主役は“ひと” – 知識創造社会をCRMから考える:その 2 顧客の顧客に関する情報
みなさん、こんにちは。
前回は、“ひと”がどのようにデジタル時代に貢献すべきか?についてCRM&現場の観点から紹介しましたが、今回はより具体的に顧客の顧客に関する情報とナーチャリングの必要性を紹介します。
顧客の顧客に関する情報
概要をおさえておきます。
会社情報⇒会社名、事業所・工場名、国、住所、業種、自社との関係(得意先、エンドユーザー)、売上高、決算期、従業員数、主要株主、親会社、前年取引実績(売上ベース)、累計取引実績(売上ベース)、他
個人属性⇒姓名、ふりがな、所属部署、役職、電話番号、FAX番号、メールアドレス、性別、連絡方法、関係性(深い、浅い、他)、出身学歴、誕生日、製品分類(取り扱いしてくれる自社製品)、ランク、予算、属性の変更履歴、他
このような情報が挙げられるかと思います。ここで注目したいのが、一般的に販売に関して価値が高いといわれる情報がBANT情報です。なお、BtoBにおいて業種情報は知識創造に不可欠な要素になりますので、別の回でご紹介したいと思います。
BANT情報
ノーアウト、ランナー一塁、バッターボックスに2番しらむー。さあ、ここは送りバントか!?・・・と実況が聞こえてきそうですが、野球のバントではありませーーーん!笑。BANT情報の意味を説明します。
- Budget(予算)⇒予算はあるか?または確保可能か?
- Authority(決裁権)⇒最終的に決裁する(実施稟議を押印する)人が明確か?
- Needs(必要性)⇒なぜ自社製品サービスが必要か、目的が明確か?
- Timeframe(導入時期)⇒導入する年月(+日)が具体的になっているか?
それぞれの頭文字をつなげてBANTですね。
BANT情報は、マーケティング活動で得られる多くの顧客から購買の見込みが高いであろう顧客を絞り込む条件として用いられます。現場はBANT情報への期待は高く、販売に貢献する情報として重宝するため、一般的に情報の価値が高いと言われています。
反面、現場において、顧客の顧客から情報を得ることや得られたとしても情報の鮮度を長期的に維持することが実際に難しいことを認識いただきたいと思います。そこで、組み合わせていきたい取り組みがナーチャリングです。
ナーチャリング
あまり聞きなれない言葉ですが、英語「nature」:養育する、育成する、という意味から、マーケティング活動においては“購買してもらえるかわからない顧客や一度購買してもらえた顧客”を“購買有望な顧客”へと育成するプロセス、という表現で定着しました。リードナーチャリングとも言われます。
図:ナーチャリングとは
例えば、自社ホームページの製品紹介や特定の事例紹介にアクセスが頻繁にあり、かつ、数日後に問い合わせがある際、事例紹介から必要性が推察され、導入を検討している(時期も近いかもしれない)可能性が高いと言えます。また、電話コンタクトなどコミュニケーション活動により、より明確な情報を聞き出せることがあります。収集した情報はBANTとして蓄積・更新していきます。
さらに、企業にとって購買の可能性やセグメンテーションを見やすい格好にするため、一定のアルゴリズムのもと算出して表現する手法がスコアリングです。
図:スコアリングの例示
このように企業の現場では、ナーチャリングのプロセスを実施し、顧客の顧客の変化・動向をつかみ、時流に乗るように戦略的かつ長期的にBANT情報を完成・維持する工夫がなされています。
まとめ
BANT情報とナーチャリングの取り組みが知識創造社会で生き抜くために欠かせないものであることを理解いただけたと思います。
次回は、より深くナーチャリングのプロセスを紹介する予定です。お楽しみに!