Dynamics365 簡易検索ビューについて(2020年版)
みなさん、こんにちは。
今回は、Dynamics365の「簡易検索ビュー」について、2020年のバージョンアップで変更があった点も交えて説明していきます。
従来の動作
まずは2020年のバージョンアップで仕様変更される以前の、従来の動作のおさらいです。
営業案件のビュー「オープンされている営業案件」が表示されています。
ここで、右上にある検索窓に「home」という単語を入力します。
そうすると、トピック(件名)が「Home」という文字列から始まっている、6件のデータが抽出されました。
このように、ビュー画面の右上の検索窓に検索ワードを打ち込んでレコードを絞り込む機能を簡易検索と言います。
ここで、検索結果が表示されているビューに注目します。
表示列の並びが「トピック」「見込み顧客」「売上見込み」「推定クローズ日」「メモ」となっていますので、
最初の「オープンされている営業案件」の列の並びとは違っています。
※「メモ」のみ、カスタマイズで追加した項目で、それ以外は標準のままです。
このように、簡易検索機能の結果を表示する際に出現する専用のビューのことを、簡易検索ビューと呼びます。
今は、簡易検索の機能で、営業案件の「トピック」に含まれる単語で検索しましたが、他の項目を検索対象とすることもできます。
簡易検索の対象列を変更するには、カスタマイズ画面で、エンティティの「ビュー」の中にある、簡易検索ビューを選択します。
「検索列の追加」を押し、検索対象としたい列のチェックボックスにチェックを入れます。ここでは「メモ」という項目を検索対象に加えてみます。
設定前の状態では、下記のように、簡易検索機能で「メモ」の項目が「abc」となっているデータを検索しようとしても、ヒットしませんでしたが、
「検索列の追加」で「メモ」を検索対象に加えると、「メモ」の項目が「abc」となっているデータもヒットするようになりました。
また「ビュー列の追加」を選択すると、簡易検索ビューに表示される列の並びを編集することができます。(こちらは簡易検索以外のビューの場合と同様です。)
このように、ビューの右上の検索窓に検索ワードを打ち込むと、専用のビューに切り替わって検索結果を表示するのが、従来の簡易検索機能でした。
新しい動作
次に、Dynamics365の2020年の1回目の大型バージョンアップである「2020 年リリース ウェーブ 1」が適用された状態で、簡易検索機能の動作を確認してみます。
先ほどと同じように、「オープンされている営業案件」ビューの右上にある検索窓に検索ワードを入れてみます。
※実はこの時点で、先ほどとの小さな差異が確認できるのですが、検索窓に書かれた文字列が「簡易検索」ではなく、「このビューを検索」になっています。
検索した結果が、下記の画像です。
トピックが「Home」で始まるデータが抽出されたことには変わりないのですが、検索結果を表示するビューの列の並びが、「簡易検索ビュー」のものになっておらず、検索実行前に表示していた「オープンされている営業案件」のビューをそのまま使って検索結果が表示されていることがわかります。
このように、新しい動作では、「簡易検索ビュー」ではなく、元のビューをそのまま使って検索ができるようになっています。
■従来の動作:検索窓に検索ワードを打ち込むと、結果が「簡易検索ビュー」で表示される。
■新しい動作:検索窓に検索ワードを打ち込むと、そのままのビューで結果が表示される。
なお、バージョンアップ後は、上記の新しい動作と、従来の動作のどちらを選択するか、設定で選ぶことができます。
設定メニューの中にある「システムの設定」画面の「全般」タブに、「グリッドおよびサブグリッドでの検索にエンティティの簡易検索ビューを使用します」という項目があります。
バージョンアップ後は上記設定がデフォルトで「いいえ」になっており、新しい動作(簡易検索ビューを使用しない)になります。
こちらを「はい」にすると従来どおり、簡易検索ビューを使用する動作に戻すこともできます。
以上、簡易検索機能について、従来の動作のまとめと、バージョンアップ後の新しい動作、新旧動作を切り替える設定についてお話ししました。
余談
なお、以前より、Dynamics365を使用されているお客様から、「検索対象の列は変更できるのか?」「どうやって変更するのか?」というお問い合わせを受けることが時々ありましたが、元々、この「検索列の追加」は、需要がある割にはノーヒントで辿り着くには少々難しい場所に設置されていると思われます。
今後、簡易検索ビューを使わない動作が主流になっていくとした場合、カスタマイズ画面の「簡易検索ビュー」の存在は、従来動作の名残として存在している項目という位置付けになっていくのかもしれません。
ただし、問題は、新しい動作においても引き続き使用する「検索列の設定」の項目が、この「簡易検索ビュー」の中に隠れている点でして、以前よりも検索列の設定方法の探し方の難易度が上がってしまうのではないかと思います。
その意味でも、本件は、当ブログに書き記しておきたく思った次第です。