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移動時間を削って、ケアの時間を増やす — 訪問介護・訪問看護がEMOROCO CRM Liteの地図連携で担当エリア管理と人員配置を最適化する方法

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

「移動時間が1日平均3時間を超えている」

これは、ある訪問看護ステーションの管理者から聞いた言葉です。利用者様への訪問時間はわずか30〜60分。それなのに、その何倍もの時間を移動に費やしている。スタッフの肉体的疲労は増し、訪問件数は伸びない——この悪循環が多くの事業所で繰り返されています。

訪問看護業務において、移動時間は大きな割合を占めます。特に都市部では交通渋滞や駐車場の確保に時間がかかり、移動時間のロスが大きくなる傾向があります。移動時間のロスは、訪問件数を制限するだけでなく、訪問看護師の肉体的疲労にもつながります

さらに深刻なのは、2025年問題です。団塊の世代が後期高齢者となる中、在宅ケアのニーズは急増しています。しかし介護・看護スタッフの採用は依然として困難で、限られた人員でより多くの利用者様に対応しなければならないプレッシャーは増すばかりです。

この問題の解決策は、スタッフを増やすことではありません。今いるスタッフの「移動」を減らし、「ケア」を増やす仕組みを作ることです。この記事では、EMOROCO CRM Liteの地図連携機能を使って、担当エリア管理と人員配置を最適化する具体的な方法をお伝えします。


訪問系事業所が抱える「4つの非効率」

非効率① スタッフの担当エリアが「なんとなく」決まっている

訪問介護・訪問看護では、利用者様の担当スタッフは「この人と相性がいいから」「ベテランだから難しいケースを担当」「住所がなんとなく近いから」という形で決まっているケースが少なくありません。

地域ごとのチーム制を導入することで移動時間の短縮と地域に密着したケアが実現できる、各エリアの特性に応じた人員配置が可能となりより効率的な運営ができる——という方針は知っていても、実際のエリア配置が可視化されていなければ、改善のしようがありません。

「スタッフAさんの担当利用者が北部に3名・南部に2名・西部に1名に散らばっている」という実態が、地図を見ないとわからない状態になっています。

非効率② 新規利用者の担当割り当てが「感覚」で行われる

新規の利用者様が入ってきたとき、「誰に担当してもらうか」の判断が管理者の記憶と感覚に依存しています。

「Aさんはもう手一杯かな」「Bさんはその地区に他の担当があったかな……」——この判断を、地図と担当情報を照らし合わせることなく行っているため、結果として移動ロスが大きい担当割り当てが続きます。

非効率③ スタッフの担当交代・引き継ぎで関係がリセットされる

担当スタッフが変わるとき、利用者様の情報がきちんと引き継がれないことがあります。「前のスタッフはどう対応していたか」「この利用者様はどんな性格か」「家族の連絡先と注意事項は」——これらが新担当者の頭の中にない状態で訪問が始まると、利用者様・家族から「話が通じない」「また一から説明しなければならない」という不満が生まれます。

非効率④ 管理者が全体状況を把握できていない

スタッフの担当件数・担当エリア・訪問頻度・利用者様の状態変化——これらを管理者が一覧で把握できる仕組みがない事業所では、「Aさんに偏りすぎている」「B地区の対応が手薄になっている」という問題に気づくのが遅れます。


エリア担当制の導入が生む「2つの効果」

エリア担当制を導入し、スタッフを4つのチームに分けて運営を開始した結果、移動時間が1日平均3時間を超えていた状況が改善され、業務効率が大幅に向上したという事例があります。

エリア担当制が生む効果は大きく2つです。

効果① 移動時間の短縮

同じスタッフが近隣の利用者様を集中して担当することで、訪問間の移動時間が劇的に短縮されます。1日30分の移動時間短縮が実現できれば、それは月20日換算で約10時間——つまり追加で3〜4件の訪問に充てられる時間です。

効果② 利用者様との関係の深化

担当エリアが固定されることで、スタッフは同じ地域の利用者様を継続的に担当できます。地域の道路事情・かかりつけ医・近隣の事業所との関係も自然に蓄積され、緊急時の対応スピードも上がります。


EMOROCO CRM Liteの地図連携で実現する「担当エリア管理の全体設計」

ステップ① 利用者様レコードのカスタムフィールド設計

EMOROCO CRM Liteのノーコードカスタムフィールドで、訪問系事業所に必要な情報を設計します。

【利用者様レコードの必須フィールド】

基本情報:
・氏名・住所(地図連携のベースとなる最重要フィールド)
・生年月日・年齢
・要介護度(要支援1〜要介護5)
・主治医・かかりつけ病院
・緊急連絡先(家族の氏名・続柄・電話番号)
・キーパーソン(実際の意思決定者)

担当管理:
・担当スタッフ(スタッフレコードと紐付け)
・担当エリア(北部/南部/東部/西部など選択式)
・訪問頻度(毎日/週3/週2/週1/月数回)
・訪問時間帯(朝/昼/夕/夜)
・サービス種別(身体介護/生活援助/医療処置/リハビリなど)

ケア情報:
・主な病状・疾患名
・注意事項(アレルギー・禁忌事項・性格の特徴)
・家族の状況(同居/別居/独居)
・家族との関係性メモ
・最近の状態変化(良好/やや低下/要注意)

継続管理:
・サービス開始日
・契約更新日
・ケアプラン更新時期
・担当ケアマネジャー名・事業所名
・最終訪問日(自動更新)

特に重要なのが「状態変化」フィールドです。 「要注意」になった利用者様をダッシュボードで素早く把握し、管理者・チームで情報を共有することが、重大インシデントの予防につながります。


ステップ② 地図連携で「担当の偏り」を可視化する

利用者様の住所が登録されると、地図上に各利用者様のピンが表示されます。ピンを担当スタッフごとに色分けすることで、以下のことが一画面で把握できます。

地図で見えるようになること:

・スタッフAさんの担当利用者が北エリアに集中しているか、散らばっているか
・スタッフBさんとCさんの担当エリアが重複していないか
・新規利用者の住所と既存担当の最寄りスタッフ
・特定のエリアに担当スタッフが手薄になっていないか
・緊急訪問が発生した場合、最寄りのスタッフは誰か

新規利用者の担当割り当て時の使い方:

  1. 新規利用者様の住所を地図に登録
  2. 地図上でその住所の周辺にいる既存担当利用者のピンを確認
  3. 最も多くの担当利用者が集まっているスタッフを把握
  4. そのスタッフの現在の担当件数・稼働状況を確認
  5. 最も効率的な担当者にアサインする

この手順により、「なんとなく」の担当割り当てが、「移動ロスが最小になる」根拠ある割り当てに変わります。


ステップ③ スタッフレコードの設計——人員配置の判断基準を整える

利用者様レコードと並んで、スタッフレコードも整備します。

【スタッフレコードの必須フィールド】

基本情報:
・氏名・自宅住所(エリア判断の参考)
・資格・専門性(介護福祉士/看護師/准看護師/PT/OT/STなど)
・経験年数・得意なケア種別

担当管理:
・担当エリア(メイン/サブ)
・現在の担当利用者数
・週間訪問件数の上限
・オンコール対応可否

稼働状況:
・今週の訪問件数
・先月の残業時間
・休暇取得状況
・体調・メンタル状態(管理者メモ)

スタッフの「担当エリア」と「現在の担当件数」が可視化されることで、「Aさんはすでに担当上限に近い。次の利用者はBさんにアサインすべき」という判断が、管理者の記憶ではなくデータで行えるようになります。


ステップ④ ワークフロー設計——引き継ぎ・更新・緊急対応を自動でアラート

【担当変更時の引き継ぎワークフロー】

担当スタッフフィールドが変更されたとき
  → タスク「担当引き継ぎ面談の実施」を翌日に自動生成
  → タスク「新担当者による初回訪問(同行)」を3日以内に自動生成
  → タスク「引き継ぎ後1ヶ月の状況確認」を30日後に自動生成

【ケアプラン・契約更新のアラート】

ケアプラン更新時期フィールドの2ヶ月前
  → タスク「ケアプラン更新前の状態確認・ケアマネジャーへの連絡」を自動生成

契約更新日の1ヶ月前
  → タスク「契約更新の案内と面談日程調整」を自動生成

【状態変化のアラート】

「最近の状態変化」フィールドが「要注意」に変わったとき
  → タスク「管理者への緊急報告・カンファレンスの実施」を当日に自動生成
  → タスク「主治医・ケアマネジャーへの状況連絡」を翌日に自動生成

最終訪問日から訪問頻度を超えた日数が経過したとき
  → タスク「訪問漏れ確認」を自動生成(訪問頻度に応じて設定)

【家族コミュニケーションのワークフロー】

サービス開始から1ヶ月後
  → タスク「家族への状況報告・満足度確認の連絡」を自動生成

介護度更新申請時期(認定有効期間の3ヶ月前)
  → タスク「介護度更新申請の案内」を自動生成

ステップ⑤ ダッシュボードで管理者が「今日の状態」を5分で把握する

【訪問系事業所 管理ダッシュボード】

スタッフ別担当件数一覧
  → 誰が何件担当しているか。担当上限に近いスタッフを色分け表示

「状態変化:要注意」の利用者様リスト(最優先)
  → 今日確認・対応が必要な利用者様の一覧

今週期限のタスク一覧
  → ケアプラン更新・契約更新・引き継ぎ確認など期限付きタスク

「最終訪問から訪問頻度超過」のアラートリスト
  → 訪問が予定通り実施されていない利用者様の検知

エリア別の担当件数バランス
  → 北部15件・南部8件・東部12件など、エリアごとの負担を可視化

新規利用者の担当候補リスト
  → 住所と現在の担当件数を組み合わせた、最適担当者の候補表示

このダッシュボードを毎朝の管理者業務の起点にすることで、「知らないうちに問題が大きくなっていた」という状況を防げます。


「移動を減らす」ことが「ケアの質を上げる」理由

EMOROCO CRM Liteが訪問系事業所にもたらす変化は、単なる業務効率化ではありません。

移動時間を短縮することで創出される時間は、新たな訪問件数の確保・職員の研修・利用者と向き合う時間の増加にあてられます

移動時間が1日30分短縮された場合、スタッフは何を得るか:

  • 利用者様との会話・観察の時間が増える
  • 訪問後の記録をきちんと入力する時間が確保される
  • 精神的・肉体的な余裕が生まれ、ケアの質が向上する
  • 残業が減り、スタッフの定着率が上がる

ICT化は、単なる業務効率化ツールではなく、職員の負担を軽減し定着率を高め、結果として質の高いサービス提供と安定した経営を実現するための戦略的な投資です——この言葉が示すように、地図連携による担当エリア最適化は「効率化」の話ではなく「経営戦略」の話です。

人材不足が深刻化する訪問介護・訪問看護において、「今いるスタッフが気持ちよく働き続けられる環境」を作ることは、経営の最重要課題の一つです。そのための最初の一手が、移動ロスの可視化と削減です。

月1,500円から始められるEMOROCO CRM Liteで、まず利用者様の住所と担当スタッフを入力することから始めてみてください。地図を開いた瞬間に、これまで見えなかった「担当の偏り」と「移動の無駄」が一目でわかります。
https://www.emoroco.com/


まとめ——訪問系事業所のエリア管理最適化チェックリスト

カスタムフィールドの設計:

  • 利用者様の住所が登録され、地図上にピン表示されているか
  • 担当スタッフフィールドで利用者とスタッフが紐付いているか
  • 「担当エリア」「訪問頻度」「最近の状態変化」フィールドが設定されているか
  • スタッフの「担当件数上限」「担当エリア」が管理されているか

地図連携の活用:

  • スタッフ別に色分けされた担当利用者マップが表示されているか
  • 新規利用者の担当割り当て時に地図で最寄り担当者を確認しているか
  • エリア別の担当件数バランスを定期的に見直しているか

ワークフローの設計:

  • 担当変更時の引き継ぎタスクが自動生成されるか
  • ケアプラン・契約更新のアラートが設定されているか
  • 「状態変化:要注意」時の緊急タスクが自動生成されるか
  • 訪問頻度超過のアラートが設定されているか

ダッシュボードの設計:

  • スタッフ別担当件数が一覧で把握できるか
  • 「要注意」利用者のリストが毎朝確認できるか
  • エリアバランスの偏りが可視化されているか

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この記事を書いた人
松原 晋啓

詳細プロフィールはこちら
アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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