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【最新CRMツール連載・第1回】2025〜2026年、CRM市場で何が起きているのか — 地殻変動の全体像

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「CRMを入れようと思って調べたら、選択肢が多すぎて何を選んでいいかわからない」

この声が、ここ1〜2年で急増しています。

2020年代前半までのCRM市場は、Salesforce・HubSpot・kintoneという「三大勢力」で大半の会話が完結していました。
それが2024〜2025年にかけて、AIの急速な普及と新興勢力の台頭で市場が一変しました。

この連載では、最新のCRMツール市場を整理した上で、EMOROCO CRM Liteの立ち位置と選択の基準を3回にわたって解説します。
第1回は「今のCRM市場で何が起きているのか」という全体像の整理です。


2024〜2025年のCRM市場を変えた3つの地殻変動

地殻変動①:「全社員がAIを使う前提」へのシフト

2024年を境に、CRM各社のAI機能が「オプション」から「標準」へと変わりました。

SalesforceのEinstein Copilot、HubSpotのBreeze、Microsoft Dynamics 365のCopilot——各社が生成AIをCRMの中核に組み込み始めました。「AIを使う/使わない」の選択から、「どんなAIを使うか」の選択へと移行しています。

ただしこれは「CRMがAIで賢くなった」というより、「既存CRMにAIのAPIを接続した」というケースが多い。前回の連載(AIネイティブCRM比較)で整理したように、「AIを後から乗せたCRM」と「AIネイティブなCRM」の差は設計の根本に関わります。

地殻変動②:「バーティカルSaaS」の台頭——業種特化CRMの増加

「あらゆる業種に対応する汎用CRM」から「特定業種に特化したCRM」への移行が加速しています。

医療・不動産・ホテル・製造業——各業種の固有の業務フローに最初から対応した「バーティカルCRM」が増えています。
「汎用CRMを業種に合わせてカスタマイズする」コストより、「最初から業種に合わせて設計されたCRMを使う」方が合理的という認識が広まっています。

地殻変動③:「無料・低価格→高価格化」のフリーミアム崩壊

HubSpotの無料版制限強化、Notionの有料化加速——2024〜2025年にかけて、「無料で始めてそのまま使い続ける」という戦略が難しくなっています。

多くのユーザーが「無料で始めたつもりが気づいたら月5万円払っている」という体験をしており、「最初から透明な料金体系のツールを選ぶ」という傾向が出てきています。


現在のCRM市場を「5つのカテゴリ」で整理する

2025〜2026年時点のCRM市場を整理すると、大きく5つのカテゴリに分類できます。

カテゴリ①:大規模統合型CRM(エンタープライズ向け)

代表製品: Salesforce Sales Cloud、Microsoft Dynamics 365、Oracle CX

特徴: 数百〜数万ユーザーの大企業が対象。マーケティング・営業・カスタマーサービス・分析を一つのプラットフォームに統合。豊富なAI機能(Einstein・Copilot)を持つが、専任管理者と専門知識が必要。導入コストは数百万〜数千万円規模。

向いている企業: 上場企業・グローバル展開する中堅大企業・製品の有資格保有者が社内にいる企業

カテゴリ②:インバウンドマーケティング型CRM

代表製品: HubSpot CRM、Marketo(Adobe)、Pardot(Salesforce)

特徴: 「コンテンツSEO・SNS・メルマガで新規顧客を引き寄せる」インバウンド戦略を支援。無料版から始められるが、本格活用には高額な有料プランが必要。Breeze(HubSpot)などAIによるコンテンツ生成・リード分析が強化されている。

向いている企業: デジタルマーケティングに注力する企業・ECサイト運営者・B2B SaaS企業

カテゴリ③:ノーコード業務構築型CRM

代表製品: kintone、Microsoft Power Apps、Zoho CRM

特徴: CRM専用ではなく「業務アプリ構築プラットフォーム」。自由度が高い反面、CRM専用機能(感情温度・GIS・業種テンプレート)は自分で構築する必要がある。エンジニアまたはITリテラシーが高いスタッフが必要。

向いている企業: 独自業務フローを持つ企業・社内にIT担当者がいる中堅企業・kintone利用者が多い組織

カテゴリ④:AIネイティブ新興CRM

代表製品: Clay、Twenty、folk、Breakcold、Attio

特徴: 2022〜2025年に登場した「最初からAI前提で設計した」新世代のCRM。アウトバウンド自動化・人脈管理・ソーシャルセリングなど特化した機能を持つ。スタートアップ・テック系企業向けが多く、日本語サポートは限定的。

向いている企業: テック系スタートアップ・英語圏のグローバルチーム・エンジニアリングリソースがある企業

カテゴリ⑤:CRM4.0型——感情共鳴・関係深化特化CRM

代表製品: EMOROCO CRM Lite(アーカス・ジャパン)

特徴: 「管理から共創へ」というCRM4.0の思想を設計の核心に持つ。感情温度・ナラティブ・ICX(暗黙知)を定量データと統合学習するAIネイティブ設計。GISマップ・業種別テンプレート・セルフホスト・日本語完全対応。中堅中小企業が「今日から使い始められる」月額1,500円/ユーザーの価格設計。

向いている企業: 日本の中堅中小企業・訪問営業・既存顧客との関係深化を重視する企業・業種特化の設計が欲しい企業


「2025〜2026年の新しいCRM選定の問い」

CRMを選ぶとき、以前は「機能が多いか」「価格が安いか」という問いが中心でした。2025〜2026年の新しい問いは5つです。

問い①:どんなAIを使っているか——「後付けAI」か「AIネイティブ」か

AIを使っているとうたっているCRMは今や大半です。重要なのは「何のためのAIか」です。業務効率化のAIか、顧客との感情共鳴のAIか。定量データだけ学習するAIか、定性データも統合するAIか。

問い②:自社データで育つか——「汎用モデル」か「自社最適化モデル」か

汎用AIを後から乗せたCRMは、「一般的なパターン」しか分析できません。自社データで継続的に学習するモデルを持つCRMは、「自社固有の勝ちパターン」を発見できます。

問い③:現場が「入力したくなる」設計か

どれだけ優れたAIを持っていても、データが入力されなければ機能しません。「入力すると自分が助かる」設計になっているか。3クリック以内で操作が完了するUXがあるか。これがCRMの定着率を決めます。

問い④:「感情・文脈」を記録できるか

顧客との関係において、数値で表せない情報——「刺さった言葉」「場の空気感」「担当者の感情温度」——が意思決定に与える影響は大きい。これを記録・活用できる設計かどうかが、CRM3.0とCRM4.0の分岐点です。

問い⑤:コストの「見えない部分」はないか

無料で始まるCRMは、本格活用に有料機能が必要になります。初期費用ゼロでも、導入支援・カスタマイズ・研修費用が積み上がります。「1年後・3年後のトータルコスト」を最初に計算できるか。


次回予告

第2回では「カテゴリ別最新CRMツール総覧」として、各カテゴリの代表製品を機能・価格・向き不向きで横断比較します。「自社にどのカテゴリが合うか」を判断するための実用的な比較表を提供します。

連載の続きは次の記事へ:
【第2回】カテゴリ別最新CRMツール総覧——用途・規模・目的で選ぶ判断基準
【第3回】最新CRMトレンドの中でEMOROCO CRM Liteはどこにいるか——日本市場での選択の軸


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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