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知識創造研究室 by CRM(xRM)

保険代理店がEMOROCO CRM Liteでライフイベントフォローを仕組み化し紹介件数が倍増した話

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「山田さん、先月お子さんが生まれたって聞きましたよ。学資保険、そろそろ考えないといけないですよね」

この電話を、私が山田さんにかけることができていれば——。

山田さんは3年前から自動車保険と生命保険を契約してくれていたお客様です。先月、第一子が生まれたと聞いたのは、山田さんと同じ職場の田中さんとの雑談の中でした。田中さんは私の担当ではないお客様です。

「山田さん、学資保険はもう決めたみたいですよ。ネットの保険で」と田中さんが言ったとき、私は正直、言葉を失いました。

山田さんの子どもの誕生を、私は知らなかった。知っていれば、ネット保険に先を越されることはなかった。

この体験が、私たちの代理店がEMOROCO CRM Liteに向き合うきっかけになりました。


「ベテランの頭の中」に依存していた10年間

私たちの代理店は、代表の私と担当スタッフ3名の小規模代理店です。顧客は約180名。生命保険・損害保険・医療保険・自動車保険と、複数の商品を扱っています。

10年間、この規模でやってこられたのは、正直に言えば「ベテランの勘」でした。

特に私は、多くのお客様のライフイベントを肌感覚で覚えていました。「佐藤さんはそろそろ住宅購入を考えているはず」「中村さんは来年定年だから年金保険の話をする時期だ」——こういった情報を、頭の中で管理していたのです。

しかし山田さんの件で気づきました。**「私の頭の中は、私だけの資産だ」**と。

担当のスタッフに同じことができていたか。私が休んだとき・辞めたとき、このノウハウは引き継がれるか。答えはどちらも「No」でした。

【私たちの代理店が抱えていた「3つの構造的問題」】

問題①「ライフイベント情報が雑談の中にしかない」:
  お客様の結婚・出産・住宅購入・退職は、
  雑談や年賀状・SNSで偶然知ることが多かった。
  「知ったときに提案できれば良い」というレベルで、
  「知る前に備える」という設計ができていなかった。

問題②「フォローのタイミングが担当者の記憶に依存」:
  「そろそろ満期更新の時期だな」という判断が
  担当者の記憶に依存していた。
  担当者が変わると、お客様との関係の文脈が
  一度リセットされてしまう。

問題③「紹介がどこから来ているか把握できていない」:
  年間5〜8件の紹介があったが、
  誰が・何人を・どういう経緯で紹介してくれたか、
  体系的に把握できていなかった。
  紹介してくれた方への感謝が、意識的に設計できていなかった。

「先を越された」から「先に動く」へ——設計の転換

山田さんの件から1ヶ月後、私はEMOROCO CRM Liteに出会いました。

最初に惹かれたのは「感情温度」という概念でした。保険のCRMというと「契約情報の管理」「満期リマインド」というイメージがありました。しかしEMOROCOは「この顧客との関係が今どんな温度感にあるか」を記録する設計になっていた。

山田さんの感情温度は、私が気づかないうちにクールになっていたはずです。連絡が減り、ライフイベントを共有してくれなくなり、気づいたらネット保険に行っていた。この変化を「仕組みとして感知する」ことが私には必要でした。

設計の核心は「ライフイベントを先に把握する仕組み」と「感情温度が下がる前に動く仕組み」の二本柱でした。


最初の30日間——「5フィールド・2ワークフロー」だけから始めた

EMOROCOの設計は、私が2日かけて行いました。最初から完璧にしようとせず、「まず動かす」ことを優先しました。

【最初に設計した5つのフィールド】

①感情温度(ホット/ウォーム/クール/コールド)

②ライフステージ(選択式):
  独身 / 既婚(子なし)/ 既婚(子あり・未就学)/
  既婚(子あり・小中学生)/ 既婚(子あり・高校生以上)/
  子育て終了 / 定年前(5年以内)/ 定年後

③次のライフイベント予測(テキスト):
  例「来年春に第二子の出産を予定している」
  例「3年後に住宅購入を検討中と話していた」
  例「2年後に定年。年金・介護保険の相談が必要な時期」
  ← これが「先に動く」ための最重要フィールド

④最終接触日(日付)

⑤担当者名

最初のワークフローは「たった2本」でした。

【最初に設定した2本のワークフロー】

ワークフロー①「年次ライフイベント確認タスク」:
  「最終接触日から1年経過したとき」:
  → タスク:「○○様 1年ぶりのご連絡——ライフイベントの確認を」
  内容:「年に1回は必ず近況を聞く機会を作る。
       『その後お変わりありませんか?
        ご家族の状況など、変化があれば
        保険の見直しのご提案ができる場合があります』
       という自然な入り口で連絡する」

ワークフロー②「感情温度クール以下アラート」:
  「感情温度がクールに変化したとき」:
  → タスク:「○○様 感情温度が下がっています——今週中に連絡を」
  内容:「売り込みなし。純粋な近況確認から。
       『最近お変わりありませんか』という一言が
       最も自然な再接触のきっかけになる」

「180名の感情温度」を初めて可視化した日の衝撃

設計が終わった翌週、スタッフ全員で180名の顧客の感情温度を「直感で」設定しました。

結果に、私は驚きました。

【180名の感情温度初期設定の結果】

ホット(積極的に連絡してくれる・紹介してくれる):22名(12%)
ウォーム(定期的に接触できている・良好な関係):81名(45%)
クール(接触が減っている・反応が薄い):61名(34%)
コールド(1年以上接触なし):16名(9%)

→ クール+コールド:77名(43%)

43%——私の顧客の約半数が「関係が冷えている」状態にある。

頭ではわかっているつもりでしたが、数字で見ると重さが違いました。この77名の中に、山田さんのような「気づいたらネット保険に行っていた」顧客が何人いるか——考えると、手が止まりませんでした。

しかし同時に、希望も見えました。「今からでも間に合う顧客がいる」という感覚です。


「ライフイベントフォロー」が生み出した5つの成約

導入から3ヶ月後、EMOROCOのダッシュボードを毎週見ながら動いた結果が出始めました。

担当スタッフの佐藤が「鈴木さんのライフステージが『既婚(子なし)』のままですが、去年の年賀状に子どもの写真があった気がします」と言いました。確認すると、鈴木さんには1歳の子どもがいました。学資保険の提案の好機を、私たちは1年間見逃していたのです。

すぐに佐藤が連絡を取り、学資保険の提案をしました。「先生から連絡してくれるとは思いませんでした。実はどうしようか迷っていたところです」と鈴木さんは言ってくれました。

【導入後3ヶ月のライフイベント経由成約実績】

①鈴木様:子どもの誕生(ライフステージ更新で発見)
  → 学資保険 + 子ども医療保険の成約

②中村様:住宅購入の話が出ていたことを思い出して連絡
  → 火災保険 + 地震保険の成約

③山本様:定年5年前(ライフステージ「定年前」に設定済み)
  → 年金保険の見直し相談 → 個人年金保険の成約

④田中様:結婚したことをSNSで発見→ライフステージ更新
  → 生命保険の受取人変更 + 家族向け医療保険の成約

⑤渡辺様:感情温度クールで連絡→実は転職していた
  → 企業団体保険から個人保険への切り替え成約

→ 3ヶ月で5件の新規成約(ライフイベント経由)
  うち4件は「私たちが先に動いた」結果

「感情温度の管理」が止めた離脱

ライフイベントフォローと並行して、感情温度の管理が思わぬ効果を生みました。

クール・コールドの77名への再接触を、3ヶ月かけて実施しました。

「お久しぶりです。最近いかがですか」という純粋な近況確認の連絡——これだけで、多くの顧客の反応が変わりました。

【クール・コールド顧客77名への再接触結果(3ヶ月)】

連絡が取れた:62名(80%)
連絡が取れなかった(転居等):15名(20%)

再接触後の感情温度変化:
  ウォーム以上に回復:41名(66%)
  クールのまま:18名(29%)
  解約・転出:3名(5%)

→ 66%が「再接触だけで関係が回復」

驚いた発見:
  クール・コールドの顧客の多くは
  「不満があって冷えた」のではなく、
  「単に接触が途絶えていただけ」だった。
  こちらから連絡すれば、関係は戻る。

紹介ネットワークの「可視化」——紹介の79%が同じ3名から来ていた

導入4ヶ月後、「紹介元フィールド」を追加して過去3年間の新規顧客の紹介元を入力しました。

【過去3年間の新規顧客24名の紹介元分析】

特定の「コネクター」3名からの紹介:19名(79%)

コネクターAさん(感情温度:ホット):9名紹介
コネクターBさん(感情温度:ホット):6名紹介
コネクターCさん(感情温度:ウォーム):4名紹介

「新規顧客の79%が3名から来ていた」という事実は、データとして見るまで正確には把握できていませんでした。

この発見から、コネクター3名への「特別な関係設計」を始めました。

【コネクター顧客への特別設計】

①接触頻度を他の顧客の2倍にする(年2回→年4〜5回)

②紹介が発生した翌日に感謝の連絡(必ず48時間以内):
  「ご紹介いただきありがとうございました。
   △△様はとても素晴らしい方ですね。
   おかげさまで良いご縁をいただきました」

③コネクターのライフイベントへの最優先対応:
  コネクターに何かライフイベントがあったとき、
  他の顧客より先に・より丁寧に対応する。

④コネクターの感情温度を毎月確認する:
  ホットからウォームに変化したとき、
  即座に理由を確認して関係を修復する。

紹介件数の1年後——数字と「その背景」

EMOROCO導入から1年後の紹介件数を比較しました。

【紹介件数の比較(年次)】

導入前の1年間:
  紹介件数:7件
  新規成約(紹介経由):5件

導入後の1年間:
  紹介件数:15件(2.1倍)
  新規成約(紹介経由):11件(2.2倍)

紹介件数が増えた主な要因(3つの複合):

①ライフイベントフォローで顧客満足度が上昇(推定40%):
  「先に連絡してくれる」体験が
  「この代理店に頼んでいてよかった」という確信を生み、
  紹介しやすい状態になった

②コネクター顧客への意識的なフォロー強化(推定35%):
  3名のコネクターへの接触頻度が上がり、
  紹介の「きっかけを作る対話」の頻度が上がった

③感情温度クール顧客の再活性化(推定25%):
  クールだった顧客がウォームに戻ったことで、
  紹介が生まれやすい関係に戻った

この1年で最も大切だと気づいたこと

保険は「売るもの」ではなく「ライフイベントのタイミングに寄り添うもの」だと、この1年で改めて確信しました。

山田さんのお子さんの誕生のとき、私が先に連絡できていれば、「学資保険を考えないといけない」と悩んでいる山田さんの横に私がいられた。

「ライフイベントのタイミングに寄り添う」ためには、ライフイベントを先に把握する仕組みが必要です。そのためには、日常の接触の中で「次のライフイベント予測」を記録する習慣が必要です。

EMOROCOの「次のライフイベント予測フィールド」に「3年後に住宅購入を検討中」と書いた顧客が、3年後に「先生から連絡が来た」という体験をしたとき——その体験が、私たちを「信頼できる保険の相談相手」として位置づけます。

「売る」のではなく「先に寄り添う」——この姿勢の変化が、紹介を生む関係性の源泉でした。


この事例から学べる「5つの設計原則」

【保険代理店でのEMOROCO導入成功の5つの原則】

原則①「まず全顧客の感情温度を直感で設定する」:
  「クール+コールドが何%か」が設計の出発点。
  データを見るまで感覚とのズレに気づけない。

原則②「ライフステージフィールドを全顧客に設定する」:
  ライフステージが把握できていれば、
  「次に起きそうなライフイベント」を予測できる。
  予測があれば先に動ける。

原則③「最初のワークフローは2本だけ」:
  「年次ライフイベント確認」と「感情温度クールアラート」。
  この2本だけで最初の変化の大半が生まれた。

原則④「紹介元フィールドを設定して過去分を入力する」:
  「誰がコネクターか」を把握するだけで設計が変わる。
  コネクターへの特別フォローは最も高いROIを生む。

原則⑤「紹介が来たら48時間以内に感謝の連絡をする」:
  この一つの習慣が次の紹介を生む最大のトリガー。
  「ありがとう」が届いた瞬間、コネクターはまた紹介したくなる。

あなたの代理店でも、今日から始められる

山田さんのお子さんの学資保険を、私は失いました。

しかし今の私であれば、山田さんのライフステージフィールドには「既婚(子なし)→子どもが生まれたら学資保険の提案タイミング」というメモが入っていたはずです。感情温度がクールに変化したとき、アラートが出て連絡していたはずです。

月1,500円/ユーザーから。まず今日、担当顧客の感情温度を直感で設定して、クール以下が何名いるかを確認するところから始めてください。

その数字が、設計のスタートラインです。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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