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知識創造研究室 by CRM(xRM)

【連載:EMOROCO CRM Lite ver2.0】第2回 — 地図が営業を変える。GISマップ・ルート営業・Business Process Flowの実装設計

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

前回(第1回)では、ver2.0の機能強化の全体像と「育てるCRM」という設計思想を解説しました。

第2回では、ver2.0で新たに追加・強化された「現場営業支援」機能に焦点を当てます。
特にGISマップ・ルート営業・Business Process Flow(BPF)という3つの機能は、これまでのCRMが弱かった「外回り営業のリアルな現場」に直接応えるものです。


なぜ「外回り営業」はCRMで管理されてこなかったのか

多くの中小企業の外回り営業担当者は、CRMを「事務所に戻ってから入力するもの」として扱っています。

営業担当者の一日の動きを追ってみると、問題の構造が見えます。

【外回り営業担当者の「よくある一日」と課題】

8:30  出社・今日の訪問先を手帳とExcelで確認
9:00  1件目の訪問(ルートは自分の経験で決める)
10:30 2件目の訪問(移動時間が読みにくい)
12:00 昼食(次の訪問先を地図アプリで検索)
13:30 3件目の訪問(急に別の顧客から電話→急遽対応)
15:00 4件目の訪問
16:30 事務所に戻る
17:00 日報作成・訪問内容をExcelに入力
18:00 退社

→ 課題①:訪問ルートの最適化が感覚に依存している
→ 課題②:訪問先と顧客情報が連携していない(地図アプリとCRMが別)
→ 課題③:「今日誰を訪問すべきか」の優先順位がCRMで見えない
→ 課題④:訪問履歴がリアルタイムで管理者に見えない
→ 課題⑤:事務所に戻ってから入力するため記憶の鮮度が落ちる

ver2.0のGISマップ・ルート営業機能は、これらの課題に直接応えます。


GISマップ機能——顧客を「地図の上で見る」という革新

EMOROCO CRM Lite ver2.0のGISマップビューは、取引先や訪問先を地図上に表示します。

【GISマップの主な機能】

・顧客所在地の地図表示
・訪問先の可視化(ピン表示)
・訪問順管理
・ルート営業管理
・訪問履歴との連携
・拠点管理・施設管理

活用シーン:
  ルート営業(食品・飲料・医薬品の担当者)
  設備点検(機器のメンテナンス担当者)
  配送管理(物流・宅配サービス)
  不動産管理(物件の巡回・管理)
  医療・介護訪問(訪問看護・介護ヘルパー)
  フィールドサービス(修理・点検の担当者)

GISマップが変えるのは「データの見え方」だけではありません。「今日誰を訪問すべきか」という意思決定そのものが変わります。

【GISマップとCRM4.0感情温度を組み合わせた設計】

従来の外回り営業の「今日の訪問先選定」:
  ・経験と勘で「そろそろ行ったほうがいいかも」という顧客を選ぶ
  ・ルートは地図アプリで別途確認

GISマップ × 感情温度ダッシュボードの設計:
  EMOROCOのGISマップビューで
  「今日の訪問エリア」を表示しながら、
  感情温度フィールドと最終接触日でフィルタリングする。

  表示ルール:
  ・赤ピン:感情温度コールド × 最終接触30日以上
    → 今日必ず立ち寄るべき顧客
  ・黄ピン:感情温度クール × 最終接触14日以上
    → できれば今週中に訪問したい顧客
  ・緑ピン:感情温度ホット × 次のアクション今週以内
    → アポ打診のチャンスがある顧客

  → 地図を見るだけで「今日どの順番で誰を訪問するか」が
    データに基づいて決まる
    「感覚のルート営業」から「戦略的なルート営業」へ

ルート営業機能——移動効率と訪問記録を一元化する

ルート営業機能は、GISマップと訪問履歴管理を組み合わせて、外回り営業の全体を効率化します。

【ルート営業機能の実装設計】

訪問前(出発前の5分):
  EMOROCOのGISマップビューを開く
  今日の訪問エリアを表示
  感情温度×最終接触日でフィルタリングして
  今日の優先訪問先リストを確認する
  訪問順序をEMOROCO上で設定する

訪問中(顧客先でのスマートフォン入力):
  訪問先のレコードを開く(3クリック以内)
  感情温度を更新する(30秒)
  ナラティブメモに一言書く(1〜2分)
  次のアクションを設定する(30秒)
  → 合計4分以内で入力完了

訪問後(当日中の記録確認):
  今日の訪問履歴がGISマップに記録されている
  感情温度の更新が全件完了しているか確認
  明日の訪問計画をダッシュボードで確認

管理者の確認(リアルタイム):
  GISマップで「今日のチームの訪問状況」を確認できる
  訪問履歴レポートで訪問件数・エリアを確認できる

Business Process Flow(BPF)——対応漏れをゼロにする「見える化」

Business Process Flow(BPF)は、案件・申請・対応のプロセスをステージで管理する機能です。

「対応漏れ」「進捗の属人化」「ステータス不明」——これらの問題に対する直接的な解決策です。

【Business Process Flowの基本設計】

BPFとは:
  案件や業務プロセスを「ステージ」として定義し、
  現在どのステージにあるかを可視化する機能。
  ステージを進めるために必要な条件を設定でき、
  条件が満たされなければ次のステージに進めない設計にできる。

活用例:
  営業案件管理・問い合わせ対応・見積〜契約プロセス・
  採用管理・申請管理・点検〜保守対応

BPFの設計思想:
  「担当者ごとの進め方のばらつきを減らし、
   組織としての営業品質を高める」
【営業案件管理でのBPF設計例】

ステージ設計(7段階):
  Stage 1:リード・初回接触
    → 確認項目:会社名・担当者名・連絡先の入力完了
    → 感情温度の初期設定

  Stage 2:ニーズヒアリング
    → 確認項目:課題・ニーズのナラティブメモ記録
    → ICXキャプチャーの入力

  Stage 3:提案準備
    → 確認項目:提案書の作成完了
    → 競合状況の確認・記録

  Stage 4:提案済み
    → 確認項目:提案の実施日の記録
    → 顧客の反応の感情温度更新

  Stage 5:クロージング
    → 確認項目:意思決定者との商談実施
    → 感情温度ホット以上での前進

  Stage 6:受注・契約
    → 確認項目:契約書の締結確認

  Stage 7:完了・フォロー移行
    → カスタマーサクセスフェーズへ移行

→ 各ステージで「何が完了していれば次に進めるか」が明確になることで、
  「なんとなく進んでいた商談」が「根拠のある進捗管理」に変わる
【BPFと感情温度を組み合わせた品質管理設計】

課題:「ステージが進んでいるのに受注しない案件」の多発
原因:ステージ数値は高いが感情温度がクールのまま前進している

解決設計:
  「感情温度クール以下×ステージ4以上」の案件を
  ダッシュボードで可視化する。
  → このリストにある案件は
    「数字上は進んでいるが、実態は危険」な案件
  → マネージャーが週次レビューで必ず確認して介入する

→ BPFの定量的なステージ管理 ×
  感情温度の定性的な状態管理 = 最も精度の高い案件管理

カレンダー機能——「予定と顧客情報を分断しない」設計

ver2.0のカレンダー機能は、営業活動・訪問予定・社内タスクをCRM上で一元管理します。

【カレンダー機能の特徴と活用設計】

機能:月表示・週表示・日表示・サイドバー表示
    カレンダーインポート/エクスポート対応

従来の問題:
  「GoogleカレンダーやOutlookで予定を管理して、
   CRMに別途入力する」という二重管理が発生していた
  → 予定と顧客情報が連携しておらず、
    「誰に会う予定か」がCRMから見えなかった

EMOROCOのカレンダー設計:
  「予定を顧客レコードと紐付ける」ことで、
  カレンダーの予定から直接顧客レコードを参照できる。
  訪問前にナラティブメモを確認して
  「前回何を話したか」を思い出してから訪問できる。

活用パターン:
  月曜朝:週次カレンダーで今週の訪問・商談を確認する
  訪問当日:カレンダーから顧客レコードを開いて
           ナラティブ・感情温度を確認してから出発する
  訪問後:活動レコードを更新してカレンダーに反映する

第2回のまとめ——「現場」がCRMに入ってきた

ver2.0の最も大きな変化の一つは「CRMが現場に出て行った」ことです。

従来のCRMは「事務所で管理するもの」でした。外回り営業担当者はCRMを「戻ってから入力するもの」として扱い、現場の情報は記憶の鮮度が落ちてから入力されていました。

ver2.0のGISマップ・ルート営業・BPF・カレンダー機能は、「現場にいる担当者がリアルタイムでCRMを使う」という体験を設計しています。

GISマップで今日の訪問先を確認して→訪問後にスマートフォンで30秒入力して→BPFでステージを更新する——この流れが習慣になったとき、CRMは「管理ツール」から「現場の仕事を支える道具」に変わります。

次回予告: 第3回「顧客ポータル・外部コネクタ・LINE通知——社外との接点をCRMに集約する設計」を解説します。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


前回:[【第1回】「使うCRM」から「育てるCRM」へ。ver2.0の機能強化全体像と設計思想]

次回:[【第3回】顧客ポータル・外部コネクタ・LINE通知——社外との接点をCRMに集約する設計]

関連記事:[インサイドセールス向けにEMOROCO CRM Liteでテレアポ・Web商談をCRM4.0で仕組み化する方法]

 

この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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