第6回|マーケティング5.0とAI時代のCRM ― Society 5.0が求める“人間中心×テクノロジー”の融合 ―
マーケティングは「人間中心」に回帰する
マーケティング4.0が「共感」を軸に顧客との関係性を再定義したのに対し、
2021年に フィリップ・コトラー が提唱した 「マーケティング5.0」 は、さらに一歩踏み込みます。
そのキーワードは、
テクノロジーを使って、人間中心社会を実現する
という思想です。
デジタルが当たり前になった今、
テクノロジーは目的ではなく、
人間の理解を深めるための手段 へと位置づけ直されています。
Society 5.0が示す未来像
マーケティング5.0の背景には、
日本政府が提唱する Society 5.0(超スマート社会) の概念があります。
Society 5.0とは、
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▷AI
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▷IoT
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▷ビッグデータ
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▷ロボティクス
などを活用し、
社会課題を解決しながら、
人間の豊かさを最大化する社会 を目指すビジョンです。
ここで重要なのは、
テクノロジー主導ではなく「人間中心」であること。
つまり、
AIは人間を置き換える存在ではなく、
人間理解を拡張する存在 なのです。
AIは「効率化ツール」ではない
多くの企業では、
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▶AI=自動化
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▶AI=省人化
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▶AI=コスト削減
と捉えられがちです。
しかしマーケティング5.0におけるAIの役割は異なります。
それは、
人間の感情・文脈・行動の意味を読み解くこと
です。
顧客は数字だけでは表せません。
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▷なぜそのタイミングで購入したのか
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▷なぜ離脱したのか
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▷なぜ価格ではなくブランドで選んだのか
こうした“背景”を読み解くために、
AIは真価を発揮します。
CRMは「データの倉庫」では終わらない
ここで改めて、CRMの役割を考えます。
従来のCRMは、
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▶顧客リスト
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▶商談管理
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▶売上管理
といった「記録の管理」が中心でした。
しかしAI時代においては、
データを意味に変える基盤
へと進化します。
CRMに蓄積された、
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▷属性データ
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▷行動データ
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▷接触履歴
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▷感情データ
これらをAIが分析することで、
顧客の“心理構造”が見えてきます。
データは「集めた企業」が勝つ
AIは万能ではありません。
AIが機能するための前提条件は、
正しく整理された、統合された顧客データ
です。
もし顧客情報が、
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▶部署ごとに分断され
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▶システムごとに散在し
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▶文脈が残っていない
状態であれば、
AIは何も学習できません。
つまり、
CRMを整備していない企業は、
AI時代に参入できない
という構造が生まれています。
「攻めのIT投資」はここで完成する
ここまでの流れを整理すると、
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1. 守りのITでは成長できない
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2. モード2(攻めのIT)が必要
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3. 顧客中心の知識創造が鍵
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4. 共感経済の時代に入った
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5. AIが人間理解を拡張する
そしてその中心にあるのが、
CRMという顧客基盤 です。
CRMはもはや、
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▷営業支援ツール
ではなく -
▷AIを活かすための戦略インフラ
なのです。
競争優位は“時間差”で決まる
AI時代の怖さはここにあります。
AIは、
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▶データを学習する
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▶パターンを見つける
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▶精度を高める
というプロセスを繰り返します。
つまり、
早く始めた企業ほど、
学習量が増え、差が開く。
後から参入しても、
過去データの蓄積差は簡単には埋まりません。
これが、
「攻めのIT投資は早い者勝ち」
と言われる理由です。
次回予告|あなたのCRMは機能していますか?
次回は、
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▷CRMが“入っている”企業と
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▷CRMが“機能している”企業の違い
を明確にするために、
「顧客関係管理の実力を問う8つのチェックポイント」
を解説します。
