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EMOROCO CRM Lite

税理士事務所が感情温度で顧問先継続率96%を達成した話 — 「離れる前に気づく」仕組みを作った日

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「顧問先が離れるとき、なぜかいつも突然なんです」

この言葉を、税理士・会計事務所の経営者から何度も聞いてきました。

でも本当に「突然」なのでしょうか。離れていく顧問先は、決して突然冷めたわけではありません。
必ず事前に「温度が下がっていた」はずです。
ただ、その変化に気づく仕組みがなかっただけです。

この記事は、感情温度の導入によって顧問先継続率を88%から96%に改善した税理士事務所の話です。

※本記事は業界の実態と複数社の導入パターンをもとにした仮想ストーリーです。


「突然の離脱」は本当に突然か

ある税理士事務所(スタッフ8名・顧問先数120社)での話です。

ある年、顧問先14社が年度内に契約を終了しました。
うち11社は「特に問題はなかった」という認識でした。
担当者に聞いても「突然解約の連絡が来た」という答えが返ってきます。

でも解約した顧問先の担当者に後日ヒアリングしたところ、共通するパターンが見えてきました。

「最後の1年間、担当者からの連絡が少なくなっていた気がする」

「決算が終わると、次の決算まで連絡がなかった」

「たまたま知り合いの先生に声をかけてもらった。それだけのことだった」

突然ではありませんでした。関係の温度が、少しずつ下がっていたのです。


感情温度の導入——最初の発見

EMOROCO CRM Liteを導入してまず行ったのは、顧問先120社全社への感情温度設定です。

設定基準(税理士事務所版):

🔴 ホット
 → 経営相談・節税相談が活発。相続・事業承継など
   本業以外の相談も来ている。紹介をくれたことがある。

🟠 ウォーム
 → 決算・申告は順調。定期連絡が続いている。
   担当者との関係は安定している。

🔵 クール
 → 最近、連絡の頻度が落ちた。面談の反応が薄くなった。
   担当者が変わってから少し距離を感じる。

🩵 コールド
 → 必要最低限の連絡のみ。他事務所を探している可能性。
   顧問料の値下げ打診があった。

設定が終わった瞬間、管理者は数字を見て沈黙しました。

設定結果:
ホット:18社(15%)
ウォーム:63社(53%)
クール:31社(26%)
コールド:8社(7%)

クール以下合計:39社(33%)

「33%がクール以下でした。正直、10%くらいだと思っていました。
見えていなかっただけで、問題はずっとそこにあったんです」


「クール以下」への先手設計——3本のワークフロー

感情温度の棚卸しが終わった後、クール以下の顧問先への「先手フォロー」を設計しました。

ワークフロー①:感情温度クール化の早期検知

トリガー:感情温度が「クール」以下に変化
アクション①:担当者へタスク生成
「{顧問先名}の感情温度がクールになりました。
 今週中に連絡を入れてください。
 売り込みなし。近況確認だけでよい。
 『最近、経営で気になることはありますか』の
 一言から始めること」

アクション②:マネージャーへSlack通知
「{顧問先名}の感情温度変化を確認してください」

ワークフロー②:決算月3ヶ月前の先手フォロー

トリガー:決算月の3ヶ月前(毎年自動)
アクション:担当者へタスク生成
「{顧問先名}の決算まで3ヶ月です。
 今月中に進捗確認の連絡を。
 今期の着地見通しと節税の話題を持参すること。
 現在の感情温度:{感情温度}」

ワークフロー③:最終面談から60日経過アラート

トリガー:最終面談日から60日経過
     ×感情温度がウォーム以下
アクション:担当者へタスク生成
「{顧問先名}との最終面談から60日が経過しています。
 今週中に連絡を。
 理由をつけて訪問するか、Zoom面談を提案すること」

「ナラティブメモ」が引き継ぎを変えた

この事務所で最も大きな変化をもたらしたのは、ワークフローではありませんでした。
「ナラティブメモ」の運用でした。

導入前、担当者変更のたびにこんなことが起きていました。

Aさんが5年間担当していたB社を、Cさんに引き継ぐ。
Aさんの頭の中には「B社の社長は数字より人情で動く」「3年前に税務調査があって、その後少し不信感が生まれた」「息子さんへの事業承継を検討中」という情報がある。
でもCさんには何も伝わらない。

Cさんの最初の訪問は、5年間の関係の文脈がゼロの状態で始まります。

ナラティブメモを導入してから、担当者はすべての面談後に1〜3文を記録するルールを設けました。

ナラティブメモの例:

2025年9月面談:
「社長が後継者問題を初めて口にした。
 息子さんは今の会社に満足していないようで、
 継ぐ気があるかどうか不確かな様子だった。
 次回はさりげなく聞いてみる」

2025年12月面談:
「節税の話より、人材採用の悩みの方が刺さった。
 採用費が嵩んでいることを気にしている。
 弁護士の先生を紹介できないか検討」

2026年3月面談:
「今期は過去最高益の見込み。社長の声が明るかった。
 来期の設備投資計画があるらしい。税制優遇の話を準備」

半年でナラティブが蓄積した顧問先は、担当変更時に引き継ぎ書が不要になりました。
新しい担当者が過去のナラティブを読み込んで「前任から詳しくうかがっています」という会話から始められるようになった。


1年後の変化

指標 導入前 1年後
顧問先継続率 88%(年間14社解約) 96%(年間5社解約)
感情温度クール以下の割合 33%(棚卸し時) 11%
担当変更後の6ヶ月以内解約率 23% 8%
月次報告会議の時間 月4時間 月1時間
顧問先からの紹介件数(年間) 7件 14件(2倍)

継続率88%→96%は、数字で見ると小さな変化に見えるかもしれません。
でも売上への影響は大きい。
顧問先1社あたり平均顧問料が月5万円の場合、9社の継続が増えると年間540万円の売上差になります。


「紹介が2倍になった」理由

継続率の改善と同時に起きた予想外の変化が、紹介件数の増加でした。

「感情温度ホットの顧問先にだけ、紹介をお願いするようにしました。
以前は誰にでも聞いていたので、関係が冷えている顧問先にも聞いていて、逆効果だったと思います。
感情温度で状態が見えるようになって、タイミングと相手を選べるようになった」

CRM4.0の「感情温度」は「管理ツール」ではありません。
「顧客との関係の現在地を知るための羅針盤」です。
現在地がわかれば、次の行動が決まります。
紹介を頼むべき顧問先、今は関係を温め直すべき顧問先、すぐに訪問すべき顧問先——これらが地図のように見えるようになった。


まとめ——「突然の離脱」は防げる

顧問先が離れるとき、本当に「突然」であることはほとんどありません。
必ず前兆があります。
連絡の頻度が落ちる、反応が薄くなる、面談がなんとなく形式的になる——これらが「感情温度の低下」として記録されていれば、先手を打てます。

この事務所が学んだことを一言で言うと、「見えていなかっただけで、問題はずっとそこにあった」です。

感情温度の設定から始めてください。
全顧問先のクール以下の割合を確認したとき、何かが変わります。

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製品情報:https://www.emoroco.com/


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この記事を書いた人
松原 晋啓

アーカス・ジャパン代表取締役/CRMコンサルタント
詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォーム型CRM)を提唱して世界的に広めてWWで表彰を受けたCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、The Wall Street Journal、Newsweek、TIME、WORLDCOM、毎日新聞(週刊エコノミスト)、文化放送等、国内外で多くの賞を受賞し、「経済界」にて4年連続で関西財界を代表する企業として選出されている。
著書:バーサタイリスト - 35歳までに「1万人に1人」の実力者になる方法

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