 365ではナレッジをサポート情報記事と表現されています。サポート情報記事に様々な解決策や手順が載ってくるわけですが、サポート情報記事の検索をスムーズに行うため、顧客サービス業務で受け付け記録する情報のうちどれを検索キーワードとして使うのかを決定します。
例えば、問合せ管理を行う[サポート案件]機能の[タイトル]と[説明]に記述されるテキストをテキスト分析して検索キーワードとして使うこととします。
- メニューから設定>サービスの管理>サポート情報検索フィールドの設定の順に移動し、サポート情報検索モデルの新規登録を行います。
- 下図のようにキーワードにするフィールドを決定し、アクティブ化しておきます。
サポート情報の提案を含めるように、サポート案件フォームを変更する
問合せ管理を行う[サポート案件]を入力中にナレッジの自動提案を受けられるよう、[サポート案件]の入力画面でテキスト分析によるナレッジの自動提案を有効に設定します。
- メニューから設定>システムのカスタマイズ>エンティティ>サポート案件>フォームをクリックし、利用しているフォームを選択します。
- フォームのカスタマイズ画面で[会話タブ] ボックスをクリックしてから[プロパティの変更] をクリックします。
- [サポート技術情報の検索] タブをクリックし、[自動提案を有効にする] チェック ボックスをチェックしてから、[サポート情報 (KB) の提案方法] ドロップダウンリストの[テキスト分析] を選択します。
- [保存] > [公開] の順にクリックして、修正したフォームを公開します。
ナレッジの自動提案を体験しよう!
事前にナレッジを登録して公開しておきます。そして、サポート案件を開いてタイトルと詳細に問合せ内容を記述し、真ん中のサポート情報レコードを押します。そうすると・・・不穏なアラートメッセージが表示されてしまいました。
調査すると私が手配したトライアル環境では英語のみがサポートされているようでしたので、英語で再度試してみます。すると、無事にサポート情報レコードの検索欄に自動的にテキスト分析により抽出された用語が設定されています!気になるナレッジの自動提案も見事に成功です。
まとめ
日本語対応が気になるところですが、機械のトラブル事象などは従来の検索方法を人手に依存して結果にバラつきが生じるような箇所を、人工知能が自動的に行い人をサポートしてくれるようになると業務効率化とともにファストレスポンスの期待が高まります。
ただし、人を相手にするサービスではさらにプラスアルファとしてCRMの根本である顧客インサイト(顧客理解・識別)が必要だとアーカス・ジャパンは考えています。
それに対応するソリューションが顧客サービスCRMに人工知能を融合させた「EMOROCO for Dynamics 365」です。
EMOROCOは与えられた顧客(パーソナライズ)情報と活動(問合せ等)情報を基に独自で推論を進めます。結果を出す過程でEMOROCOが誤った推論をしている場合もあり、EMOROCOが示す提案は全て正しいわけではありません。現時点ではEMOROCOの判断が正しいかどうかを見極めながら微調整を続け、さらに精度を上げるために新たなデータを追加し、今後より多くの情報を学習させることで、EMOROCOが提案する内容の精度は向上していくものになります。
https://www.arcuss-japan.com/products/base-ai
人工知能搭載のDynamics 365はどこまでコミュニケーターをサポートできるか、興味がつきませんね。次回もお楽しみに!
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