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知識創造研究室 by CRM(xRM)

ダッシュボード設計の完全ガイド — 経営者・マネージャー・営業担当それぞれが見るべき画面設計

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「ダッシュボードを作ったけど、誰も見ていない」——この話を、驚くほど多くの現場から聞きます。

原因はほぼ決まっています。「全員に同じダッシュボードを見せている」からです。

経営者が見たいのは今月の着地予測と危険案件の数です。マネージャーが見たいのは誰の商談が止まっているかです。営業担当が見たいのは今日自分が動くべき顧客リストです。この三者に同じ画面を見せても、誰にとっても「使えない画面」になります。

EMOROCO CRM Liteのダッシュボードは、役割ごとに異なる画面を設計できます。この記事では、経営者・マネージャー・営業担当の三層それぞれに最適なダッシュボード設計を、具体的な設定内容まで落とし込んで解説します。


1. ダッシュボード設計の大原則——「見たら次の行動がわかる」画面

ダッシュボードの価値はひとつだけです。「見たら今日何をすべきかがわかる」こと。これだけです。

美しいグラフが並んでいても、それを見た人が「で、自分は何をすればいいのか」がわからなければ、そのダッシュボードは装飾品です。

役割ごとに「次の行動」が違うので、ダッシュボードも役割ごとに設計する必要があります。

三層設計の基本構造

役割 見る頻度 知りたいこと 次の行動
経営者 週1〜月1 今月の着地・全体の健全性 経営判断・リソース配分
マネージャー 毎朝・週次 誰の商談が止まっているか・チームの状態 個別コーチング・会議の議題設定
営業担当 毎日 今日誰に連絡すべきか・自分の進捗 顧客への連絡・訪問・フォロー

この三層を意識するだけで、ダッシュボードの設計は根本から変わります。


2. 経営者ダッシュボード——「全体の健全性」を5分で把握する

経営者がCRMのダッシュボードに費やせる時間は、週に5〜10分です。その時間で「会社の営業が今どういう状態か」を把握できる設計にする必要があります。

設計の核心:「異常」だけを目立たせる

経営者が見るべきは「順調なもの」ではなく「問題が起きているもの」です。正常な状態は見えなくてかまいません。赤信号だけが見えればいい。

経営者ダッシュボードに載せる4つのKPI

① 今月の受注着地予測

受注済み金額+ホット案件(感情温度ホット)の合算値。「今月目標に対して今どこにいるか」を一目で把握します。

設定方法:売上レコードの「今月計上」件数・金額のKPI表示+案件レコードの「感情温度=ホット×今月クローズ予定」の合計金額を並べる

② パイプライン総額と健全性

全フェーズの案件金額合計と、フェーズ別の件数。「商談の仕掛かりが十分あるか」を確認します。パイプラインが薄くなっている月は、翌月・翌々月の受注が危ない。

設定方法:案件レコードをフェーズ別に集計した棒グラフ。フェーズ数が少ないほど危険信号

③ 感情温度分布(全顧客)

全顧客の感情温度内訳(ホット/ウォーム/クール/コールド)の割合。クール・コールドが全体の30%を超えたら危険水域です。

設定方法:取引先レコードの感情温度フィールドを円グラフで可視化

④ 対応漏れアラート件数

「30日以上接触なし」「BPFが2週間以上止まっている案件」の件数。件数が増えているトレンドは営業活動の劣化サインです。

設定方法:最終接触日から30日以上経過したレコード件数をKPI表示

経営者ダッシュボードのレイアウト例

[今月受注着地] [パイプライン総額] [クール以下比率] [対応漏れ件数]
       ↑KPI4枚を横並び(数字だけ・大きく表示)

[フェーズ別パイプライン棒グラフ]  |  [感情温度分布円グラフ]
       ↑左右2カラム

[直近30日の受注推移折れ線グラフ]
       ↑全幅

【経営者が1週間使わなくなったら】 それはダッシュボードの情報量が多すぎるか、見ても判断できない情報が混在しているサインです。KPIを4つに絞り直してください。


3. マネージャーダッシュボード——「チームの今」を毎朝10分で把握する

マネージャーのダッシュボードは、週次報告会議を廃止するためにあります。「A社の状況は?」「B案件の進捗は?」——会議でこれを聞かなくても、ダッシュボードを見ればわかる状態にする。

設計の核心:「止まっているものを浮かび上がらせる」

マネージャーが最も恐れるのは、「問題が起きているのに気づけなかった」という状況です。ダッシュボードは「止まっているもの・劣化しているものを自動で浮かび上がらせる」設計にします。

マネージャーダッシュボードに載せる5つのビュー

① 停滞案件リスト(最重要)

BPFのフェーズが14日以上変化していない案件の一覧。担当者名・案件名・停滞日数・最終更新日を表示します。

設定方法:案件レコードのビューで「最終更新日から14日以上経過」の条件フィルタをかけ、停滞日数の降順で表示

② 感情温度クール以下・未対応リスト

感情温度がクール・コールドに変化してから7日以上経過している顧客の一覧。「冷えかけているのに放置されている顧客」を可視化します。

設定方法:取引先レコードのビューで「感情温度=クール or コールド×感情温度更新日から7日以上」の条件フィルタ

③ 担当者別の今月受注進捗

各営業担当者の今月目標対比を棒グラフで表示。全員の進捗を一画面で比較し、誰がコーチングを必要としているかを判断します。

設定方法:売上レコードを担当者別・今月集計した棒グラフ。目標ラインを横軸に引く

④ 今週のアクション完了率

チーム全体で「今週期日のタスク」の完了率。50%を下回っている週は、メンバーの負荷や優先度設定に問題がある可能性があります。

設定方法:タスクレコードの「今週期日×完了/未完了」のKPI比率表示

⑤ 新規リード→初回接触の転換速度

新しいリードが登録されてから初回接触(活動レコード作成)までの平均日数。この数字が伸びているときは、問い合わせ対応が遅れているサインです。

設定方法:リードレコードの登録日と初回活動日の差を集計したKPI

週次会議をダッシュボードで置き換える手順

  1. 会議の前にダッシュボードを全員で見る(10分)
  2. 停滞案件リストに載っている案件だけを議題にする
  3. 「順調な案件」は議題にしない——ダッシュボードが順調であることを示している

この3つのルールだけで、2時間の週次報告会議が30分の意思決定会議に変わります。

【マネージャーダッシュボードの失敗パターン】 「担当者の入力率」をマネージャーダッシュボードに載せると、入力がメンバーへの評価指標になり、データが正確でなくなります。入力率は「CRMドクター」が別途モニタリングする指標として分けてください。


4. 営業担当ダッシュボード——「今日の行動リスト」を30秒で確認する

営業担当がCRMのダッシュボードを毎朝見るようになるためには、「見たら今日何をすべきかが30秒でわかる」設計が絶対条件です。

難しい分析は不要です。「今日連絡すべき顧客が上から順番に並んでいる」——それだけでいい。

設計の核心:「今日の優先リスト」を自動生成する

営業担当が毎朝悩む最大の問題は「今日誰に連絡すればいいか」です。感情温度×最終接触日の組み合わせでスコアリングし、優先順位を自動で決めます。

営業担当ダッシュボードに載せる3つのビュー

① 今日のアクションリスト(最重要)

以下の条件を満たす顧客を、優先度の高い順に並べたリストです。

優先度 条件 理由
最優先 感情温度ホット×未アポ 温度が高いうちにアプローチ
期日タスクが今日 約束した期日を守る
感情温度クール×最終接触14日以上 冷える前に接触
最終接触30日以上(その他) 定期的な関係維持

設定方法:上記条件を複数ビューで作成し、ダッシュボードに縦に並べて表示。営業担当は上から順番に処理するだけでよい

② 自分の今月進捗

自分の今月受注金額・件数と目標対比。「あと何件・何万円で目標達成か」を一目でわかるようにします。残り日数と組み合わせて表示するとさらに効果的です。

設定方法:売上レコードの「担当者=自分×今月」のKPI表示。目標値はフィールドに入力しておく

③ 担当顧客の感情温度マップ

担当顧客全体の感情温度分布。「自分の顧客のうちクール以下が何%か」を把握します。この比率が高まってきたら、顧客関係が全体的に冷えているサインです。

設定方法:取引先レコードを「担当者=自分」でフィルタした感情温度の円グラフ

「毎朝見る習慣」を定着させる3つの工夫

工夫①:ブックマークに登録させる ダッシュボードのURLをブラウザのホームページに設定します。「CRMを開いたら最初にダッシュボードが見える」状態を作る。

工夫②:朝会でダッシュボードを画面共有する 最初の1週間は、チームの朝会でマネージャーが営業担当のダッシュボードを画面共有します。「今日の優先リストを見ながら行動計画を話す」という習慣を身体に染み込ませます。

工夫③:今日のリストを0件にするゲームにする 「今日のアクションリストを0件にして帰る」という目標を設定します。処理した顧客は感情温度を更新するかタスクを完了させる——これが入力定着にもつながります。


5. 三層ダッシュボードの運用ルール

設定は「最小限」から始める

最初から完璧なダッシュボードを作ろうとすると、複雑になって誰も使わなくなります。各役割につきKPIは最大4つ、ビューは最大3つから始めてください。

役割 最初に作るKPI 最初に作るビュー
経営者 今月着地予測・対応漏れ件数 感情温度分布グラフ
マネージャー チーム今月受注進捗 停滞案件リスト
営業担当 自分の今月進捗 今日のアクションリスト

これだけで始めて、「足りない情報」が現場から出てきたときに追加していきます。

ダッシュボードの月次チューニング

月に1回、以下の問いに答えてチューニングします。

  • 誰も見ていないKPI・ビューはないか? → 削除する
  • 「あの数字をダッシュボードで見たい」という声はあったか? → 追加する
  • ダッシュボードを見て意思決定が変わった場面はあったか? → あれば成功。なければ設計を見直す

【よくある失敗:KPIを増やしすぎる】 「せっかくだからこれも」「あの数字も見たい」——こうしてKPIが増え続けると、重要な情報が埋もれます。ダッシュボードに載せるべき情報は「見たら行動が変わる情報」だけです。「見て安心するための情報」は載せません。


6. まとめ——ダッシュボードは「行動を変える装置」である

ダッシュボードはレポートではありません。過去を振り返るためのものではなく、今日の行動を変えるための装置です。

この記事で設計した三層ダッシュボードの核心を3点にまとめます。

  • 役割ごとに設計する: 経営者・マネージャー・営業担当は「知りたいこと」が違う。同じ画面を見せない
  • 「異常だけを見せる」設計: 正常なものは見えなくていい。問題が起きているものだけを浮かび上がらせる
  • 最小限から始める: 最初はKPI4つ・ビュー3つ。使いながら育てる

EMOROCO CRM Liteのメタデータ駆動型設計は、ノーコードでこれらのダッシュボードをすべて構築できます。プログラミング不要で、現場の担当者が自分でKPIを追加・削除・並び替えできます。「ダッシュボードが使われない」という問題は、設計の問題です。今日、役割ごとのダッシュボードを1つ作るところから始めてください。

【今日からできる最初の1ステップ】 まず「営業担当の今日のアクションリスト」を1つ作ってみてください。感情温度がクール以下×最終接触14日以上の顧客をリスト化するだけで、「今日誰に連絡するか」が自動で決まります。

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デジタル化・AI導入補助金2026 対応ツール番号:DL07-0022934
製品情報:https://www.emoroco.com/


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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