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訪問介護事業所がEMOROCO CRM LiteのGISマップで月間60時間の移動ロスをなくした話
こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。
「小林さん、今日の最初の訪問が終わったのが10時半ですね。次の田中さんは11時からですが、田中さんの家まで30分かかりますよ」
スタッフの中田からの電話を受けたとき、私は思わず手が止まりました。
中田は今日初めて担当するルートを走っていました。ベテランの佐藤が急病で休んだため、急遽代わりに入ってもらったのです。しかし中田は佐藤のルートを知らず、Googleマップで一つずつ調べながら移動していました。
「田中さんの次は山本さんですが、山本さんのお宅はどこですか?」
この電話のやり取りを3回繰り返したとき、私は確信しました。「この状態を続けることは、利用者の方にも・ヘルパーにも・事業所にも、誰にとっても良くない」と。
私たちの事業所は、ヘルパー8名・利用者120名の中規模の訪問介護事業所です。このとき私が抱えていた問題は「ルート管理」だけではありませんでした。しかしこの日の中田からの電話が、すべてを変えるきっかけになりました。
「ルート管理の問題」の本当の深さ——数字にして初めてわかった
EMOROCOに出会う前、私は「ルート管理が大変だ」という感覚は持っていました。しかし「どれくらい大変か」を数字で把握したことはありませんでした。
中田の電話の後、私は1週間かけて「移動の実態」を調べました。
【移動実態調査の結果(ヘルパー8名×1週間)】
1日あたりの平均移動時間(ヘルパー1名):
ベテラン佐藤:2時間10分
中堅の田村:2時間45分
若手の中田:3時間20分
その他5名の平均:2時間35分
チーム全体の1日の移動時間合計:
約21時間(8名合計)
1ヶ月(20日)のチーム全体移動時間:
約420時間
「最適ルートと比較した場合の無駄な移動時間」の推計:
ベテラン佐藤が組んだルートを基準にすると、
他のヘルパーの移動時間は平均30〜60分多い。
無駄な移動時間の推計:
平均40分/日 × 8名 × 20日 = 6,400分/月 = 約107時間/月
107時間。私はこの数字を見て、しばらく動けませんでした。
ヘルパーが月107時間を「道で消費している」。その時間をケアに使えていたら、利用者の方に何ができたか。ヘルパーの疲弊はどれだけ軽減できたか。
もちろん、107時間すべてをなくすことはできません。移動には必ず時間がかかります。しかし「無駄な移動」——同じエリアを二度往復する・新人が道に迷う・担当者変更時にゼロからルートを覚え直す——これらは「設計で防げる無駄」でした。
EMOROCOとの出会い——「地図の上に利用者が見える」という発想
訪問介護向けの専用システムはいくつか検討しました。しかし多くは「請求管理・記録・シフト管理」に特化していて、私が本当に必要としていた「今日誰を・どの順番で・なぜその優先順位で訪問するか」という動的な判断を支えるものではありませんでした。
EMOROCOに出会ったのは、介護DXの勉強会でした。
「GISマップで利用者の場所が地図上に表示されて、感情温度(状態の良し悪し)でピンの色が変わる」という説明を聞いたとき、頭の中でカチッと何かが噛み合いました。
私たちが必要としていたのは「全利用者の今日の状態が・地図の上で・色で見える」ことでした。それによって「今日どのルートで・誰を優先して・どの順番で」という判断が、感覚ではなくデータから生まれる設計が可能になる。
「これだ」と思いました。
最初の30日——「まず地図に乗せること」だけを目標にした
導入を決めてから最初にやったことは「全利用者120名の住所をEMOROCOに入力すること」だけでした。
【最初の30日間でやったこと】
Week 1(Day 1〜7):基本情報の入力
利用者120名のレコードを作成する。
入力するフィールドは「3つだけ」に絞った:
①利用者氏名
②住所(番地レベルまで)
③担当ヘルパー
GISマップを開いたとき、120名のピンが
地図上に表示された。
その瞬間、私は思わず声が出ました。
「こんなに広い範囲に散らばっていたのか」
今まで「〇〇地区の担当」という感覚で管理していたが、
実際に地図で見ると、担当エリアが重複していたり、
明らかに「遠回り」をしているルートが見えた。
Week 2(Day 8〜14):体調感情温度の設定
全利用者の体調感情温度を設定する:
良好 / 要観察 / 要対応 / 緊急
この設定作業をスタッフ全員でやったとき、
重要な発見があった。
「要観察」以上の利用者が23名(19%)いた。
管理者の私は「安定している方が多い」という
感覚を持っていたが、
実際にスタッフに聞いてみると
「最近食欲が落ちている」「夜間に呼ばれることが増えた」
という変化が複数件あった。
これらの変化は「ベテランヘルパーの感覚」として
存在していたが、管理者の私には届いていなかった。
Week 3(Day 15〜21):最初のワークフロー設定
「体調温度が『要対応』に変化したとき→
管理者のLINEに即時通知」
この1本だけを設定した。
Week 4(Day 22〜30):GISマップを使ったルート設計の試行
全ヘルパーが朝の出発前にGISマップを確認する
という習慣を始めた。
最初の「発見」——地図で見えた「往復の無駄」
Week 1でGISマップを設定した翌朝、担当の田村が私のところに来ました。
「所長、見てください。僕のルート、おかしくないですか?」
田村のGISマップを見ると、担当エリアの北端から南端に移動して、また北端に戻ってくるルートになっていました。「南端の○○さんの次に△△さんに行くと、また戻らなければならない」という状況が、地図上で一目でわかりました。
田村は「このルートで3年間回っていた」と言いました。3年間、気づかなかったのではなく、「気づく手段がなかった」のです。
田村のルートを最適化した翌日、田村は「昨日より30分早く最後の訪問が終わりました」と報告してくれました。
3ヶ月後——積み重なった変化
EMOROCOの本格稼働から3ヶ月後、移動時間の実態を再調査しました。
【導入前後の移動時間比較(3ヶ月後)】
1日あたりの平均移動時間(ヘルパー1名):
導入前:平均2時間38分
3ヶ月後:平均1時間38分
削減:平均60分/日/名
チーム全体の1ヶ月の削減時間:
60分 × 8名 × 20日 = 9,600分 = 160時間
※当初の「無駄な移動時間107時間」より多い削減が実現した。
理由:担当者変更時の道の迷いロスが完全になくなったこと・
同日中の訪問順の最適化が全員に広がったことが追加効果として加わった。
そのうち「担当者変更・急な欠勤対応の引き継ぎ時間」の削減:
導入前:急な欠勤時の引き継ぎ(電話・説明)平均45分
3ヶ月後:EMOROCOのGISマップとナラティブを読んで5分で完了
削減:月に3〜4回の急な欠勤 × 40分 = 月120〜160分の削減
ただし「160時間」という数字のうち、私が最も重要だと感じたのは移動時間の削減ではありませんでした。
削減された時間で「何が変わったか」が、本当の変化でした。
「移動時間が減った先」——浮いた時間で何が生まれたか
移動時間が削減された最初の1ヶ月で、ヘルパーたちの行動に変化が起きました。
変化①「記録の質が上がった」
以前は「次の訪問に間に合うかどうかギリギリ」という状態で、利用者宅を出た直後の記録入力が「後でやろう」になっていました。
移動時間に余裕が生まれてから、訪問後3分以内に体調温度と一言メモを入力する習慣が定着しました。記録の質が上がると、引き継ぎの精度が上がります。
変化②「利用者の変化に早く気づくようになった」
体調感情温度の「要対応」通知が管理者のLINEに届くようになってから、3ヶ月で「早期発見できた変化」が5件ありました。
うち2件は、以前なら「様子を見ましょう」で終わっていたところを、早期に主治医に報告して対応できたケースでした。
ベテランの佐藤が「前は『なんか最近おかしい』と思っても、次の訪問までの記録が薄くて説明しにくかった。今は記録を積み上げてから相談できる」と言いました。
変化③「急な欠勤時の混乱がなくなった」
この3ヶ月で、ヘルパーが急に休んだのは4回ありました。
以前なら「中田、どこですか? 次の山本さんはどこにいますか?」という電話が3〜4本来ていた。今は代替ヘルパーがGISマップを開いて5分で状況を把握し、スムーズに動けるようになっていました。
「電話が来なくなった」という変化は、移動時間削減と同じくらい、私の精神的な負担を軽くしてくれました。
「60時間」という数字の意味——ヘルパーの疲弊と離職への影響
3ヶ月後の実態調査では「月160時間」の削減でしたが、最初に目標にしていた「月60時間の削減」が達成できたのは導入から6週間後でした。
「月60時間」という数字は、ヘルパー1名あたり月7.5時間の削減です。
これは単なる「移動時間の削減」ではありませんでした。
【「月60時間削減」がヘルパーにもたらした変化】
体力的な変化:
「移動の無駄がなくなった分、
ケアの集中力が上がった気がする」(田村・談)
「以前は最後の訪問で疲弊していたが、
今は最後まで落ち着いて対応できる」(中田・談)
精神的な変化:
「道に迷うことがなくなったので、
次の訪問先のことを考えながら移動できる。
気持ちの切り替えができるようになった」(田村・談)
管理者の変化:
「急な電話で追われることが減った。
その分、利用者の状態の変化を考える時間が
持てるようになった」(私・談)
この事業所でのEMOROCO導入から1年後、ヘルパーの離職者はゼロでした。
因果関係を断定することはできません。しかし「移動の無駄が減り・記録の負担が減り・引き継ぎの混乱がなくなった」という複合的な変化が、ヘルパーの疲弊を軽減したことは確かだと思っています。
正直に伝えること——うまくいかなかったこともある
変革ストーリーを語るとき、失敗を隠すことは誠実ではありません。
失敗①「全員に入力してもらうまでに時間がかかった」
最初の1ヶ月、入力率が50%程度でした。「訪問後に入力する」という習慣が定着するまでに2ヶ月かかりました。
転換点は、ベテランの佐藤が「GISマップで自分のルートの無駄に気づいたとき」でした。「入力したことで自分が助かった」体験が、佐藤を一番の推進者に変えました。佐藤が若いヘルパーに「入力すると翌日のルートが楽になるよ」と伝えてくれたことが、チーム全体の定着を加速させました。
失敗②「体調温度の設定が最初はバラバラだった」
「要観察」の基準がヘルパーごとに違い、最初の2週間は「このヘルパーは全員を要観察にする」「このヘルパーはほぼ全員を良好にする」というバラツキがありました。
月次の「体調温度の確認会」を設けて、ケースごとに「なぜこの温度を選んだか」を共有することで、4週間後には基準が揃ってきました。
失敗③「セルフホストの検討を後回しにした」
個人情報の取り扱いについて、導入後に「セルフホストを検討すべきだった」という議論が出ました。現在はAzure環境のSaaSとして運用していますが、利用者の住所・健康情報という機密性の高い情報を扱うため、次のステップとしてセルフホスト環境への移行を検討中です。
この変革から得た「3つの教訓」
【訪問介護事業所でのEMOROCO導入成功の3つの教訓】
教訓①「まず地図に乗せることから始める」:
フィールドの設計・ワークフローの設計——
これらは後からできる。
最初の1週間は「住所を入力してGISマップに表示する」だけでいい。
地図を見た瞬間に「これだ」という体験が生まれれば、
後の定着は自然についてくる。
教訓②「ベテランを最初の推進者にする」:
ベテランの経験と勘が「無駄なく動くルート」を知っている。
そのルートをGISマップに落とし込むことで、
ベテランのノウハウがチームの設計になる。
ベテランが「これは使える」と思えば、
チームへの伝播は自然に起きる。
教訓③「移動時間の削減より、空いた時間で何が変わるかを大切にする」:
「月60時間削減」は目標ではなく、手段だった。
その先に「記録の質が上がる・変化に早く気づける・
ヘルパーが疲弊しにくくなる」という本当の目的があった。
EMOROCOを使い始めてから数週間で、
私の中で「移動時間削減」から
「利用者へのケアの質向上」に目的が変わっていた。
あなたの事業所でも、今日から始められる
中田からの電話——「田中さんの家まで30分かかりますよ」——あの日から1年が経ちました。
今の中田は、朝5分GISマップを見てから出発します。「今日の赤ピン(要対応の利用者)は2名。その2名を最初に訪問できるルートで動く」という判断が、データから自然に出てきます。
「道に迷って電話してくる中田」から「データから判断して動く中田」への変化——これは中田の成長だけではなく、仕組みの変化です。
月1,500円/ユーザーから。今日、まず全利用者の住所をEMOROCOに入力して、地図上に表示するところから始めてください。
ピンが地図上に並んだ瞬間、「ここから変えられる」という確信が生まれます。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ
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