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今、CRMに投資すべき理由【連載①】不況を生き残る企業がしている「既存顧客」という選択

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

コロナ禍という未曾有の危機を乗り越えた企業・店舗を振り返ると、一つの共通点が見えてきます。
それは、常連客・既存顧客との関係を大切にしてきた企業・店舗ほど打撃が少なかったという事実です。

今回から3回にわたり、この教訓を今の経済環境にどう活かすべきか、そしてなぜ今CRMへの投資を後回しにしてはいけないのかを詳しく解説していきます。

目次

1.コロナ禍が教えてくれたこと
2.なぜ既存顧客が危機の時代に企業を支えるのか
3.世界的な景気減速懸念の中で改めて問われる「既存顧客重視」
4.日本企業に根強く残る新規偏重という構造
5.CRM未導入がこの構造をさらに悪化させている
6.既存顧客を大事にするとは具体的に何をすることか
7.よくある質問(FAQ)
8.まとめ:次回予告

1. コロナ禍が教えてくれたこと

2020年からのコロナ禍で、多くの飲食店・小売店が休業や時短営業を強いられました。
その中で、事業を存続できた店とそうでなかった店を分けた要因として、多くの経営者・専門家が語ってきたのが「常連客との関係の強さ」です。

新規客の来店が見込めない状況下でも、日頃から関係を築いてきた常連客がテイクアウトやオンライン販売、クラウドファンディングといった形で支え続けてくれた
——このような話は、コロナ禍の期間、数多くのメディアで取り上げられてきました。

一時的な集客施策ではなく、日頃からの関係の積み重ねが危機的状況における「持ちこたえる力」になったのです。

2. なぜ既存顧客が危機の時代に企業を支えるのか

既存顧客が危機の時代に企業を支える理由は、いくつかの側面から説明できます。

すでに信頼関係がある:新規顧客に一から信頼してもらう必要がなく、すぐに支援行動(購入・利用)につながりやすい
・多少の不便を許容してくれる:営業時間の短縮やサービス内容の変更があっても、関係性があるからこそ理解を示してくれる
・口コミという追加の力を持つ:既存顧客自身が、周囲に「あの店を応援しよう」と広めてくれることがある

これらはすべて、以前新規顧客に多大な予算をかける前にで触れた「1:5の法則」
——新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍かかるという原則とも重なります。

平時においても既存顧客との関係は効率的な資産ですが、危機の時代にはその資産価値がさらに際立つのです。

3. 世界的な景気減速懸念の中で改めて問われる「既存顧客重視」

現在、世界経済は不安定な状況が続いていると多くの識者が指摘しています。
物価高、金利動向、地政学的なリスクなど先行き不透明な要素が重なる中で、企業は「守り」の経営判断を迫られる局面が増えています。

このような環境下では、コロナ禍と同様に新規顧客の開拓に大きな予算を投じるよりも、すでに関係のある既存顧客との関係を強化し、離反を防ぐことの重要性が改めて注目されています。
景気が良い時期には見過ごされがちな「地味な既存顧客対応」こそが、不況期における企業の生命線になり得るのです。

4. 日本企業に根強く残る新規偏重という構造

しかし、多くの日本企業の実態は、この教訓とは逆の方向を向いています。
広告やプロモーションといった新規顧客獲得には多大な予算をかける一方で、既存顧客への対応は後回しにされがちです。

この背景には、次のような構造的な理由があります。

・新規顧客の獲得件数は、経営会議で分かりやすく報告できる「成果」として扱われやすい
・既存顧客との関係強化は、成果が「離反を防げた」という目に見えにくい形でしか現れない
・広告予算は年間計画に組み込みやすいが、既存顧客対応の予算は後回しにされやすい

「成果が見えやすいものに予算がつき、見えにくいものは軽視される」という構造は、多くの日本企業に共通する経営判断の癖だと言えます。

5. CRM未導入がこの構造をさらに悪化させている

この新規偏重の構造は、CRMが導入されていない会社ではさらに悪化しやすくなります。
既存顧客との関係性が担当者の記憶やExcelファイルに散らばったままでは、そもそも「どの既存顧客が、今どんな状態にあるか」を組織として把握できないからです。

・既存顧客の中で、関係が冷え込みつつある顧客に気づけない
・長年の取引実績があるにもかかわらず、担当者が変わった途端に関係が途切れる
・既存顧客からの追加提案の機会を見逃してしまう

CRMがなければ、「既存顧客を大事にしよう」という理念があっても、それを実行に移すための土台がありません。
理念を行動に変えるための仕組みがCRMという基盤なのです。

6. 既存顧客を大事にするとは具体的に何をすることか

「既存顧客を大事にする」という言葉は抽象的になりがちですが、具体的には次のような行動を指します。

・関係性の長さや状況の変化を、組織として継続的に把握する
・担当者が変わっても、これまでの経緯を引き継ぎ、同じ温度感で接客できる
・顧客自身の本当の評価(満足しているか、他者に薦めたいと思っているか)を、定期的に確認する
・関係が冷え込む兆候を、早期に察知してフォローする

これらはいずれも、EMOROCO CRM Liteが備えるナーチャリングスコア・感情温度・NPSという3つの軸やチャーン予測といった機能が、まさに実現しようとしている領域です。

7. よくある質問(FAQ)

Q. 新規顧客の獲得を完全にやめるべきということですか?
いいえ。
新規顧客の獲得も事業成長には欠かせません。
重要なのは、新規偏重に傾きすぎず既存顧客への対応にも適切な予算と仕組みを割り当てるバランスです。

Q. 既存顧客重視の効果はどう測ればいいですか?
解約率(チャーン率)の推移、既存顧客からの追加受注額、NPSスコアの変化などをCRM上のデータをもとに継続的にモニタリングすることで測定できます。

Q. 中小企業でもこの考え方は当てはまりますか?
むしろ中小企業ほど、限られた顧客基盤との関係性が経営に直結するため、既存顧客重視の考え方が重要になります。

8. まとめ:次回予告

コロナ禍という危機は、既存顧客との関係の強さが企業の存続力を左右することを示しました。
世界的に先行き不透明な経済環境が続く今、この教訓を改めて見直す必要があります。
しかし、多くの日本企業では、新規顧客獲得への予算偏重という構造が根強く残っており、CRM未導入がその構造をさらに悪化させています。

次回は、もう一つの見えない危機——顧客情報セキュリティへの投資不足について詳しく解説します。

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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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