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EMOROCO CRM Lite

Excelで顧客情報を管理するリスク — パソコン紛失は、他人事ではありません

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「うちはクラウドサービスは使わず、Excelで顧客情報を管理しているから安心」
——実はこの考え方こそが、大きな見落としです。

今回は、Excelでの顧客情報管理、特にパソコンやUSBメモリの紛失・盗難という観点から、そのリスクを具体的に整理します。

目次

1.「紛失・盗難」は、統計上も無視できない原因である
2.実際に起きた、大規模な紛失事故
3.Excelで顧客情報を管理することの構造的リスク
4.具体的な紛失シナリオ
5.「パスワード付きZIP」では守れない現実
6.なぜCRMならこの構造的リスクを減らせるのか
7.EMOROCO CRM Liteでの対応
8.今すぐできる応急処置と、移行のステップ
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ

1. 「紛失・盗難」は、統計上も無視できない原因である

東京商工リサーチの調査によれば、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故180件のうち、原因別の内訳は次の通りです。

・ウイルス感染・不正アクセス:64.4%
・誤表示・誤送信:21.6%前後
・紛失・誤廃棄:10.5%
・不正持ち出し・盗難:残りの一部

出典:東京商工リサーチ「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査

「紛失・誤廃棄」だけで全体の1割強を占めているという事実は、サイバー攻撃のような高度な手口ではなく、単純な「置き忘れ」「うっかりの紛失」が今なお現実的なリスクであり続けていることを示しています。

2. 実際に起きた、大規模な紛失事故

紛失によるリスクの大きさを象徴する事例として、2022年6月に兵庫県尼崎市で発生した事件があります。
同市から業務を委託されていた会社の社員が、全市民約46万人分の個人情報が記録されたUSBメモリを紛失するという事件が起き、大きく報道されました(USBメモリは後日発見されています)。

この事例が示しているのは、大規模な個人情報の漏えいは、必ずしも高度なサイバー攻撃によって起きるわけではなく、「一人の担当者が、データの入ったメディアを紛失する」という極めてシンプルな出来事からも起こり得るということです。

出典:各報道機関の報道(2022年6月)

3. Excelで顧客情報を管理することの構造的リスク

Excelファイルでの顧客情報管理には、次のような構造的なリスクがあります。

パスワード保護の甘さ
Excelファイルにパスワードを設定している場合でも、簡易的なパスワードであれば、専用ツールで比較的容易に解析できてしまう場合があります。
パスワードを設定していないファイルも、現場では珍しくありません。

ファイルコピーの氾濫
「最新版」のファイルが、メール添付やUSBメモリのコピーを通じて、複数の担当者のパソコンに散らばっていきます。
気づけば、どのファイルが最新でどれが古い情報を含んでいるかも分からなくなります。

追跡できない持ち出し
誰が、いつ、どのファイルを、どこにコピーしたのかを、後から追跡することはほぼ不可能です。
ノートパソコンやUSBメモリを紛失した場合、「どの範囲の顧客情報が漏れた可能性があるか」を正確に把握することさえ困難です。

退職時のデータ回収漏れ
担当者が退職する際、その人物のパソコンやメールに顧客情報を含むExcelファイルが残ったままになっていないか、確実にチェックできている会社は実はそれほど多くありません。

4. 具体的な紛失シナリオ

現実に起こり得る、具体的なシナリオを挙げてみます。

・営業担当者が、顧客リストの入ったノートパソコンを、電車の網棚に置き忘れる
・自宅での作業のために、顧客情報入りのExcelファイルを私用USBメモリにコピーし、そのUSBメモリを紛失する
・出先で急ぎの確認が必要になり、顧客情報を私用スマートフォンに転送して確認した後、そのまま削除し忘れる
・カフェや新幹線内でパソコン画面に表示された顧客リストを他人に覗き見られる

これらは、決して特殊な状況ではなく、日常業務の延長線上で、誰にでも起こり得るシナリオです。

5. 「パスワード付きZIP」では守れない現実

日本の多くの企業では、メールでファイルを送る際に「パスワード付きZIPファイルを送り、後から別メールでパスワードを送る」という運用(いわゆるPPAP)が長年行われてきました。
しかし、この方法には次のような限界があります。

・パスワードを記載した別メールが同じ経路(同じメールサーバー)で送られるため、メールが盗聴されていた場合、両方とも読まれてしまう
・ファイルが一度パソコンにダウンロードされれば、それ以降のコピー・転送を制御できない
・受信者側のパソコンやメールボックスに、暗号化されていない状態のファイルが残り続ける

つまり、送信時の暗号化だけでは、Excelファイルというデータの性質上、いったん手元に渡ってしまえば、その後の拡散や紛失のリスクを止められないということです。

6. なぜCRMなら、この構造的リスクを減らせるのか

CRMを導入し、顧客情報をクラウド上(または自社管理の環境)の一元的な基盤で管理することで、Excelファイルが抱える構造的リスクの多くを根本的に解消できます。

・ファイルとしてローカルに保存されない:ブラウザ経由でアクセスする仕組みのため、パソコンの中に顧客情報のファイルそのものが残りにくい
・アクセス権限を一元的に管理できる:誰が、どの範囲の情報にアクセスできるかを、システム側で統制できる
・退職時のアクセス遮断が容易:アカウントを無効化するだけで、その人物のアクセスを即座に止められる
・持ち出しの必要性そのものを減らせる:外出先からでも安全にアクセスできれば、「Excelファイルをコピーして持ち出す」という行為自体が不要になる

「ファイルを紛失する」というリスクは、そもそも「ファイルとして持ち出さない」仕組みに変えることで根本的に減らせるのです。

7. EMOROCO CRM Liteでの対応

EMOROCO CRM Liteは、こうしたExcel運用のリスクに対して、次のような備えを提供します。

・セキュリティロール・フォームごとの権限管理:役割に応じて、閲覧・操作できる範囲を制限できます
・セルフホスト・Azure環境での構築:自社のセキュリティポリシーに合わせて、データを保管する環境を選べます
・全データのエクスポート機能:必要な場合には、統制された形でデータを取り出すことも可能です
・バリデーション設定:入力データの形式を統一し、誤った情報の混入を防ぎます

Excelでの管理から、こうした基盤への移行は、単なる業務効率化ではなく、情報漏えいリスクそのものを構造的に下げる取り組みでもあります。

8. 今すぐできる応急処置と、移行のステップ

CRMへの本格移行には一定の準備期間が必要ですが、その前に今すぐできる応急処置もあります。

今すぐできること
- 顧客情報を含むExcelファイルが社内の何台のパソコンにどれだけ存在するかを棚卸しする
- パスワード保護がされていないファイルに最低限のパスワードを設定する
- 私用USBメモリやスマートフォンへの顧客情報のコピーを社内ルールとして禁止する

移行のステップ
1. 主要な顧客情報から、CRMへの移行を段階的に進める
2. Excel運用と並行しながら、CRM上のデータを正とするルールに切り替えていく
3. 移行が完了したエリアから、ローカルのExcelファイルを適切に削除する

9. よくある質問(FAQ)

Q. Excelにパスワードを設定していれば、それで十分ではないですか?
簡易的なパスワードは解析されるリスクがあり、また、パソコンやUSBメモリ自体を紛失した場合、いつまでも安全とは言い切れません。
根本的な対策としては不十分です。

Q. CRMに移行すれば、紛失のリスクはゼロになりますか?
ゼロにはなりませんが、ファイルとして情報を持ち出す必要性そのものが減るため、紛失によるリスクは大きく下げられます。

Q. 移行には、どれくらいの期間がかかりますか?
Excelインポート機能を使えば、既存データを活かしながら段階的に移行できます。
一度にすべてを移行する必要はありません。

Q. 退職者が持っていたExcelファイルはどう回収すればよいですか?
退職時のチェックリストに、顧客情報ファイルの削除・回収を明記し、確実に実施する運用ルールを設けることをおすすめします。
CRMへの移行後は、アカウントの無効化だけでアクセスを遮断できます。

10. まとめ

Excelでの顧客情報管理は、パスワード保護の甘さ、ファイルコピーの氾濫、追跡できない持ち出しといった構造的なリスクを抱えています。
統計データが示す通り、紛失・誤廃棄は、決して過去の話ではなく、今なお現実的な情報漏えいの原因です。
CRMへの移行はこうしたリスクを「起きた後に対処する」のではなく、「そもそも起きにくい仕組みに変える」という根本的な対策になります。

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IT導入補助金対象ツール番号:DL07-0022934。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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