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知識創造研究室 by CRM(xRM)

CRMの可能性:パーソナライズドサービスと量子コンピュータ

7月からアーティサン株式会社(現アーカス・ジャパン株式会社)は3期目が始まりました。
我がCRM事業本部は昨年7月に発足したため、ちょうど2期目に突入します。

2期目はCRM市場で話題となっていると多くの声をいただいているパーソナライズドCRMに基づくエモーショナルソリューションである「EMOROCO」がリリースされ、世界でも初めての試みのチャレンジがスタートします。

このサービスをパーソナライズ化するEMOROCOを実現する過程で、実に様々な検討がされてきました。
まず最初の大きな壁は人工知能の能力の見極めで、その次の壁がコンピュータそのものの能力の見極めです。(他にも色々ありますが、それは追々・・・)

まず人工知能の能力の見極めですが、さすがに10年以上見続けているので、これは比較的容易に見極めがつきました。
その中の大きな問題はハードウェアのスペックに大きく依存するということです。(当然と言えば当然ですね 笑)

現在のコンピュータ(古典コンピュータ)は0か1のいずれかの値しか持ちえない1ビットを使う仕組みで出来ています。
これの弱点は超並列処理にはかなりの時間がかかるというもので、人工知能が目指す人の脳(超々並列コンピュータ)の再現を行うためには能力不足は否めません。
当然ながら、人の再現のような汎用人工知能の実現は難しく、人工知能の活用方法も機能特化に限定されます。
例えば、SiriやCortana、AI秘書、ロボットのようなパーソナルアシスタント、自動運転やIndustry 4.0で使われるようなスマートファクトリー等の人の作業の一部を解決するに過ぎず、その全てを取って代わろうというにはハードスペックという厳しい現実があります。

そんな中、EMOROCOが目指したのはコンシェルジュのようなサービスに特化した人工知能の提供です。
ある種機能特化とも言えますが、サービスとは人によって異なる上に、同じ人でも置かれてる状況次第で受け取り方が違うような答えのない問題のようなものです。
当然ながら、汎用人工知能レベルのことが出来なければ、完全に自立した人工知能とするのは難しいと言えます。

そこで、私は次なるハードを考えるべく、様々なコンピューティングについて調べました。
ニューロコンピュータ、DNAコンピュータ、生体コンピュータ、分子コンピュータ等々

先に私が人の脳を”超々並列コンピュータ”と書きましたが、私が心理学や脳科学を身に付けてニューロコンサルタントとして様々な活動していた中で『脳』というのは並列コンピュータのお化けみたいなものだと学んだことがありますので、私の現場経験的にもそうなのだと理解しています。

そこで私が着目したのは現在研究・実用化が進んでいる「量子コンピュータ」です。
量子コンピュータとは0と1を任意の割合で重ね合わせで保持する量子ビット(キュービット)が扱えるコンピュータのことで、古典コンピュータが実現し得ないような並列コンピューティングを実現することが可能です。
こちらであれば、人間の脳に近いレベルの人工知能を作れるのではないかと思っていたのですが、サービスを突き詰めることと量子コンピュータを突き詰めることを同時に行っていく上で、どうしても必要となるのが「人の適正判断」の問題です。

古典コンピュータも量子コンピュータも同じくチューリングマシンなので、言わば目的たるゴールを目指すことは変わらず、処理を完遂することが必然となりますが、途中で状況に応じて適正と判断して処理を止める判断をするような処理は出来ません。これをNP完全問題と言います。
サービスに特化した人工知能を完成されるということは、このNP完全問題をクリアした先にあると考えられます。

そういう意味では、現存するテクノロジーでは当面実現することは不可能だと言えますが、逆にテクノロジーの限界を知ることによって最大限の力を引き出すことが可能になります。
サービス面で人に取って代わる人工知能が実現出来ないということは、人が難しいことを補完するパートナーとしての道を検討するしかないわけです。
そうやって生まれたのが、使う人と共に「日本流おもてなし」を目指す”EMOROCO”というソリューションです。(いわば、サービスパーソン向けのコンシェルジュです)

人は1人の力では限界があれど、力を合わせれば無限の力を発揮する生き物です。
ただ、サービスの現場においては1人1人のその場の判断が大事とされますので必ずしも力を合わせられるような状況ではありません。
しかし、お客様の多種多様なニーズに対応するために、常に傍にいて支えてくれるパートナーの存在は今後不可欠になると考えられます。
そんなとき、様々なチャネル(PC、モバイル、ロボット、ウェアラブル端末等)の中にEMOROCOという仕組みで動くパートナーがいれば心強いものとなります。

今はまだ人に取って代わる力もないですし、仮にそうなったとしてもEMOROCOのコントロール化であれば暴走することもなく、常にあなたの良きパートナーとなってくれるでしょう。

EMOROCOは来たるべき未来を素晴らしきものとするために、時代に合わせて進化することを前提に作られています。(それがコアたるサービス向け学習データベースです)
まだ学習の取り組みは始まったばかりですが、育て始めること、そして育て続けることは早く始めたもの勝ちであり、メトカーフの法則によればその価値は指数関数的に増加します。
当然ながら、1日違ったとしても一生追い付けないことになりますので、良き未来のために、誰よりも先にEMOROCOの導入を始められることをおススメ致します。

https://www.arcuss-japan.com/products/base-ai

この記事を書いた人
松原 晋啓

アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はDynamics CRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真なるCRM"の理念の普及に努めている。
また、プラットフォーム型CRM(xRM)の第一人者や CRM の専門家としてインタビューを受けたり、ラジオのパーソナリティも務めている。
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