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知識創造研究室 by CRM(xRM)

ChatGPT×EMOROCO CRM Lite — ナラティブメモを渡すだけで「この顧客専用の提案書」が生成される設計

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「ChatGPTで提案書を作ろうとしたが、どこにでもある一般的な文章しか出てこない」

この悩みを聞くことがよくあります。

ChatGPTが一般的な提案書しか作れない理由は明確です。「この顧客のことを何も知らないから」です。

顧客の課題・価値観・懸念・意思決定者の性格・過去の接触で響いた言葉——これらの「文脈」をChatGPTに渡さなければ、ChatGPTは「一般的な提案書のテンプレート」を出力するしかありません。

EMOROCO CRM Liteのナラティブメモ・感情温度・ICXキャプチャーは、ChatGPTに渡す「最高の文脈情報」です。

EMOROCOに蓄積された「この顧客の物語」をChatGPTのプロンプトに入力することで、「この顧客のために書かれた」と感じてもらえる提案書・フォローメールが生成できます。

この記事では、EMOROCOとChatGPTを組み合わせて「顧客の文脈を活かした提案書・フォローメール」を生成する具体的な方法を解説します。


なぜ「CRM×ChatGPT」が最強の組み合わせなのか

営業DXツールはSFAやCRMのように「顧客情報管理」「案件管理」を行う仕組みです。一方、ChatGPTは文章生成・要点整理・調査支援が得意で、営業担当の作業負荷を軽減します。両者は競合するものではなく、CRM × ChatGPTの併用が最も効果的です。

この指摘はまさに正しい。そして「どんなCRMと組み合わせるか」で、ChatGPTの出力の質が根本的に変わります。

一般的なCRMが持つ情報——商談フェーズ・成約確率・接触日時——をChatGPTに渡しても、「一般的な提案書」しか生まれません。

EMOROCOが持つ情報——ナラティブメモ・感情温度・ICXキャプチャー・自己実現文脈・共鳴した言語フレーム——をChatGPTに渡したとき、「この顧客のためにだけ書かれた文章」が生まれます。

【CRM情報の質がChatGPTの出力を決める】

一般的なCRMの情報:
  「A社 田中部長 商談フェーズ:提案済み 確度:60%」
  ↓ ChatGPTへ
  「一般的な提案書フォーマット」(どの顧客にも使える内容)

EMOROCOの情報:
  「A社 田中部長
   ナラティブメモ:コスト削減より業務効率化に強い関心。
   先月の訪問で『現場の担当者が顧客対応に集中できる環境』
   という言葉に目が輝いた。競合B社との比較検討中だが、
   B社のサポート体制に不安を持っている印象。
   感情温度:ウォーム→ホットへ移行中
   ICXキャプチャー:細かい数字より現場の変化の実感を重視する」
  ↓ ChatGPTへ
  「田中部長の言葉と懸念に直接応える提案書」

基本の構造——EMOROCOのどの情報をChatGPTに渡すか

ChatGPTに渡すEMOROCOの情報は「5つの文脈要素」です。

【ChatGPTに渡す5つの文脈要素】

①感情温度と根拠:
  「現在の感情温度:ウォーム。
   先週の接触で反応が良くなった。
   予算の承認見込みを自分から話してくれた」

②ナラティブメモ(直近の接触記録):
  「先月の訪問で出た発言・反応・変化」
  ← 最も重要。これがChatGPTの「文脈理解」の核心になる

③ICXキャプチャー(価値観・こだわり・禁忌):
  「コスト削減という言葉より『現場が楽になる』
   という表現に強く反応する。
   数字より現場のエピソードが響く」

④意思決定者の情報:
  「表の担当者は山田課長だが実権は田中部長。
   田中部長は現場主義で、IT導入に懐疑的」

⑤共鳴した言語フレーム:
  「前回刺さった表現:
   『顧客対応に集中できる環境』
   『担当者の頭の中を組織の財産に』」

これらをChatGPTのプロンプトに入力することで、「この顧客だけのための文章」が生成されます。


実践①「営業提案書」の自動生成——コピーして使えるプロンプトテンプレート

プロンプトテンプレート(提案書用)

以下のテンプレートをコピーして、【】内をEMOROCOのレコードから入力してください。

【営業提案書生成プロンプト】

あなたは経験豊富な法人営業の専門家です。
以下の顧客情報をもとに、この顧客専用の提案書の骨子を作成してください。

■ 顧客情報
・会社名:【会社名】
・担当者名・役職:【担当者名・役職】
・業種・規模:【業種・従業員規模】

■ 顧客の現状と課題(EMOROCOナラティブメモより)
【直近のナラティブメモの内容をそのまま貼り付ける】

■ 感情温度と根拠
・現在の温度:【ホット/ウォーム/クール/コールド】
・根拠:【感情温度の根拠メモの内容】

■ 顧客の価値観・こだわり(EMOROCOのICXキャプチャーより)
【ICXキャプチャーフィールドの内容をそのまま貼り付ける】

■ 意思決定者の情報
【意思決定者フィールドの内容】

■ 前回刺さった言語フレーム
【共鳴した言語フレームフィールドの内容】

■ 競合・懸念
【競合状況・懸念フィールドの内容】

■ 提案する製品・サービス
EMOROCO CRM Lite(月1,500円/ユーザー)

■ 作成してほしいもの
上記の顧客情報を最大限に活かした提案書の骨子を作成してください。
以下の構成で作成してください:
1. 冒頭:この顧客が「そうだ」と感じる課題の提示(顧客自身の言葉を活かす)
2. 課題の根本原因(なぜその課題が起きているか)
3. 解決策の提示(顧客の価値観・こだわりに合わせたフレームで)
4. 具体的な効果(顧客が重視する指標で示す)
5. 次のステップの提案

注意事項:
・「コスト削減」ではなく顧客が響いた言語フレームを使う
・数字より現場の変化のイメージを優先する(顧客の特性に合わせる)
・意思決定者の懸念を直接解消する内容を含める
・競合との差別化は顧客が不安に思っている点を中心に

生成例(before/after)

【Before:文脈なしの一般的な提案書】

「弊社のCRMは顧客管理・フォロー漏れ防止・ダッシュボード機能を
 提供しております。月1,500円/ユーザーの低コストで、
 営業効率を大幅に向上させることができます。
 ぜひ導入をご検討ください」

【After:EMOROCOの文脈を渡した提案書】

「田中部長が先日おっしゃっていた『現場の担当者が
 顧客対応に集中できる環境』——これが、
 御社にとっての本当の課題ではないでしょうか。

 現在、優秀な営業担当者の経験と記憶が属人化しています。
 担当者が変わるたびに、顧客との関係が一から始まり、
 現場の負担が増え続けている。

 EMOROCO CRM Liteは、担当者の頭の中にある
 『顧客との文脈』を組織の財産に変えます。
 3クリック以内で入力が完了する設計だから、
 現場の担当者が余計な時間をかけずに
 顧客対応に集中できる環境が実現します。

 B社のサポート体制への不安がおありとのこと。
 アーカス・ジャパンはIT導入支援事業者として、
 導入後の定着まで一貫して伴走します」

実践②「感情温度別フォローメール」の自動生成

感情温度に応じてフォローメールのトーンと内容を変えます。それぞれのプロンプトテンプレートを示します。

感情温度「ホット」——今すぐアポにつなぐメール

【ホット用フォローメールプロンプト】

以下の顧客情報をもとに、アポイントを自然に打診するフォローメールを作成してください。

顧客情報:
・会社名:【会社名】
・担当者名:【担当者名】
・感情温度:ホット(自ら連絡してきた・積極的な反応あり)
・最近の接触での発言:【ナラティブメモより】
・刺さった言語フレーム:【共鳴した言語フレームより】

作成条件:
・200字以内(読みやすさを最優先)
・「ご検討いただきありがとう」で始めない(使い古された表現を避ける)
・前回の接触で出た具体的な言葉・話題から自然につなぐ
・アポの提案を自然な形で入れる(押しつけにならない)
・件名も作成する

出力形式:
【件名】
【本文】

感情温度「ウォーム」——関係を維持する定期フォローメール

【ウォーム用フォローメールプロンプト】

以下の顧客情報をもとに、関係維持のための自然なフォローメールを作成してください。

顧客情報:
・会社名:【会社名】
・担当者名:【担当者名】
・感情温度:ウォーム(良好・定期的な関係が続いている)
・ナラティブメモ(直近):【内容を貼り付ける】
・顧客の価値観・関心:【ICXキャプチャーより】

作成条件:
・売り込みなし(関係維持が目的)
・顧客が関心を持っている話題・近況に触れる
・「何かお役に立てることがあれば」という姿勢
・150字以内で温かみのあるトーン

出力形式:
【件名】
【本文】

感情温度「クール」——関係回復を図る慎重なメール

【クール用フォローメールプロンプト】

以下の顧客情報をもとに、関係を慎重に回復するためのメールを作成してください。

顧客情報:
・会社名:【会社名】
・担当者名:【担当者名】
・感情温度:クール(反応が薄くなった・接触が減った)
・最後の接触でのメモ:【ナラティブメモより】
・クール化した可能性のある原因:【予兆サインより】

作成条件:
・売り込み・プッシュは一切なし
・「お変わりありませんか」という純粋な関心から始める
・前回の接触での共通の話題を一つだけ自然に入れる
・返信のハードルを下げる(「お時間があれば」等)
・120字以内で圧迫感のないトーン

出力形式:
【件名】
【本文】

実践③「IS→FS引き継ぎメモ」の自動整形

インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎメモを、EMOROCOのナラティブを元にChatGPTで整形します。

【IS→FS引き継ぎメモ整形プロンプト】

以下のCRMの記録を、フィールドセールスが一次商談前に読む
「引き継ぎメモ」に整形してください。

■ EMOROCOのナラティブメモ(全記録):
【ナラティブメモの全文を貼り付ける】

■ 感情温度の推移:
【感情温度の変化履歴】

■ ICXキャプチャー:
【ICXキャプチャーの内容】

整形条件:
・読むのに3分以内(600字以内)
・以下の構成で整理する:
  1. この顧客を一言で表すなら(30字以内)
  2. 刺さる言語フレーム(使うべき言葉・避けるべき言葉)
  3. 意思決定者の性格・特徴
  4. 競合・懸念への対応方針
  5. 最初の5分で話すべきこと(アイスブレイクのネタ含む)
・「担当者が変わった」と顧客に感じさせないための引き継ぎを意識する

実践④「定例MTGアジェンダ」の自動生成(CS向け)

カスタマーサクセスの定例MTG前に、EMOROCOのCSナラティブをChatGPTに渡してアジェンダを自動生成します。

【定例MTGアジェンダ生成プロンプト】

以下のカスタマーサクセスの記録をもとに、
今月の定例MTGのアジェンダを作成してください。

■ 顧客情報:
・会社名:【会社名】
・CSフェーズ:【オンボーディング/アドプション/エクスパンション】
・ヘルス感情温度:【グリーン/イエロー/オレンジ/レッド】

■ 先月の定例MTGメモ:
【CSナラティブメモの先月分を貼り付ける】

■ 先月の宿題(アクション)の状況:
【宿題の実行状況】

■ 今月共有できる成果・データ:
【成果の内容】

アジェンダの作成条件:
・60分の定例MTGを想定
・「先月の振り返り→課題の確認→今月の共有→来月の計画」の流れ
・ヘルス感情温度がイエロー以下の場合は「顧客の本音を聞く時間」を必ず入れる
・エクスパンションフェーズの場合は「追加活用のアイデア提案」を含める
・各アジェンダの所要時間(分)も明記する

運用設計——「プロンプトを資産にする」仕組み

ChatGPTプロンプトを「使い捨て」にしないために、組織の資産として管理する仕組みを作ります。

【プロンプト資産化の設計】

Step 1:プロンプトのバージョン管理
  「提案書用プロンプトv1.0」「フォローメール用ホット版v2.1」のように
  バージョンを管理して共有フォルダ(Google Drive・Notion等)に保存

Step 2:「刺さったプロンプト」の共有文化
  週次のSoI-PDCA会議で「今週ChatGPTが生成した最も良い文章」を共有。
  そのプロンプトを全員でレビューして改善する。
  → EMOROCOのSoI-PDCAサイクルとChatGPTの改善サイクルを連動させる

Step 3:「業種別・フェーズ別」のプロンプトライブラリ
  工務店向け提案書用・税理士向けフォローメール用・
  IS→FS引き継ぎ用・CS定例MTG用——
  業種とシーンに合わせたプロンプトをライブラリ化する

Step 4:出力のチェックルール
  ChatGPTの出力を「そのまま使わない」3つのルール:
  ①固有名詞・数字は必ず確認する
  ②顧客の名前・役職の誤りをチェックする
  ③「EMOROCOのナラティブに書いていない事実」が含まれていないか確認する

重要な注意点——「文脈なき自動化」の危険性

最後に、最も重要な注意点を伝えます。

ChatGPTが生成した文章は「出発点」であり「完成品」ではありません。

提案内容の骨子として利用するのは有効ですが、最終版の資料に反映する際は必ず確認が必要です。特に競合情報や数値は誤りが含まれる可能性があるため、一次情報との照合を行うことが大切です。

特にEMOROCO×ChatGPTの組み合わせで注意すべきは「ナラティブメモの質がChatGPTの出力の質を決める」という事実です。

雑なナラティブメモ(「訪問した。前向きな印象」)をChatGPTに渡しても、雑な提案書しか生まれません。「今日田中部長が目を輝かせた瞬間はいつで、その言葉は何だったか」というナラティブの質がChatGPTの出力を決定します。

つまり、ChatGPTを最大限に活かすためには、EMOROCOのナラティブ記録の質を上げることが先決です。

「ナラティブを書く習慣」→「ChatGPTへの文脈の提供」→「高品質な提案書・メールの生成」→「成約率の向上」→「ナラティブを書く動機の強化」——このポジティブなサイクルが回り始めたとき、EMOROCOとChatGPTの組み合わせは最大の価値を発揮します。


まとめ——EMOROCO×ChatGPT活用の設計チェックリスト

情報準備:
□ ナラティブメモが「ChatGPTに渡せる質」で書かれているか
□ ICXキャプチャー(価値観・禁忌・フック)が記録されているか
□ 共鳴した言語フレームフィールドが設定・記録されているか
□ 意思決定者の情報が記録されているか

プロンプト設計:
□ 提案書用・フォローメール用(感情温度別)のプロンプトが用意されているか
□ IS→FS引き継ぎ用プロンプトがあるか
□ CS定例MTGアジェンダ用プロンプトがあるか

運用設計:
□ プロンプトが共有フォルダで全員がアクセスできるか
□ 週次でプロンプトの「刺さった事例」を共有する習慣があるか
□ ChatGPT出力の3段階チェックルールが共有されているか

EMOROCOのナラティブに「この顧客の物語」を書き続けることが、ChatGPTに「最高の文脈」を渡すことになります。今日から「ChatGPTに渡すために書く」という意識でナラティブを記録し始めてください。
EMOROCO CRM Lite 製品ページ


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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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