第2回|「攻めのIT投資」とは何か? ― バイモーダルITが示す、成長企業のIT戦略 ―
「攻めのIT投資」とは何を“攻める”のか?
前回、日本企業のIT投資の多くが
「守りのIT」 に偏っていることをお伝えしました。
では、よく言われる
「攻めのIT投資」 とは、具体的に何を指すのでしょうか。
それは決して、
-
▶最新技術を使うこと
-
▶高額なシステムを導入すること
ではありません。
“ビジネスの価値を生み出す領域にITを使うこと”
これこそが、攻めのIT投資の本質です。
バイモーダルITという考え方
この違いを明確に示したのが、
ガートナー が2015年に提唱した
Bimodal IT(バイモーダルIT) という考え方です。
バイモーダルITとは、
IT活用を 2つのモード(流儀) に分けて考えるアプローチです。
モード1:守りのIT(System of Record)
モード1 は、安定性・正確性・効率性を重視するITです。
主に以下のような領域が該当します。
-
▶基幹システム
-
▶会計・人事・在庫管理
-
▶業務プロセスの標準化
-
▶コスト削減・省力化
これは企業活動を支える 土台 であり、欠かせない存在です。
日本企業が得意としてきたのも、まさにこの領域です。
モード2:攻めのIT(System of Engagement)
一方、モード2 はまったく性質が異なります。
-
▶顧客体験の創出
-
▶新サービス・新ビジネスの検証
-
▶データを活用した意思決定
-
▶変化に即応する柔軟性・俊敏性
つまり、
顧客や市場と“つながる”ためのIT がモード2です。
ここでは、
-
▶正解は最初から存在しない
-
▶小さく試し、データで検証し、素早く改善する
というアプローチが求められます。
なぜ日本企業はモード2に進めないのか
多くの日本企業がモード1に偏る理由は明確です。
-
▶費用対効果が事前に見えやすい
-
▶失敗が許されにくい文化
-
▶投資判断が「稟議・前例」中心
-
▶IT部門が“守る役割”に固定されている
モード2は、
「やってみないと成果がわからない」
という性質を持つため、
どうしても後回しにされがちです。
しかし、その結果として――
新しい価値を生み出せない企業構造 が固定化してしまいます。
成長企業は「両方」を使い分けている
重要なのは、
モード1か、モード2か、どちらかを選ぶことではありません。
成長している企業ほど、
-
▶モード1で土台を安定させ
-
▶モード2で価値創造を加速させる
という 両立 を実現しています。
つまり、
守りを固めた上で、攻め続ける
これが、現代のIT戦略の基本形です。
モード2の中心にあるのは「顧客」
では、モード2のIT投資は
何を起点に設計されるべきなのでしょうか。
答えはシンプルです。
顧客をどれだけ深く理解できているか
商品でも、業務でもなく、
顧客との関係性そのもの が出発点になります。
-
▶顧客は何を感じているのか
-
▶どんな体験に価値を見出しているのか
-
▶なぜ自社を選び続けているのか
これらを扱う中核に位置するのが、
CRM(顧客関係管理) です。
ITは「効率化の道具」から「戦略のエンジン」へ
モード2のIT投資において、
ITはもはや裏方ではありません。
-
▶経営戦略と直結し
-
▶顧客理解を深め
-
▶企業の方向性を決める
戦略のエンジン として機能します。
そしてこのエンジンを動かすために必要なのが、
顧客データを軸にしたIT基盤 なのです。
次回予告|IT投資の本丸は「知識創造」にある
次回は、
-
▶なぜデータがあるのに活かせないのか
-
▶業務データと価値データの違い
-
▶DXが「システム刷新」で終わる理由
を切り口に、
IT投資の本丸である「知識創造領域」 について解説します。
アーカス・ジャパン株式会社のCRMはこちらから⇩
アーカス・ジャパンのCRM - アーカス・ジャパン株式会社(Arcuss Japan Inc.) - CRM リーディングカンパニーである経営ITコンサルティング会社
