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知識創造研究室 by CRM(xRM)

不動産仲介会社がEMOROCO CRM LiteのGISマップで成約率1.8倍になった話 — 「そのうち客」を地図で管理し始めた日

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「成約した案件の半数以上が、初回来店から6ヶ月以上経過したお客様でした」

これが、うちのデータを初めてちゃんと分析したときに出てきた数字です。私はその瞬間、自分が何年もの間どれだけの機会を捨ててきたかを理解しました。

※本記事は業界の実態と複数社の導入パターンをもとにした仮想ストーリーです。


導入前——「そのうち客」が消えていく会社だった

私が代表を務める不動産仲介会社は、社員5名・年間成約40件前後の中規模仲介会社です。地元密着で15年やってきましたが、3年前から成約件数が頭打ちになっていました。

問題はわかっていました。追客です。

来店してくれたお客様の中には「今すぐではないが、いい物件があれば」という「そのうち客」が一定数います。こういうお客様は、今日契約しないからといって放置していいわけではない。むしろ、6ヶ月後・1年後に「あの時の担当者に連絡してみよう」と思ってもらえるかどうかが勝負です。

でも現実は、Excelで管理した顧客リストは増えていくばかりで「誰に今日連絡すべきか」がわからない。担当者がそれぞれのやり方で管理しているから、私には全体が見えない。新人は先輩の追客ノウハウを知らないまま放置してしまう。

来店してくれたお客様が、他社で決めたという話を後から聞くたびに「あの人、まだ検討中だったのか」と悔しい思いをしました。


GISマップとの出会い——「希望エリアを地図で見たら何かが変わる気がした」

EMOROCO CRM Liteを知ったのは、取引先の工務店経営者から「うちで使ってる」と聞いたのがきっかけです。最初は「不動産には関係ない」と思っていました。

デモを見て、GISマップ機能を見た瞬間に感じたのです。「これだ」と。

お客様の希望エリアを地図上に表示して、感情温度(赤=ホット・オレンジ=ウォーム・青=クール・水色=コールド)に応じてピンの色を変える。地図を開くと「今日誰に連絡すべきか」が視覚的に一目でわかる。

不動産仲介において「どのエリアを希望しているか」は顧客理解の核心です。「〇〇小学校の学区内」「駅から10分以内で駐車場付き」という希望条件は、その顧客が「どんな暮らしをしたいか」を反映しています。それが地図上に並んだとき、「このエリアに新規物件が出たら誰に連絡すべきか」が瞬時にわかる——これは今まで手作業でやっていたことが、設計として組み込まれる感覚でした。


導入初日の衝撃——顧客172名の感情温度を設定した

契約してまず最初にやったのは、過去2年間の顧客172名全員の感情温度を設定することです。半日かかりました。

結果を見て、言葉を失いました。

  • 赤(ホット):11名(6%)
  • オレンジ(ウォーム):38名(22%)
  • 青(クール):79名(46%)
  • 水色(コールド):44名(26%)

クールとコールドを合わせると72%。「放置されている顧客が7割以上」という現実が数字になった瞬間でした。

特にショックだったのは、クールの中に「初回来店から3〜6ヶ月経過しているが、まだ検討中のはずのお客様」が40名以上いたことです。「そのうち客」として心の中では覚えていた人たちが、実際には「誰からも連絡がいっていない状態」になっていた。

担当のベテラン社員に聞くと「あの人たちは気長に待つタイプだから」という答えが返ってきました。「気長に待つ」のは事実でも、「だから連絡しない」は違う。タイミングよく連絡が来た他社に流れていたとしたら——そう思うと、背筋が寒くなりました。


最初の3ヶ月——地図が変わり始める

感情温度を設定した翌朝から、GISマップの見え方が変わりました。

希望エリアごとに顧客がピンとして立ち、その色が感情温度を示す。青いピンが密集しているエリアは「フォローが遅れているお客様が集中しているエリア」です。新しい物件情報が出たとき、「このエリアに青いピンがある人たちに今日連絡する」という行動が自然に生まれました。

設定したワークフロー(最初の3本):

ワークフロー①:「そのうち客」の定期フォロー

トリガー:希望条件更新日から45日以上経過 × 感情温度がウォーム以下
アクション:担当者にタスク生成「{顧客名}様へ近況確認の連絡。
      希望エリアの新着物件情報を添えて送ること」

ワークフロー②:新着物件×希望条件マッチング通知

トリガー:新規物件レコードを作成(エリア・価格帯・間取りを入力)
アクション:希望条件が一致する顧客の担当者にタスク生成
      「{顧客名}様の希望条件に合う物件が出ました。本日中に連絡を」

ワークフロー③:来店後48時間フォロー

トリガー:来店記録(活動レコード)から48時間経過 × 次回アポが未設定
アクション:担当者にタスク生成「{顧客名}様の来店から48時間。
      感想確認と次のアクション提案を行うこと」

3つ目のワークフローは特に効果がありました。来店後48時間以内の連絡は、他社の物件を比較検討しているタイミングで「あの担当者、動いてくれているな」という印象を作ります。

導入3ヶ月後の変化: フォロー実施率:27% → 78%(青・水色ピンへの接触率) 来店後48時間以内フォロー率:34% → 91%


6ヶ月後——「新人でもベテランと同じ動きができる」

入社2年目の若手スタッフが、入社5年のベテランと同じ成約率を出したのが6ヶ月目でした。

これは今まで起きたことがなかった変化です。

ベテランは「あの顧客はそろそろ動くタイミング」という感覚を持っています。新人にはそれがない。EMOROCO CRM Liteを導入する前は、この「感覚」の差が成約率の差でした。

GISマップと感情温度とワークフローが組み合わさることで、「今日誰に連絡すべきか」が新人でもシステムから見えるようになりました。ベテランの感覚が、設計に変換された瞬間です。

また、「希望エリアの直近更新日」フィールドを運用し始めたことで「この顧客の条件は半年前のまま更新されていない」という発見が生まれました。条件が更新されていない顧客は「検討を止めたのか」「条件が変わったのか」を確認する絶好のタイミングです。

6ヶ月後の変化: 新人スタッフの成約件数:月1〜2件 → 月3〜4件 「希望条件の直近更新日」確認からの再来店率:23%


9ヶ月後——データが「勝ちパターン」を教えてくれた

9ヶ月間のデータが蓄積されたとき、私はダッシュボードで成約案件を分析しました。そこで出てきた数字が、冒頭で紹介した「成約の半数以上が初回来店から6ヶ月以上経過」という事実です。

さらに掘り下げると、こんなパターンが見えてきました。

成約に至った顧客の共通点(上位20件を分析):

  • 初回来店から成約まで平均8.3ヶ月
  • その間に担当者からの接触が平均6.2回(自発的な連絡+ワークフローによるフォロー)
  • 成約1〜2ヶ月前に感情温度がウォームからホットに変化していた案件が74%

「8ヶ月間・6回の接触」という数字は、今後の追客設計の基準になりました。「8ヶ月間連絡を続けられるワークフロー」を設計し直しました。また「感情温度がホットに変化した顧客は当日中に物件提案」というルールを全員で共有しました。


1年後——成約率1.8倍・担当者交代でも関係が続く

導入から1年後の数字です。

指標 導入前 1年後
年間成約件数 42件 76件(+81%)
成約率(来店数対比) 18% 32%(1.8倍)
追客からの成約件数 年11件 年31件
担当変更後の継続率 68% 91%
1人あたりの月次フォロー件数 平均12件 平均38件

成約率1.8倍という数字は、新規集客を増やしたわけではありません。「来てくれたお客様を逃さない仕組み」を作ったことで出た数字です。

担当変更後の継続率が上がったことも、予想以上の成果でした。ベテラン社員が産休に入ったとき、引き継いだ社員が感情温度の変遷・ナラティブメモ・希望条件の更新履歴を読んで「前の担当者から詳しくうかがっています」という言葉から始められた。顧客から「担当が変わって不安だったが、引き継いでくれていて安心した」という言葉をいただきました。


この1年で学んだこと——3つの教訓

教訓①:「感情温度を入力したくない心理」への対処

最初の1ヶ月、スタッフが感情温度を「全員オレンジ(ウォーム)」にする傾向がありました。クールをつけることへの心理的抵抗です。

「感情温度は評価指標にしない」「顧客の状態を正確に把握するための道具であって、担当者の評価には使わない」と私が明言してから、データの正確性が上がりました。

教訓②:ワークフローは「増やしすぎない」

最初の3ヶ月でワークフローを8本設定しましたが、タスクが多すぎて担当者が「消化できないタスクの山」に埋もれる事態になりました。3本に絞り直して、完了率が戻りました。「少ないワークフローを全件こなす」の方が「多いワークフローの半分しかこなせない」より成果が出ます。

教訓③:GISマップは「訪問計画」だけでなく「商圏分析」にも使える

希望エリアのピンが集中している場所を見ていると、「このエリアで物件が出たら何人に刺さるか」が事前にわかるようになります。物件情報を取得する優先順位が変わりました。


まとめ——「地図で見る」ことで変わったもの

不動産仲介の仕事において、GISマップが変えたのは「訪問効率」ではありませんでした。変えたのは「顧客理解の深さ」です。

希望エリアが地図に表示されることで、「なぜそのエリアなのか」「どんな暮らしをしたいのか」という文脈が見えてきます。感情温度が色で見えることで、「今この人はどういう状態か」が一目でわかります。この2つが組み合わさったとき、「今日誰に何を持って連絡するか」という行動が変わります。

「そのうち客を育てる仕組み」は、待つことではありません。適切なタイミングで、適切な情報を持って、適切な方法で連絡し続けることです。それを担当者の記憶と感覚に頼らず、設計として組み込む。EMOROCO CRM Liteのおかげで、うちはそれができるようになりました。

【今日からできる最初の1ステップ】 過去2年間の顧客リストをインポートし、全員の感情温度と希望エリアを設定してみてください。「クール以下が何%いるか」「何ヶ月も連絡していない顧客が何人いるか」——その数字が見えた瞬間、今日の行動が変わります。

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デジタル化・AI導入補助金2026 対応ツール番号:DL07-0022934
製品情報:https://www.emoroco.com/


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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