分析コード(Dimensions)について – ERP製品の違いを整理してみる(5)
みなさん、こんにちは。
ERPの違いについて整理してみる第5回です。
中堅中小企業向けERPのDynamicsR NAVと大企業向けERPのDynamics 365 for Operationsの比較となります。
今回は、会計周りの設定の中で分析コード(Dimensions)について触れてみたいと思います。なお、文中意見に渡る部分については、本稿執筆者の私見を含むことをお断りします。
分析コードとは
企業活動におきましては、販売や購買、請求、入金、従業員の経費申請等、様々なトランザクション(システム上の取引)が日々発生します。その際に必ず行われることが仕訳の記帳になります。分析コードとは、仕訳に付加する情報のことをいいます。Dynamics 365 for Operationsでは、会計上の分析コードを特に財務分析コード(Financial dimensions)といいます。
具体的に例を挙げてみますと、例えば、売上仕訳の記帳に際し、後々どの部署の売上かを仕訳上でも識別できるようにしておきたい、といった場合、以下のように仕訳に部署情報を付加します。このように付加される値および仕組みが分析コードです。
売掛金 / 売上 - 部署A
上記の部署Aが分析コードです。このような形でデータを蓄積することによって、後々に部署毎の売上を見たいといった場合でも簡単に算出できるようになります。
製品による分析コードの違い
分析コードにおけるDynamics NAVとDynamics 365 for Operationsの違いも、前回までの投稿で扱った勘定科目、通貨/為替レートと同様に共有(Shared)の差となります。
Dynamics NAVの分析コードの設定
会社で利用する分析コードおよび分析コード値を会社に対して1つ1つ設定していきます。会社間で共有する仕組みはありませんので、共通の分析コードであっても会社毎に設定する必要があります。
< 分析コードおよび分析コード値の設定画面 >
< 同一インスタンス別会社の分析コードおよび分析コード値の設定画面 >
Dynamics 365 for Operationsの分析コードの設定
分析コードおよび分析コード値は事前に定義しておき、各会社で利用する分析コードを選択(下図①)します。また、会社で利用しない分析コード値についても設定可能です。(下図②: GLMF会社ではBusiness unitの001は利用しない設定)
< 分析コードおよび分析コード値の定義画面 >
< 会社で利用する分析コードの設定画面 >
勘定構造コンフィギュレーション(Account structures)で勘定科目と分析コードの紐付きを定義し、それを会社に設定します。
分析コードを会社で設定できる数についても、Dynamics NAVの8種類(*)に対し、Dynamics 365 for Operationsでは無制限と違いがあります。また分析方法についても製品毎に仕様が異なります。
*Dynamics NAV 2016の仕様となります。Global dimensionsが2種類、Shortcut dimensionsが8種類の利用が可能です。Global dimensions利用時はShortcut dimensionsは6種類が利用可能となります。
< Dynamics NAVの分析コードの利用例 >
Global dimensionsを利用しチャートにて残高を参照。Global dimensionsはこのようなチャートにも活用可能な分析コードとなります。Shortcut dimensionsはチャートでの活用はできませんが、取引入力時に初期提案された値を任意に変更することが可能です。
< Dynamics 365 for Operationsの分析コード利用例 >
試算表にて、勘定科目と分析コード単位で残高を参照。事前に財務分析コードセット(Financial dimension sets)の設定が必要になります。
以上、ERP製品の違い・分析コード(Dimensions)についてでした。