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知識創造研究室 by CRM(xRM)

社労士事務所がEMOROCO CRM Liteで期限管理を完全自動化し対応漏れゼロを実現した話

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「先生、算定基礎届の提出期限、今日までじゃないですか」

顧問先のA社の総務担当者から電話が来たのは、7月10日の朝9時でした。

提出期限は7月10日。その時点でまだ書類を受け取っていませんでした。

A社とは5年来の顧問契約です。担当の佐藤がやりとりしていましたが、佐藤は前日から体調不良で急遽休んでいました。引き継ぎメモはありましたが、どのリストのどの欄に「A社の算定基礎届」が記録されているかを私が即座に把握できなかった。

最終的にその日の午後、電子申請でギリギリ間に合わせました。

しかしこの経験が私の中で何かを変えました。「次は間に合わないかもしれない」という恐怖ではなく、「この状態を続けることは、社労士として失格だ」という静かな確信が生まれたのです。


「期限のある仕事」の怖さ——社労士業務の本質的なリスク

社労士の仕事は期限との戦いです。

算定基礎届・月変届・賞与支払届・労働保険の年度更新・労使協定(36協定)の更新・就業規則の変更届——これらはすべて「期限を過ぎたら取り返しのつかない」手続きです。

私の事務所の顧問先は当時43社。事務所スタッフは私を含めて5名。一人あたり8〜9社の顧問先を担当していました。

問題は「1社あたりの期限の数」でした。

【1顧問先あたりの年間期限の概算】

算定基礎届:年1回(7月10日)
賞与支払届:賞与支給のたびに(年1〜2回)
月変届:随時(給与変動があれば)
労働保険年度更新:年1回(6月1日〜7月10日)
36協定:年1回(有効期間満了日の前日まで)
就業規則変更届:随時(変更があれば)
雇用保険取得・喪失届:随時(入退社のたびに)
社会保険取得・喪失届:随時(入退社のたびに)
育児・介護関係の申請:随時
補助金・助成金の申請:随時

→ 43社 × 年間20〜30の期限 ≒ 年間860〜1,290件の期限を管理

これをExcelと個人の記憶で管理していた。今考えると、よく今まで大きなミスがなかったと思います。

実際には「ギリギリセーフ」が年に何度もありました。ただ、それが表に出なかっただけです。


「ツール選び」より先に「設計哲学」を決めた

A社のインシデントの翌週、私はシステム選びを始めました。

社労士向けの専門ソフトはいくつか検討しました。しかしどれも「期限のアラートを出す」という機能はあっても、「なぜその期限が重要で・担当者が変わったときにどう引き継ぐか・顧問先との関係の文脈をどう管理するか」という視点が薄かった。

「期限管理ソフト」ではなく「顧問先との関係を管理するCRM」が欲しかった。

そこでEMOROCO CRM Liteに出会いました。

「3クリック以内でメイン操作が完了する」というUXの思想と、「感情温度」「ナラティブメモ」という定性情報を管理できる設計が、私が求めていたものと一致していました。

ただし、私が最初にやったことはシステムの設定ではありませんでした。

「何のためにこのシステムを導入するのか」という哲学を、スタッフ全員と共有することから始めました。

【スタッフへの最初の説明(私が実際に話した内容の要約)】

「このシステムは、私たちの仕事を楽にするためではありません。
 顧問先のA社に迷惑をかけないためのものです。
 期限を守ることは、私たちの最低限の義務。
 この義務を、担当者の記憶や気合いではなく
 仕組みで担保します。
 システムが私たちを管理するのではなく、
 私たちがシステムを使って顧問先を守ります」

→ この説明の後、スタッフの反応が変わった。
  「また新しいシステムか」という顔から
  「なるほど、そういうことか」という顔に。

設計の核心——「期限の3段階アラート」と「引き継ぎプロトコル」

EMOROCOの設計で私が最も時間をかけたのは「期限フィールドとアラートの設計」でした。

各顧問先について、主要な定期手続きの期限を個別に管理するフィールドを作りました。

【社労士事務所向けEMOROCOフィールド設計(主要部分)】

顧問先レコードの基本情報:
・事業所名・連絡先・担当者名
・業種・従業員数(規模感の把握)
・顧問契約開始日・顧問料・次回更新日
・担当スタッフ(当事務所側)
・感情温度(ホット/ウォーム/クール/コールド)
・最終接触日

期限管理フィールド群:
・算定基礎届の状況(選択式):
  未着手 / 書類収集中 / 作成中 / 申請済み
・算定基礎届の次回期限(7月10日固定・年次更新)
・36協定の有効期限(事業所ごとに異なる)
・36協定の更新作業開始推奨日(有効期限90日前で自動計算)
・労働保険年度更新の状況
・就業規則の最終変更日・次回見直し推奨時期
・最新の法改正で見直しが必要な規程(テキスト)

ナラティブメモ:
・顧問先の経営状況・人事の特徴(テキスト)
・担当者変更時の引き継ぎメモ(テキスト)
・最近の相談内容と対応履歴(テキスト)

そして、期限管理の核心として「3段階アラート」を設計しました。

【期限管理の「3段階アラート」設計】

第1アラート(期限の90日前):
  → タスク:「○○社 ○○の準備開始」
  内容:「90日前に作業を開始することで、
       書類収集・確認・申請に十分な時間を確保する。
       この段階でのタスクは担当者への『準備リマインダー』」

第2アラート(期限の30日前):
  → タスク:「○○社 ○○の進捗確認——今週中に」
  内容:「書類が揃っているか・作成が進んでいるかを確認する。
       30日前に進捗がない場合は即時エスカレーション」

第3アラート(期限の7日前):
  → タスク:「【最終確認】○○社 ○○の申請期限まで7日」
  内容:「申請が完了しているか最終確認する。
       未完了の場合は今週中に必ず完了させる。
       このタスクが未完了なら所長に即報告」

「未申請×期限当日」の緊急アラート:
  → タスク:「【緊急】○○社 ○○が本日期限——即時対応」
  内容:「全スタッフに通知。所長が直接対応を指揮する」

「担当者が休んでも大丈夫な仕組み」——引き継ぎプロトコルの設計

A社のインシデントの最大の原因は「担当者が急に休んだとき、別の人が即座に状況を把握できなかった」ことでした。

EMOROCOの設計で、私はこの問題に特別な優先度を置きました。

【担当者不在時の「引き継ぎプロトコル」設計】

ルール①「毎週金曜17時:翌週のタスク確認と共有」:
  担当者全員が毎週金曜17時に
  翌週のタスクリストを確認する。
  「来週自分が休んだとしても、
   このリストがあれば誰でも対応できるか」を確認する。
  不安があれば所長に共有する。

ルール②「担当者が急に休む場合のプロトコル」:
  当日欠席連絡と同時に
  EMOROCOのダッシュボードURLを全員に共有する。
  代理担当者がダッシュボードを開けば
  「今日・今週・今月の期限リスト」が即座に確認できる。

ルール③「顧問先ナラティブの最低基準」:
  各顧問先のナラティブメモには
  「この事業所で最も重要な注意事項」を
  必ず最初の3行に書く。
  例:「A社:算定基礎届は7月10日必着。
       社長の田中さんが非常に几帳面で
       提出状況の確認電話をしてくる。
       進捗は前もって伝えておくこと」

ルール④「引き継ぎナラティブの更新タイミング」:
  顧問先に何か変化があったとき(採用・退職・給与変更等)は
  その日のうちにナラティブを更新する。
  「あとで書こう」は禁止。

導入3ヶ月後に起きた変化

EMOROCOを本格稼働させてから3ヶ月後、事務所の空気が変わり始めました。

最も大きな変化は「スタッフが先回りするようになった」ことです。

以前は「B社さんから電話が来て、そこで初めて手続きを思い出す」ということが月に何度かありました。

3ヶ月後には「B社さんへの連絡を先にしておきました」という報告が自然に出るようになりました。

【「先回り対応」が生み出した具体的な変化(3ヶ月の実績)】

算定基礎届の提出:
  Before:期限3日前にバタバタ完了が常態化
  After:全43社が期限2週間前に完了
  → 顧問先からの「今日が期限ですよね」という電話がゼロに

36協定の更新漏れ:
  Before:年に1〜2社、更新後のタイムスタンプが問題になっていた
  After:90日前アラートで全社が余裕を持って更新完了
  → 有効期間の空白が生じた事業所ゼロ

担当者変更時の混乱:
  Before:担当者が変わるたびに顧問先から「また一から説明ですか」
  After:新担当者がナラティブを読んで「引き継いでいます」から始められる
  → 担当変更を理由とした顧問解約がゼロ(当該3ヶ月間)

「対応漏れゼロ」から「付加価値の提供」へ

導入6ヶ月後、私は気づきました。

「期限管理を自動化したことで、スタッフの頭の中に『次は何を漏らさないようにするか』ではなく『この顧問先に今何が必要か』を考える余裕が生まれていた」と。

担当の高橋が「C社さん、最近離職が続いているみたいで採用コストが大変そうです。採用定着に関する助成金を使えるか確認しました」と言ってきたのは、導入8ヶ月後のことでした。

以前であれば、高橋は期限管理に追われていました。「次の算定基礎届は……次の36協定は……」という追いかけっこから頭が離れなかった。

EMOROCOが期限管理を「仕組み」として肩代わりしたことで、高橋の頭が「顧問先をよりよくすること」に向き始めた。

【「付加価値提案」が生まれた事例(導入後8〜12ヶ月)】

①C社:採用定着に悩む → キャリアアップ助成金の提案・申請
  追加報酬:25万円

②D社:残業が多い → 生産性向上のための働き方改革コンサル
  → 顧問料の見直し(月3万円→月5万円)

③E社:育児休業取得率が低い → 両立支援等助成金の提案
  追加報酬:15万円

④F社:社員の高齢化 → 継続雇用制度の見直し・就業規則整備
  追加報酬:20万円

⑤G社:同業他社との人材競争 → 賃金規程の見直し提案
  追加報酬:18万円

→ 8〜12ヶ月の期間で追加報酬合計:78万円
  「期限を守るだけの社労士」から
  「経営をよりよくする社労士」への変化が
  顧問先の評価を変えた

「紹介が増えた」理由——信頼の伝播

事務所の変化に気づき始めた顧問先からの言葉が、この時期から増えてきました。

H社の田中社長から言われた一言が今も記憶に残っています。

「先生の事務所は変わりましたね。以前は『期限が近いので書類をお願いします』という電話が来るだけだったけれど、最近は『こんな活用方法があります』という連絡が来るようになった。同業の友人が社労士を探しているって言っていたので、紹介しましたよ」

この言葉を聞いたとき、私は「紹介」が何によって生まれるかを理解しました。

紹介は「この社労士は期限を守ってくれる」という最低ラインの信頼からは生まれません。「この社労士は、私の会社のことを考えてくれている」という感情的な確信——道徳的信頼(ウスラナー)——から生まれます。

EMOROCOが期限管理を自動化することで、私たちは「期限を守る」という義務を「仕組み」に任せ、「顧問先のことを考える」という本来の価値提供に時間を使えるようになった。

その結果として、紹介が生まれた。

【紹介件数の変化(年次比較)】

導入前の1年間:新規顧問先5社(うち紹介経由2社)
導入後の1年間:新規顧問先11社(うち紹介経由9社)

紹介率:40% → 82%
紹介件数:2件 → 9件(約4.5倍)

注目すべき点:
  紹介が増えた最大の要因は「広告や営業を強化したこと」ではない。
  「顧問先の満足度が上がり、自然に紹介したくなった」こと。
  EMOROCOのダッシュボードで「コネクター顧問先(紹介してくれた方)」を
  可視化したことで、そのような方への感謝の接触を意識的に増やせた。

1年後の正直な振り返り——うまくいかなかったことも

変革ストーリーを語るとき、成功だけを書くのは誠実ではありません。うまくいかなかったことも書きます。

失敗①「最初にフィールドを作りすぎた」

設計の際、「全ての期限をEMOROCOで管理しよう」と意気込んで、最初から40以上のフィールドを作りました。入力が複雑になり、スタッフが入力をサボる原因になりました。

最初の1ヶ月で半分に削減しました。「5フィールドから始めよ」というEMOROCOの原則を、自分が一番守れていなかった。

失敗②「スタッフへの説明が一度で終わっていた」

最初の全体説明を1回して、あとは「わからなければ聞いて」というスタンスでいました。3週間後にスタッフの入力率が40%で止まっていることに気づきました。

週次の朝礼でダッシュボードを「一緒に見る」時間を15分作ったことで、入力率が85%を超えました。

失敗③「感情温度を最初から正直に記録するよう促せなかった」

全顧問先の感情温度を初期設定したとき、スタッフ全員が「ウォーム」を選びました。「クール・コールドを選ぶと自分の評価が下がると思ったから」と後で聞きました。

「感情温度は評価のためではなく、顧問先のために使う情報だ」ということを何度も伝える必要がありました。現在では「クールを正直に記録する文化」が定着しています。


この事例から得た「5つの教訓」

【社労士事務所でのEMOROCO導入成功の5つの教訓】

教訓①「設計哲学を先に決める」:
  「何のために導入するか」をスタッフに伝えてから設定を始める。
  「顧問先を守るため」という言葉が、
  スタッフの主体性を引き出した。

教訓②「期限は3段階アラートで設計する」:
  90日前・30日前・7日前の3段階。
  この設計だけで「期限のバタバタ」がほぼなくなる。

教訓③「最初のフィールドは5つ以下に絞る」:
  期限フィールド・感情温度・最終接触日・
  ナラティブメモ・次のアクション。
  これで十分。欲張らない。

教訓④「感情温度を評価に使わないと明言する」:
  クール・コールドを正直に記録する文化を作るには、
  「評価のためではない」と繰り返し言い続けることが必要。

教訓⑤「週次朝礼15分でダッシュボードを全員で見る」:
  「自分のタスクリストを全員で確認する」時間が、
  引き継ぎを当たり前にする文化を作る。

あなたの事務所でも、今日から始められる

A社の算定基礎届のインシデントから1年半が経ちました。

今では、あの日の電話が来なくなっています。A社の田中総務担当者から「届いていますか」という確認の電話が来る前に、私たちから「完了しました」という連絡をしているからです。

「依頼者に言われる前にやる」——これが社労士としての理想です。

EMOROCOの3段階アラートワークフローは、この理想を「個人の頑張り」ではなく「事務所の仕組み」として実現します。

月1,500円/ユーザーから。まず主要顧問先10社の「36協定の有効期限」をEMOROCOに入力して、90日前・30日前・7日前のアラートを設定するところから始めてください。

「次は間に合わないかもしれない」という恐怖から解放されたとき、はじめて「顧問先のためになること」を考える余裕が生まれます。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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