ローカライゼーションと製品の対応度合い – タイ(Thailand)
みなさん、こんにちは。
今回は、ローカライゼーションについてとなります。
Dynamics 365 for Operationsとタイ(Thailand)を題材にしたいと思います。
なお、文中意見に渡る部分については、本稿執筆者の私見を含むことをお断りします。
ローカライゼーションとは
昨今、ローカライゼーションは一般的な言葉となりました。
ITにおいて、ローカライゼーション製品と言われることがありますが、この意味は、大きく、各国の法・制度、商慣習に対応した製品という意味で使われています。ローカライズの代表格としましては、言語対応になるかと思います。
以下は、Dynamics 365 for Operationsをタイ語に変換したものです。
日本語への言語変換ももちろん可能です。Dynamics 365 for Operationsは、タイ語や日本語に対応したローカライゼーション製品となります。尚、Dynamics 365 for Operationsは、タイ語、日本語を含む41の言語に対応した製品となります。
言語については、比較的分かりやすいローカライゼーションだと思います。
それでは、法・制度、商慣習に対応した、というのは具体的にどのようなものなのでしょうか。
法・制度、商慣習への対応
法・制度、商慣習への対応として、一般的にまず挙げられるのが、税金の設定、税務帳票の出力、になるかと思います。付加価値税(VAT: Value Add tax)、源泉徴収税(WHT: Withholding tax)が代表的な税種となりますが、Dynamics 365 for Operationsでは何れの税金にも対応しております。
帳票出力機能も充実しています。
<付加価値税の出力メニュー>
源泉税のメニューにPor Ngor Dor(ポーゴードー)とありますがこれは源泉税の申告フォームの名称となります。付加価値税の場合は、Phor Phor(ポーポー)と言います。付加価値税のメニューにPhor Phorの表記は無いものの、何れも出力機能が製品標準で準備されております。
以前のバージョン(Dynamics AX 2012 R3)での製品情報となりますが、申告フォームの表紙は、Dynamicsから出力されない仕様です。これは申告フォームの表紙が毎年のように更新されるからだと考えられます。Dynamicsから出力する帳票は、申告納税時の根拠として、会計監査人や当局に提出する添付資料として利用することを想定しているようです。しかしながら、この添付資料においても、実務で利用するには機能改善の余地はあるようで、主な要件を以下に紹介したいと思います。
- 仏暦(西暦+543年)の追加表示
- 納税者番号、本支店コード(ブランチコード)の追加表示
- 確認者や承認者のサイン欄の付加
その他の代表的なローカライゼーションとしては、TAX INVOICEが挙げられるかと思います。タイでは、TAX INVOICEに対して、以下の要求があります。
- TAX INVOICEの記載
- 発行者の名称、住所および納税者番号
- 商品・サービスの購買者の名称、住所および納税者番号
- TAX INVOICE番号(シリアルナンバー)
- 商品・サービスの種類、区分、数量および価格
- 付加価値税金額(本体価格と分けて表示)
- TAX INVOICEの発行日付
あと、日系企業のタイ拠点の基幹システムにおいて考慮したいのが、BOI/Non-BOIの対応となりますが、それについては、今後の機会に回したいと思います。
以上、ローカライゼーションと製品の対応度合いでした。
これらの要件を取り込んで、テンプレート製品とするのも良いかもしれませんね。