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Excel管理からの卒業チェックリスト — 「そろそろ限界かも」を数字で確認する

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

これまでこのブログでは、Excelでの顧客管理・営業管理にまつわる様々な課題を取り上げてきました。

今回は、それらの内容を一つのチェックリストに集約し、自社が「Excel管理から卒業すべきタイミング」にあるかどうかを具体的に確認できる形にまとめました。

目次

1. このチェックリストの使い方
2. カテゴリ①:情報の一元化に関するチェック
3. カテゴリ②:入力ルール・データ品質に関するチェック
4. カテゴリ③:セキュリティに関するチェック
5. カテゴリ④:属人化・引き継ぎに関するチェック
6. カテゴリ⑤:複数人・複数拠点利用に関するチェック
7. カテゴリ⑥:報告・分析に関するチェック
8. カテゴリ⑦:将来の事業成長・拡張性に関するチェック
9. 診断結果の見方
10. 卒業に向けた移行ステップ
11. 卒業を急ぎすぎないための注意点
12. このチェックリストから、次に読むべき記事
13. よくある質問(FAQ)
14. まとめ

1. このチェックリストの使い方

このチェックリストは、7つのカテゴリ、合計35項目で構成されています。
それぞれの項目について、「はい」に当てはまる場合は1点として数え、最後に合計点を確認してください。
点数が高いほど、Excel管理からの卒業を検討すべきタイミングが近づいていることを示します。

2. カテゴリ①:情報の一元化に関するチェック

・顧客情報が複数のExcelファイルに分散している
・同じ顧客の情報が部署ごとに別々のファイルで管理されている
・「最新版のファイルはどれか」を確認する作業が日常的に発生している
・顧客情報の全体像を把握するのに複数のファイルを開いて確認する必要がある
・ファイルの保存場所が担当者ごとに異なっている

これらは、以前顧客管理をExcelで続ける会社が、知らないうちに失っている5つのもので解説した「関係性の継続性」や「データの正確性」が失われている兆候です。

3. カテゴリ②:入力ルール・データ品質に関するチェック

・同じ会社名が表記の違い(株式会社の位置など)で複数回登録されている
・電話番号や日付の入力形式が担当者によって異なっている
・重要な項目が空欄のまま、放置されているレコードがある
・入力ミスや不正確なデータに気づかず長期間放置されていたことがある
・新しく入った担当者が入力ルールを毎回確認しながら作業している

これらは、テンプレートに入力ルールを強制する仕組みが備わっていないことから生まれるデータ品質の問題です。

4. カテゴリ③:セキュリティに関するチェック

・顧客情報を含むExcelファイルにパスワードが設定されていないものがある
・顧客情報を、私用のUSBメモリやパソコンにコピーしたことがある担当者がいる
・退職した社員のパソコンに顧客情報が残っていないか確認する仕組みがない
・顧客情報の入ったファイルをメールに添付して送信することがある
・「もしノートパソコンを紛失したら、どの範囲の情報が漏れるか」を答えられない

これらの項目は、以前Excelで顧客情報を管理するリスクで解説した紛失・漏えいのリスクに直結する項目です。
実際に、東京商工リサーチの調査では、個人情報の漏えい・紛失事故のうち10.5%が「紛失・誤廃棄」を原因としており、この項目は決して大げさなものではありません。

5. カテゴリ④:属人化・引き継ぎに関するチェック

・特定の顧客について、「詳しいのは特定の担当者だけ」という状況がある
・担当者が休むとその顧客からの問い合わせに他の人が答えられない
・過去の商談の経緯を確認するのに担当者本人に聞くしかない場面がある
・引き継ぎが口頭での説明だけで完了することが多い
・担当者の退職・異動によって、顧客との関係が途切れた経験がある

これらは、以前営業の属人化を解消する方法で詳しく解説した属人化のサインです。

6. カテゴリ⑤:複数人・複数拠点利用に関するチェック

・複数人が同じファイルを編集しようとして、うまく開けなかったことがある
・「〇〇のコピー」というファイルがいくつも生まれてしまっている
・拠点ごとに別々のファイルで管理しており、全社的な状況の把握に手間がかかる
・誰がいつ、どの内容を更新したのか分からなくなったことがある
・複数の担当者間で情報の食い違いが発生したことがある

これらは、Excelという表計算ソフトがそもそも複数人での同時利用を前提に設計されていないことから生まれる問題です。

7. カテゴリ⑥:報告・分析に関するチェック

・報告資料の作成に毎回1時間以上かかっている
・複数のシートやファイルから手作業で情報を集計している
・「今、全体としてどういう状況か」を感覚的にしか把握できていない
・過去のデータをもとに傾向を分析することが難しい
・経営会議での報告が感覚的な内容にとどまっている

これらは、CRM4.0が目指す「関係性資産化」という考え方がまだ実現できていない状態を示しています。
データが記録として蓄積されていなければ、分析や傾向把握は困難です。

8. カテゴリ⑦:将来の事業成長・拡張性に関するチェック

・今後、事業規模の拡大や取引先の増加を見込んでいる
・新しい商品・サービスを展開する予定があり、管理すべき項目が増えそうだと感じている
・海外展開や多言語対応が必要になる可能性がある
・事業承継やM&Aなど、将来的に会社の体制が変わる可能性を考えている
・現在の担当者が退職した場合、顧客情報が組織に残る自信がない

このカテゴリは、現時点での問題というよりも、将来に向けた備えとしての視点です。
事業承継やM&Aの場面では顧客との関係性が記録として残っているかどうかが会社の評価にも影響します。

9. 診断結果の見方

35項目のうち、当てはまった項目数を数えてみてください。

当てはまった項目数 状態 推奨アクション
0〜6項目 まだExcelでの運用が機能している段階 大きな問題は起きていない可能性がありますが、
今後の事業成長を見据えた早めの準備を検討する
7〜18項目 見直しを検討すべきタイミング 特にセキュリティ・属人化のカテゴリで当てはまる項目が多い場合、
優先的に対応を検討する
19項目以上 卒業を強くおすすめする状態 対応漏れや情報漏えいのリスクが高まっている状態。
早急にCRMのような一元管理基盤への移行を検討する

カテゴリ別の見方
全体の点数だけでなく、どのカテゴリに偏って当てはまっているかも確認してください。
セキュリティのカテゴリに集中して当てはまる場合は、まず情報の取り扱いルールの見直しから着手するなど優先順位のつけ方が変わってきます。

10. 卒業に向けた移行ステップ

チェックリストの結果、卒業を検討すべきタイミングだと分かった場合、次のようなステップで進めることをおすすめします。

・現在、顧客情報がどれだけのファイルに、どこに分散しているかを棚卸しする
・最も重要な顧客データ(取引先情報や進行中の案件)から優先的に移行を進める
・既存のExcelデータをそのまま活かせるインポート機能のある移行手段を選ぶ
・移行後も一定期間は並行運用の期間を設け、混乱を防ぐ
・移行が完了した領域からローカルのExcelファイルを適切に削除する

これらのステップは、以前ExcelからCRMへの移行完全ガイド導入3ステップガイドでもより詳しく解説しています。

11. 卒業を急ぎすぎないための注意点

一方で、卒業を焦りすぎることにも注意が必要です。

・一度にすべての業務をCRMに移行しようとすると現場が混乱しやすくなります
・既存の運用に慣れた担当者への説明を省略すると反発を招きやすくなります
・移行計画を立てずに始めるとデータの欠落や重複が発生しやすくなります

チェックリストで多くの項目に当てはまったとしても、移行そのものは、段階的に、計画的に進めることが重要です。

12. このチェックリストから、次に読むべき記事

チェックリストで当てはまった項目が多かったカテゴリに応じて、次のような記事もあわせて参考にしてください。

情報の一元化が気になる方は、顧客管理をExcelで続ける会社が、知らないうちに失っている5つのもので、より詳しい背景を解説しています
セキュリティが気になる方は、Excelで顧客情報を管理するリスクで、実際の紛失事故の事例も交えて解説しています
属人化・引き継ぎが気になる方は、営業の属人化を解消する方法で、具体的な解消ステップを解説しています
報告・分析が気になる方は、「営業日報がめんどくさいと感じる理由と解決策」で、記録の仕組み化について解説しています

このチェックリストは、あくまで全体像を把握するための入口です。
気になったカテゴリがあれば、それぞれの詳しい記事もあわせてご覧いただければと思います。

13. よくある質問(FAQ)

Q. チェックリストの点数が低くても、将来のために準備すべきですか?
はい。
事業が成長する過程で、いずれ多くの会社がこの限界に近づいていきます。
点数が低いうちから、移行の計画を検討しておくことは有効な備えになります。

Q. 特に優先して対応すべきカテゴリはありますか?
セキュリティに関するカテゴリは、情報漏えいという重大なリスクに直結するため、特に優先度が高いと考えられます。

Q. チェックリストの結果を、社内でどう共有すればいいですか?
経営会議や関連部署とのミーティングの場で、チェックリストの結果をそのまま共有することで、課題の共通認識を作りやすくなります。

Q. Excelを完全にやめる必要がありますか?
いいえ。
分析や簡単な集計にExcelを使うこと自体は問題ありません。
問題は、顧客情報という一次情報の管理をExcelだけに頼ることです。

Q. このチェックリストは、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
半年から1年に一度、定期的に見直すことをおすすめします。
事業の成長にともなって点数は変化していきます。

Q. 個人事業主や少人数の会社でも、このチェックリストは当てはまりますか?
はい。
規模の大小にかかわらず、当てはまる項目があれば、それは対応を検討すべきサインです。

Q. チェックリストに当てはまる項目が多い場合、すぐにCRMを導入すべきですか?
まずは無料トライアルなどを活用し、実際の業務データで試してみることをおすすめします。
焦って本格導入する前に感触を確かめる段階を設けてください。

Q. カテゴリ⑦(将来の事業成長)の項目は、今すぐ関係なくても記入すべきですか?
はい。
現時点で当てはまらなくても、将来の可能性として一度考えておくことで早めの備えにつながります。

Q. このチェックリストの結果を、他部署にも共有していいですか?
むしろ積極的に共有することをおすすめします。
営業部門だけでなく、情報システム部門や経営層にも共有することで全社的な課題認識につながります。

14. まとめ

このチェックリストは、これまでこのブログで取り上げてきた情報の一元化・データ品質・セキュリティ・属人化・複数人利用・報告分析という6つの視点を一つにまとめたものです。
当てはまる項目の数は、自社がExcel管理から卒業すべきタイミングにどれだけ近づいているかを示す一つの目安になります。
「そろそろ限界かも」という感覚を感覚のままにせず、こうしたチェックリストを使って具体的な数字として確認してみてください。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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