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One with Oneマーケティング実践編 — 理論を、日々の行動に落とし込む

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

CRM4.0が掲げる「One with Oneマーケティング」という考え方は、理論としては理解しやすい一方、実際の現場でどう行動すればいいのかが意外と分かりにくいという声をよくいただきます。

今回は、この理論を具体的な日々の行動に落とし込む「実践編」として解説します。

目次

1. One with Oneのおさらい
2. なぜ「実践」が難しいのか
3. One to OneとOne with Oneの行動の違い
4. 実践①:提案より先に、質問から始める
5. 実践②:顧客の声を反映するループを作る
6. 実践③:感情温度・NPSを「聞く」文化に変える
7. 実践④:一方的な発信ではなく、共創の場を作る
8. 実践⑤:「売るタイミング」を、共に決める
9. 実践⑥:失敗や不満を、隠さず共有してもらえる関係を作る
10. 実践⑦:「共創のための時間」を、業務プロセスに組み込む
11. 経営層・マネージャーに求められる、推進の役割
12. 業種別に見る、実践のイメージ
13. EMOROCO CRM Liteでの実現方法
14. よくある誤解:それは本当にOne with Oneか
15. よくある質問(FAQ)
16. まとめ

1. One with Oneのおさらい

CRM2.0/RM起源の考え方では、顧客一人ひとりに向けた「One to Oneマーケティング」が目指されてきました。
企業が顧客のデータをもとに、最適な提案やメッセージを届けるという一方向的なパーソナライズです。

CRM4.0が目指す「One with Oneマーケティング」は、この先にある考え方です。
企業が顧客に何かを届けるのではなく、顧客と共感し、共鳴し、共に関係性を創り上げていく
——一方向のパーソナライズから、双方向の共創的な関係性への転換です。

2. なぜ「実践」が難しいのか

この理論を聞いたとき、多くの人は「なるほど、大切な考え方だ」と納得します。
しかし、実際の営業活動や顧客対応の場面で「今、自分はOne to Oneをしているのか、One with Oneをしているのか」を意識しながら行動することは、簡単ではありません。

理由は、日々の業務が忙しい中で、つい「こちらから何を届けるか」という発想が先に立ちやすいことにあります。
提案書を作る、メールを送る、資料を届ける
——これらの行動そのものは間違っていませんが、その背後にある姿勢がOne to Oneのままになっていることがよくあります。

3. One to OneとOne with Oneの行動の違い

具体的な行動の違いを、対比してみます。

One to One:顧客のデータを分析し、最適なタイミングで最適な提案を届ける
One with One:顧客に今何を感じているか、何を求めているかを尋ね、一緒に次の一手を考える

One to One:企業側が用意したキャンペーンやプロモーションを対象者に配信する
One with One:顧客からのフィードバックをもとに、次の商品・サービスの方向性を一緒に議論する

One to One:満足度調査を行い、その結果を社内の改善活動に使う
One with One:満足度調査の結果を、顧客自身にも共有し、「一緒により良くしていきましょう」という対話を始める

この違いの核心は、「情報の流れが一方通行か、双方向か」という点にあります。

4. 実践①:提案より先に質問から始める

One with Oneを実践する最初のステップは、提案の前に、質問から始めることです。
「こちらが持っている解決策を届ける」のではなく、「今、何に困っているか、何を大切にしているか」を尋ねることから始めます。

これは、営業の基本として語られることも多いですが、CRM4.0の文脈では、単なる営業テクニックではなく、関係性そのものの築き方として位置づけられます。
質問から得られた情報は、単に「提案の材料」としてではなく、感情温度のような主観的な記録として、関係性の資産に加えていきます。

5. 実践②:顧客の声を反映するループを作る

顧客からのフィードバックを、単に「聞くだけ」で終わらせず、実際の製品・サービスの改善に反映し、その結果を顧客に伝えるというループを作ることが重要です。

・顧客からの意見を記録する
・その意見をもとに、実際に何かを変えた場合、その変更を顧客に伝える
・「あなたの意見がこう反映されました」という事実を共有する

このループがあることで、顧客は「自分の声が単なる意見として消費されるのではなく、実際に関係性に影響を与えている」と実感できます。
これこそが、共創的な関係性の本質です。

6. 実践③:感情温度・NPSを「聞く」文化に変える

感情温度やNPSといった指標は、単に「顧客を評価するためのデータ」として使ってしまうと、One to Oneの発想から抜け出せません。
これらの指標を「顧客の声を聞くための仕組み」として位置づけることが、One with Oneの実践につながります。

・感情温度が低い顧客に対して、「評価が下がっている」と判断するだけでなく、「何が起きているのか、直接聞いてみよう」という行動に変える
・NPSの回答結果を社内の評価材料としてだけでなく、顧客への「なぜそう思われたのか、教えてください」という対話のきっかけにする

指標は、判断の道具ではなく対話の入口として使うことが、One with Oneの実践における重要な視点です。

7. 実践④:一方的な発信ではなく、共創の場を作る

多くの企業が行う情報発信は、メールマガジンやDMのような一方通行の形式です。
One with Oneを実践するには、こうした一方的な発信に加えて、顧客と共に考える場を作ることが有効です。

・顧客向けの勉強会や座談会を開き、意見交換の場を設ける
・製品・サービスの改善案について、顧客に直接意見を求める機会を作る
・顧客同士が交流できる場を提供し、企業とだけでなく、顧客同士の関係性も育てる

これらの場は、必ずしも大がかりなイベントである必要はありません。
小規模な意見交換の機会でも共創の姿勢を伝えることができます。

8. 実践⑤:「売るタイミング」を共に決める

One to Oneの発想では、企業側が「今がこの顧客に売り込むベストタイミングだ」と判断し、アプローチを仕掛けます。
One with Oneの発想では、そのタイミングを顧客と一緒に見極めていくという姿勢が重要になります。

「今のタイミングでご提案するのがよいか、それとも少し時期を置いた方がよいか、一緒に考えさせてください」という姿勢は、一見遠回りに見えますが、長期的な信頼関係の構築においては、むしろ効果的な場合があります。

9. 実践⑥:失敗や不満を隠さず共有してもらえる関係を作る

One with Oneの関係性が本当に機能しているかどうかを測る一つの指標は、「顧客が、不満や失敗を隠さずに伝えてくれるかどうか」です。

多くの顧客は、企業に対して不満を感じても、それを直接伝えることなく、静かに離れていきます。
この静かな離反を防ぐには、「不満を伝えても、関係が悪化しない」という安心感を日頃から積み重ねておく必要があります。

・小さな不満に対しても、真摯に向き合う姿勢を示す
・不満を伝えてくれたことに、感謝の意を示す
・改善につながった場合は、その経緯を共有する

これらの積み重ねが、顧客にとって「この会社には、率直に話せる」という関係性を作ります。

10. 実践⑦:「共創のための時間」を、業務プロセスに組み込む

One with Oneの実践がうまく続かないというよくある理由の一つが、「共創のための時間」が、日々の業務の中に確保されていないことです。
目の前の商談や対応に追われていると、質問を丁寧に重ねる時間やフィードバックを振り返る時間は、後回しにされがちです。

この問題を解決するには、共創のための時間を意図的に業務プロセスの中に組み込むことが有効です。

・商談の最後に必ず「今日お話しした中で、他に気になっていることはありますか」と尋ねる時間を設ける
・週次の会議で顧客からのフィードバックを振り返る時間を固定のアジェンダとして設定する
・四半期に一度、主要な顧客との「振り返りミーティング」を業務スケジュールに組み込む

「時間があれば共創する」という発想ではなく、「共創のための時間を、あらかじめ確保する」という発想に転換することが、実践を継続させる鍵になります。

11. 経営層・マネージャーに求められる、推進の役割

One with Oneの実践は、現場の担当者だけの努力に頼っていては長続きしません。
経営層やマネージャーが、この考え方を組織の文化として根づかせるための役割を担う必要があります。

・マネージャー自身が、顧客との対話の中で質問を重視する姿勢をチームに示す
・顧客からのフィードバックが、実際に製品・サービスの改善に反映された事例を社内で共有する
・「売上につながる提案」だけでなく、「顧客との対話の質」も評価の対象として取り入れる

経営層がこうした姿勢を示すことで、現場の担当者も「これは会社として大切にしている価値観だ」と実感し、実践を継続しやすくなります。

12. 業種別に見る、実践のイメージ

業種によって、One with Oneの実践の形は異なります。

士業事務所:顧問先の経営課題について、一方的にアドバイスするのではなく、経営者と一緒に方向性を考える場を設ける
製造業:納品後のフォローアップで、単なる保守案内ではなく、顧客の現場での使われ方について意見交換する
美容サロン:施術の提案を一方的に行うのではなく、顧客の悩みや希望を丁寧に聞き、一緒にメニューを決める
不動産・施設管理:入居者からの要望を、単なる対応として処理するのではなく、物件全体の改善に反映するループを作る

業種は違っても、「情報を届ける」から「共に考える」への転換という構造は共通しています。

13. EMOROCO CRM Liteでの実現方法

EMOROCO CRM Liteは、One with Oneの実践を次のような機能で支えます。

活動履歴の記録:質問や対話の内容を、非定型データとして記録し、関係性の経緯を蓄積できます
感情温度・ナーチャリングスコア・NPS:これらを「対話の入口」として活用し、顧客への問いかけのきっかけとして使えます
顧客ポータル:顧客自身が意見や要望を伝えられる窓口を用意し、双方向のコミュニケーションを実現できます
ワークフロー:フィードバックへの対応状況を追跡し、「聞いたことが、その後どうなったか」を管理できます

これらの機能を、単なる「管理のためのツール」としてではなく、「対話を続けるための土台」として活用することが、One with Oneの実践につながります。

14. よくある誤解:それは本当にOne with Oneか

最後に、One with Oneを実践しているつもりで、実際にはOne to Oneのままになっているケースを紹介します。

顧客アンケートを取っているが、結果を社内でしか使っていない:これは、依然として一方通行のデータ収集です
「お客様の声を大切にしています」と発信しているが、具体的な反映事例がない:言葉だけの共創になっています
感情温度を記録しているが、査定のためだけに使っている:以前CRM4.0時代の営業組織づくりで解説した通り、これは対話の入口としての機能を失わせてしまいます

One with Oneを実践しているかどうかは、「情報が、顧客との間を往復しているか」という視点で、定期的に振り返ることをおすすめします。

15. よくある質問(FAQ)

Q. One with Oneの実践には特別なツールが必要ですか?
特別なツールがなくても、質問から始める、フィードバックを反映するといった行動そのものから始められます。
CRMは、こうした行動を記録し、継続させるための土台として役立ちます。

Q. すべての顧客に同じレベルの共創を求めるべきですか?
必要ありません。
関係性の深さに応じて、共創の度合いを調整することが現実的です。

Q. One with Oneの実践は時間がかかりすぎませんか?
一見遠回りに見えますが、長期的な関係性の構築という観点では、むしろ効率的な投資になります。

Q. BtoCのビジネスでもOne with Oneは実践できますか?
はい。
顧客数が多い場合でも、アンケートやレビューへの丁寧な対応、コミュニティ運営など共創の形はBtoCでも実践できます。

Q. One with Oneの実践度をどう測ればいいですか?
顧客からのフィードバックの量や質、NPSの推移、顧客からの不満・要望の共有頻度などを継続的に確認することをおすすめします。

16. まとめ

One with Oneマーケティングという理論は、「提案より先に質問する」「フィードバックを反映するループを作る」「指標を対話の入口として使う」といった具体的な行動に落とし込むことで、初めて実践に移せます。
One to Oneの発想からOne with Oneの発想へと切り替えるには、日々の小さな行動の積み重ねが必要です。
EMOROCO CRM Liteは、こうした対話の記録と継続を支える基盤としてこの実践を後押しします。

EMOROCO CRM Liteは月額1,500円/ユーザー(最低3ユーザーから)・初期費用0円で、30日間の無料トライアル(https://www.emoroco.com/)から始められます。
IT導入補助金対象ツール番号:DL07-0022934。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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