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知識創造研究室 by CRM(xRM)

【連載 | CRM 4.0 #03】CRM4.0で変わる金融業 - 信頼だけでは不十分な時代にどう共鳴を生むか?

みなさん、こんにちは。
CRM 4.0が各業種・業界にどう変革をもたらすのかを連載形式で解説したいと思います。
連載の3回目は、金融業を取り上げていきます。

金融業界に求められる変化:「信頼の可視化」から「共鳴関係の構築」へ

これまで金融機関は、「堅実さ」、「信頼」、「安心」といったブランドイメージによって顧客と関係を築いてきました。
しかし、今、単なる信頼では顧客の心は動かなくなってきています。

・同じような金利・手数料
・無機質な商品ラインナップ
・誰が担当かわからないサポート

このような "横並び" の環境下では、選ばれる理由が「なんとなく」になりがちです。
そこで求められるのが、顧客と共鳴する「意味」のある関係性
CRM 4.0は、その実現のためのキーコンセプトです。

CRM 4.0で目指すべき金融サービスの姿とは

金融業におけるCRM 4.0のユースケース

顧客別「人生の背景」に合わせた提案

・資産形成の目的(子育て、老後、移住など)に合わせたプランを提示
・同じ年齢・資産でも「価値観(安定志向か挑戦志向か)」で異なる対応を自動設計
・顧客の "声" や感情の履歴を分析し、「将来の不安」を先回りで解消

感情データに基づくフォロー・クロスセル

・担当変更後のフォローで、過去のやり取りから信頼を崩さない文脈を提案
・問合せやセミナー参加後の感情変化をAIが検出 → 営業が適切な温度感で連絡
・「この人は自分のことをわかってくれている」という印象設計を支援

支店・Web・アプリ・コールセンター間の360度連携

・CRMが顧客の行動履歴・金融商品保有・属性・心理傾向を一元化
 例:店頭で口座開設 → 翌日アプリで住宅ローンシミュレーション → 後日「将来設計」アドバイス通知
・顧客にとって "バラバラな金融体験" を "意味のある流れ" に変換

顧客との共創による商品・サービス設計

・CRMを通じて「相談ログ」や「意見」などを収集・分類 → 新商品開発に活用
・若年層、シニア層など世代別の "隠れニーズ" をパターン化しサービス刷新
・ファン化した顧客がコミュニティを形成 → UGC(顧客発信)活用
※UGC:User Generated Contentの略。一般の消費者が自ら作成・発信したコンテンツ全般

人間関係に基づく紹介・信頼の再構築

・顧客の「人間関係ネットワーク」をCRM上で可視化
 例:家族口座連携、紹介経由、旧知の顧客との関係性など
・「あなたの知人もこのプランを選んでいます」など共感の文脈で提案可能に

CRM 4.0を実現する基盤:EMOROCOの適用イメージ

EMOROCOは、CRM 3.0におけるパーソナライズを支えるAI基盤ですが、CRM 4.0では「顧客と感情的にどうつながるか」、「ブランドの姿勢とどう響き合うか」を支援する共感CRMプラットフォームとして活躍します。

CRM 4.0導入による金融機関の変化

◆定量効果(一例)

・提案承諾率の向上
・紹介経由の新規口座開設数増加
・金融教育セミナー後のサービス申込率向上
・アプリ・Webの継続利用率向上

◆定性効果(一例)

・営業・カスタマーサポート部門が「共感ベースの対応」に自信を持てるようになる
・顧客から「この銀行は自分のことを理解してくれている」という評価が増加
・若年層顧客の離脱抑止/ライフイベント時のリテンション強化

まとめ:信頼だけでは届かない時代に「共鳴する金融」へ

金融機関が「選ばれる理由」は、金利や利便性ではなく "自分を理解してくれているかどうか" に移行しています。
CRM 4.0は、「金融を売る」のではなく、「人生を支えるパートナーになる」ための戦略です。
信頼から共鳴へ、管理から共創へ。
それが、金融業にとってのCRMの未来です。

次回予告

次回は、「CRM 4.0で変わる教育業界 -生徒の "点数" ではなく "可能性" を育てる関係性へ」をテーマにお届けします。

この記事を書いた人
河内 祐樹

社会人1年目でDynamics CRM 4.0と出会い、各種Dynamics CRM の導入や立ち上げに携わる。
CRM導入の楽しさに魅了され、紆余曲折ありながらもDynamics CRM を専門に日々奮闘中。
営業部門向けやサポート部門向けの導入経験が多く、SFAやコールセンター向けの導入を得意としている。

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