無いと困るよCRM(後編)
こんにちは、ソリューションスペシャリスト(プリセールス)の村上です。
この連載では、私の過去の実体験を振り返った時に、「CRMが活用されていなかったから困ったのか!」と気づいた出来事について書いています。
前編では顧客の立場での事をお話ししました。
今回の後編は、私の以前の仕事(EC事業の運営)での体験談です。
「1顧客=1ID」の有る時、無い時
CRMについて調べると必ず出てくるこの言葉→「1顧客1ID化」。
(引用)
「1人のユーザーに関するデータが各サービス間をまたがって共有され、ユーザーの利便性向上につなげる」
(『この1冊ですべてわかる CRMの基本』 坂本雅志、日本実業出版社、2014)
という考え方です。
EC事業に携わった経験からすると、この意味や意義は非常に実感として理解出来ます。
ここからはその当時を思い出しながらお話を進めて行きたいと思います。
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私のいた会社はかなり小規模で、EC事業の実務を担うのは私を含めて2~3名でした。
それに対してモール型ECサイトに複数出店していたので、自社ドメインを含めると店舗が5つほどありました。
日々のそれぞれの担当業務に加えて電話やメールでやってくるお客様対応を兼務するような形でしたが、そこで私はある問題を感じていました。
それは、 お客様情報の紐づけが出来ていないことで、問合せ対応や注文者へのフォローにおいて大きな損が出る ということです。
EC事業では、例えば次のようなことが頻繁に起こります。
◆モールAで注文or問合せをしてきた人が、モールBでも注文or問合せをしている
◆電話問合せを受けたが、実はこの顧客は同日にメールでも同じ内容を問い合わせている
◆半年前の購入者が、同じ製品のカスタマイズを希望して問い合わせてくる
◆リピーターが「前回と同じようにして送って欲しい」と要望してくる
◆リピーターの注文で送付先の宛名が前回と異なるが、住所は一致する
Etc…
こんな時、1顧客1ID化が出来ていなかったらどうなるか? というと↓↓↓
×過去の購入履歴や対応内容の調査に膨大な時間がかかる→場合によってはデータが無く不明!ということも
×問い合わせの重複に気づけないので、特に回答者が異なる場合など内容の統一性が無くクレームになる
×宛名違いを検出できないので、配送時にトラブルを起こす危険性が非常に高い
では一方出来ていたらどうか? ↓↓↓
〇購入履歴や問い合わせ履歴をすぐにチェック出来るので、迅速かつ的確な対応が可能
〇社内での情報共有が容易なので、店舗としての統一性ある回答や担当者同士のフォローが可能
〇システムで情報管理することにより、ヒューマンエラーによる失注やトラブルの抑止に繋がる
私の勤め先は前者で、やはり非常に勿体ない失注なども結構あったなあと思います。
そしてお客様からのご指摘やクレームも、「紐づけをしていれば絶対に避けられたはずだ」と思ったことも多々あります。
実際私の場合どうしたかというと、自分が発注から引く代わりに全店舗の受注・問い合わせ全てに目を通し、他の担当者に伝わるように即警告や連絡を出す というやり方で対処しました。
今振り返ると知らないながら自分自身をCRMシステムのように使おうとしていたのかな、と思いますが・・・・こんなことは正直非効率的かつ属人性が高すぎるので、やってはいけないですね(^^;
顧客対応の変化と売上への影響
兎にも角にも顧客情報の紐づけを試みた結果、全体的に顧客満足度の上昇に繋がる行動が出来るようになっていたかと思います。
お客様へかける言葉でも、リピーターさんへ「いつもご注文いただいてありがとうございます」と添えるだけでも(このお店は自分のことをちゃんと認識してくれている)と感じていただき、親近感を持ってそこからの話をしてもらえるケースが多かったです。
初回のお客様でも、担当者がスムーズな対応をしたことで好印象を持ってくださり、「ここでこのまま頼むわ!」と即決いただけることもありました。
そうなると店舗内でも良い循環が生まれ、売上もより高い目標を掲げられるようになりました。
終わりに
前編からここまでお話しして来ましたが、CRM活用の効果はまだまだ沢山あって、私がお伝え出来るのはほんの一部です。
ただ今回の記事を通して、少しでも身近な効果を知っていただけたら嬉しいです。
どんな変化が生まれるのかは組織それぞれに異なりますから、CRMの導入に迷ってらっしゃる企業様はぜひ一歩踏み出していただきたいと思います。
また、今日本ではCRMがまだまだ浸透しているとは言い難いので、これからの時代の中でも成長を続けるための手段としてCRMをもっと多くの人に知ってもらいたい と願っています。