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EMOROCO CRM Lite

顧客管理から顧客関係創造へ — 「管理」という言葉が見落としてきたもの

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「顧客管理」という言葉は、長年CRMの代名詞として使われてきました。
しかし、この「管理」という言葉そのものに、私は違和感を持ち続けてきました。

今回は、なぜ「管理」から「創造」への転換が必要なのか、CRM4.0が目指す本質を掘り下げて解説します。

目次

1. 「管理」という言葉が持つ、そもそもの限界
2. CRM1.0〜3.0における「管理」の系譜
3. CRM4.0が目指す「創造」という転換
4. 「管理」と「創造」、具体的に何が違うのか
5. なぜ今、この転換が必要なのか
6. CRMは企業の「頭脳」であるという比喩
7. 「管理」から「創造」への転換、ある企業の変化
8. 「創造」とは、具体的に何をすることか
9. 創造を支える3つの軸
10. 組織文化としての転換に必要なもの
11. 「管理」に戻ってしまうよくある失敗
12. EMOROCO CRM Liteでの実現
13. よくある質問(FAQ)
14. まとめ

1. 「管理」という言葉が持つ、そもそもの限界

「管理」という言葉は、対象を一定の枠組みの中に収め、把握し、コントロールするという意味合いを持ちます。
在庫管理、工程管理、品質管理——これらの言葉が示す通り、「管理」は本来、物や作業に対して使われてきた概念です。

しかし、顧客は物でも作業でもありません。
顧客との関係性を「管理」の対象として捉えることは、無意識のうちに顧客を「コントロールすべき対象」として位置づけてしまう危険性をはらんでいます。
この違和感が、CRM4.0という理論の出発点の一つになっています。

2. CRM1.0〜3.0における「管理」の系譜

以前CRMの歴史と定義で解説した通り、CRM1.0からCRM3.0までは、それぞれ異なる形で「管理」を発展させてきました。

・CRM1.0:顧客情報の管理(データベース管理)
・CRM2.0:コミュニケーションチャネルの管理(プラットフォーム統合)
・CRM3.0:顧客体験の管理(AIによるパーソナライズ)

いずれの世代も、「顧客に関する何か」を、より精緻に、より効率的に「管理」することを目指してきました。
これは決して間違った方向性ではありませんでしたが、あくまで企業側から見た「管理」の発想にとどまっていたとも言えます。

3. CRM4.0が目指す「創造」という転換

CRM4.0は、この「管理」の系譜から「創造」という新しい発想への転換を目指しています。
関係性は、管理するものではなく、顧客と共に創り上げていくものだという考え方です。

この転換は、単なる言葉の言い換えではありません。
「管理」という発想では、企業が主体となり、顧客はその対象として位置づけられます。
一方「創造」という発想では、企業と顧客が対等な立場で、共に何かを作り上げていく関係として位置づけられます。
この主体と対象の関係そのものが、根本的に変わるのです。

4. 「管理」と「創造」、具体的に何が違うのか

具体的な違いを対比してみます。

管理の発想:顧客データを集め、企業にとって都合の良いタイミングで、最適なアプローチを行う
創造の発想:顧客との対話を重ね、共に次の一手を考えていく

管理の発想:顧客満足度を測定し、企業側の評価指標として活用する
創造の発想:顧客満足度の結果を、顧客とも共有し、共に改善に取り組む

管理の発想:解約を防ぐために、引き止めのための施策を打つ
創造の発想:解約に至る前に、関係性の変化に気づき、対話を通じて関係を立て直す

この違いは、以前One with Oneマーケティング実践編で解説したOne to OneとOne with Oneの違いとも重なります。

5. なぜ今、この転換が必要なのか

「管理」から「創造」への転換が、今まさに必要とされる背景には、次のような社会的な変化があります。

・消費者・取引先の情報リテラシーが高まり、企業からの一方的なアプローチに対する警戒心が強くなっている
・SNSなどを通じて、顧客同士が情報を共有し合う時代になり、企業が一方的に関係をコントロールすることが難しくなっている
・コロナ禍を経て、多くの企業が既存顧客との関係の重要性を再認識している

こうした変化の中で、顧客を「管理する対象」として扱うアプローチは、次第に効果を失いつつあります。

6. CRMは企業の「頭脳」であるという比喩

この転換の重要性を理解する上で、一つの比喩を紹介します。
CRMは、企業にとっての「頭脳」であるという考え方です。

ERP(基幹業務システム)やその他の業務システムは、いわば企業の「手足・身体」にあたります。
しかし、身体がどれだけ精巧であっても、それを動かす頭脳がなければ、企業は正しい判断も意味のある行動もできません。
CRMが正しく機能していない企業は、いわば「頭脳のない身体」——動いてはいるものの顧客との関係性という最も重要な判断軸を欠いた状態だと言えます。

「管理」にとどまるCRMは、いわば反射的な動きしかできない頭脳です。
データを蓄積し、決まったルールに従って反応することはできても、顧客と共に新しい価値を「創造」していくための能動的な思考はできません。
CRM4.0が目指すのは、この頭脳を、より高度な共創的な思考ができる状態に育てていくことだと言えます。

7. 「管理」から「創造」への転換、ある企業の変化

具体的なイメージを持っていただくために、ある企業での変化を紹介します。

この企業では、これまで顧客満足度調査を年に一度実施し、結果を社内の会議で共有するだけで終わっていました。
顧客からは「回答しても何も変わらない」という声も聞かれていました。
ある時期から、調査結果を顧客にもフィードバックし、「いただいたご意見をもとに、こう変えました」という報告を行う運用に変えたところ、次回の調査での回答率が大きく向上し、顧客からのコメントもより具体的なものに変化していったといいます。

この変化は、単に「アンケートのやり方を変えた」というだけではなく、顧客を「評価する対象」から「共に改善していく相手」として捉え直したことによる関係性そのものの質的な変化だったと言えます。

8. 「創造」とは、具体的に何をすることか

「創造」という言葉は抽象的に聞こえますが、具体的には次のような行動を指します。

・顧客からのフィードバックを、単なる評価としてではなく、次の商品・サービスを共に作り上げるための材料として扱う
・顧客との対話の中で、企業側も想定していなかった新しい価値の使い方を発見する
・顧客の成功が、そのまま自社の成功につながるような、長期的な関係を築く

これらは、一方的な「管理」では決して生まれない双方向のやり取りの中からしか生まれないものです。

9. 創造を支える3つの軸

CRM4.0が用いる、ナーチャリングスコア・感情温度・NPSという3つの軸は、この「創造」的な関係性を支えるための土台です。

ナーチャリングスコア:顧客がどれだけ能動的に関わってくれているかという行動の記録
感情温度:担当者が感じ取る関係性の質的な変化
NPS:顧客自身が、この関係をどう評価しているかという対話の材料

これらは、顧客を「管理する」ための指標ではなく、顧客と「対話を続ける」ための指標として位置づけられています。
数字そのものを目的化せず、対話のきっかけとして活用することが、創造的な関係構築の鍵になります。

10. 組織文化としての転換に必要なもの

「管理から創造へ」という転換は、ツールの導入だけでは実現しません。
組織文化としての変化が必要です。

・経営層自身が、顧客を「コントロールする対象」ではなく「共に創る相手」として捉える姿勢を示す
・現場の担当者が、顧客からのフィードバックを、恐れではなく期待を持って受け止められる環境を作る
・失敗や試行錯誤を、創造のプロセスの一部として受け入れる文化を育てる

これらは、以前営業の属人化を解消する方法「CRMに入力されない」問題の原因と対策で解説してきた組織的な取り組みとも深くつながっています。

11. 「管理」に戻ってしまうよくある失敗

CRM4.0の理念を掲げていても、実際の運用が「管理」に戻ってしまうケースがよく見られます。

過度なスコアリングへの依存:ナーチャリングスコアだけを見て、対話をせずに機械的にアプローチしてしまう
満足度調査の一方通行化:アンケートを取るだけで、結果を顧客にフィードバックしない
評価としての感情温度の使用:感情温度を、担当者の査定材料として使ってしまい、正直な入力が失われる

これらは、いずれも「創造」を目指していたはずが、無意識のうちに「管理」に回帰してしまうパターンです。
定期的に、自社の運用がどちらに近づいているかを振り返ることが重要です。

12. EMOROCO CRM Liteでの実現

EMOROCO CRM Liteは、この「創造」的な関係構築を、次のような設計思想で支えています。

・大量の一斉配信機能をあえて搭載せず、一人ひとりとの個別の関係構築を重視する設計
・感情温度という主観的な指標を、あえて記録として残す仕組み
・顧客ポータルを通じた双方向のコミュニケーション経路の提供
・ノーコードでの柔軟な拡張性により、顧客の声を反映した業務プロセスの変更を素早く実現できる仕組み

これらはすべて、顧客を「管理する対象」としてではなく、「共に創る相手」として位置づけるための具体的な機能設計です。

13. よくある質問(FAQ)

Q. 「管理」という発想を、完全に捨てる必要がありますか?
いいえ。
基本的な顧客情報の管理自体は、引き続き必要です。
重要なのは、管理の先に創造的な関係構築を目指すという意識を持つことです。

Q. 「創造」的な関係構築は、どの業種でも当てはまりますか?
はい。
BtoB・BtoCを問わず、顧客との対話を通じて価値を高めていくという発想は、幅広い業種に応用できます。

Q. この転換には、どれくらいの時間がかかりますか?
組織文化の変化には時間がかかります。
まずは一つのチームから、対話を重視する運用を試してみることをおすすめします。

Q. 「創造」を測る指標はありますか?
明確な単一の指標はありませんが、顧客からのフィードバックの質や量、NPSの推移、顧客との対話の頻度などが一つの目安になります。

Q. 経営者は、この転換にどう関わるべきですか?
経営者自身が、顧客を「管理する対象」ではなく「共に創る相手」として語る姿勢を示すことが、組織全体の意識を変える上で重要です。

14. まとめ

「顧客管理」という言葉が長年前提としてきた、企業を主体とし顧客を対象とする発想は、CRM4.0において「顧客関係創造」という双方向の共創的な発想へと転換します。
CRMを、企業の判断を支える「頭脳」として捉えるならば、この頭脳を「管理」にとどめるのか、「創造」へと育てていくのかは、企業の未来を大きく左右する選択です。
EMOROCO CRM Liteは、この創造的な関係構築を支えるための具体的な機能と設計思想を備えています。

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IT導入補助金対象ツール番号:DL07-0022934。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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