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米国最大のビジネス誌「FORTUNE」掲載記事 - 和訳
1929年アメリカ発のビジネス雑誌として創刊され、全米トップ企業500社の「フォーチュン500」や世界企業ランキング「フォーチュン・グローバル500」など信頼性の高い企業番付で知られている米国最大の英文ビジネス誌である「FORTUNE」誌の特集企画『JAPAN'S CHANGEMARKERS』に掲載された記事の和訳を掲載します。
原文は下記になります。
https://japan-changemakers.com/nobuaki_matsubara/
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"CRMの最終形態"で地方創生に貢献
日本のCRMのリーディングカンパニーであるアーカス・ジャパン株式会社。代表取締役の松原晋啓氏はマイクロソフトのCRMスペシャリストとして数多くの企業のCRM導入・活用を支援してきた経歴を持つ。そんな同社は2026年3月に「EMOROCO CRM Lite」をリリースした。松原氏に開発の背景や今後の展望を聞いた。
CRM普及の裏で見えてきた課題
1990年代に米国で誕生したCRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報を一元管理し、営業活動やマーケティングに活用することで、顧客との関係性を強化するシステムを指す。顧客との取引開始から終了までに企業へもたらす利益であるLTV(顧客生涯価値)を高めることを目的としており、競争が激化し、顧客ニーズが多様化する現代においては欠かせない経営基盤の一つとなっている。
多くの企業がCRMを導入してきたものの、実際には十分に活用できていないケースも少なくない。
代表的な課題の一つが、CRMを導入しても現場で使われないことである。営業担当者にとって、商談後の情報入力はどうしても後回しになりやすい。入力作業を負担に感じ、記録が曖昧になったり、まとめて入力したりすることで、本来残すべき顧客との温度感や商談時の細かなニュアンスが失われてしまう。結果として、データの精度が下がり、CRMが十分な価値を発揮できなくなる。
もう一つの課題は、多機能化による複雑さだ。さまざまな機能を搭載したCRMは、一見すると高機能に映る。しかし、現場では「何から使えばいいのかわからない」「操作が複雑で定着しない」といった状況が起こりやすい。
さらに、日本企業ではCRMそのものを導入しないという選択をする企業も依然として多い。その背景について代表は、日本企業全体に根付く「守り」の姿勢を指摘する。
「日本は失敗すると減点される文化が強い。一方、私が外資系企業で経験してきた環境では、前向きな挑戦による失敗は“加点”の対象でした。チャレンジした結果の失敗は課題であって、責めるものではない。だから新しいことにも挑戦できるのです」。
業務効率化に留まる「守りの投資」ではなく、顧客との関係そのものを変革する「攻めの投資」へ――。その発想の転換こそが、日本企業に求められていると松原氏は語る。
従来の課題を解決するCRMを開発
2026年3月にリリースされた「EMOROCO CRM Lite」は、これまでのCRMが抱えてきた「使われない」「機能が複雑」という課題の解決を叶えている。
その象徴となるのが「3クリック以内」で主要な入力を完了できるUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインだ。営業担当者は商談直後、その場の空気感や顧客の反応を最も鮮明に覚えている。しかし、入力を後回しにすると、その時の印象は時間とともに薄れてしまう。EMOROCO CRM Liteでは、商談後すぐに必要な情報を登録できる設計にすることで、顧客の温度感まで含めたリアルな情報を蓄積しやすくしている。
また、数値だけでは測れない「関係性」を可視化する仕組みも特徴的だ。接触回数や活動履歴などの客観的なデータに加え、営業担当者が感じた顧客の反応を「ホット」「ウォーム」「コールド」などの感情温度として記録できる。客観データと主観データを組み合わせた独自の「二軸マトリックス」によって「数値上は接点が少ないものの商談が進展しそうな顧客」や「接触頻度は高いが関係性が停滞している顧客」といった状況を、より立体的に把握できるという。
さらに、今後実装を予定している「関係性資産エンジン」では、接触履歴や関係の深さなどをもとに顧客との関係性をスコア化し、優先的にフォローすべき顧客や育成対象を可視化する構想も進めている。CRMを単なる顧客管理ツールではなく、「関係性を育てるための仕組み」へと進化させようとしているのである。
「Lite」の名を冠しているものの、その基盤は決して簡易的なものではない。マルチテナントでの展開や、ロール別・フォーム別のセキュリティといった大企業に求められる機能を標準で備えており、機能面ではエンタープライズや多国籍企業にも展開できるインフラを有している。中堅・中小企業の導入しやすさと、企業規模の拡大にも耐え得る拡張性を兼ね備えていることも、EMOROCO CRM Liteの大きな特徴だ。
加えて、月額1,500円(税込)の低価格も大きな魅力だ。CRMは高額なシステムというイメージが根強いが、EMOROCO CRM LiteはAIを開発に活用することでコストを抑え、中小企業でも導入しやすい価格を実現した。一方で、代表は「AIだけでは本当に価値あるCRMはつくれない」と語る。
「AIは機能や画面をつくることができます。しかし、CRMの本質となる理論や思想までは生み出せません。長年培ってきたCRMの知見があってこそ、AIを有効に活用できるのです」。
AIによる開発効率と、長年のCRMコンサルティングで培った理論を融合させることで、価格だけでなく品質も両立。EMOROCO CRM Liteが目指しているのは、顧客管理そのものではなく、企業が顧客との関係づくりに集中できる環境を実現することなのである。
地方創生というCRMの新たな価値
EMOROCO CRM Liteがこれまでの同社のCRM製品と大きく異なるのは、ターゲットを中堅・中小企業に定めた点だ。代表はこれまで、大企業向けCRMの導入・活用支援を数多く手がけてきた。しかし、今回あえて新たな市場に挑戦した背景には、「日本を元気にするには中小企業の成長が欠かせない」という強い想いがある。
日本企業の大半を占めるのは中小企業であり、地域経済を支えているのもまた、各地に根差した企業だ。だからこそ、大企業だけがDXを進めても、日本全体の活力向上にはつながらない。代表は「日本は中小企業が元気にならなければ、本当の意味で発展はしない」とし、中小企業がCRMを活用し、顧客との関係を深めながら持続的に成長できる環境づくりを目指している。
その考え方は、企業理念として掲げる「地方創生」にもつながっている。同社の拠点を大阪に置くのも、地方にはまだ大きな可能性が残されているという考えからだ。地方企業が顧客との関係性を強化し、地域に根差したビジネスを発展させることで、雇用や経済が活性化し、日本全体の活力につながる――。CRMは単なる営業支援ツールではなく、地域経済を支えるインフラにもなり得るというのが代表の描くビジョンである。
一方で、その視線は国内だけに向けられているわけではない。EMOROCO CRM Liteは海外展開も見据えて設計されており、すでに多言語にも対応している。まずは現地企業とのアライアンスやOEMパートナーシップを通じて市場を開拓し、一定の需要が見込めた段階で現地法人や支社を設立する構想を描いている。
代表が目指しているのは、単にCRMというソフトウェアを提供することではない。企業が顧客一人ひとりとの関係を大切にし、その積み重ねが企業の成長につながり、さらに地域社会、日本、そして世界へと広がっていく仕組みをつくることだ。EMOROCO CRM Liteは、その第一歩として、中小企業の未来、そして地方創生を支える新しいCRMの姿を描こうとしている。
略歴
アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役 松原 晋啓
アクセンチュア株式会社などでアーキテクト・コンサルタントを務め、インフラジスティッ クスではエバンジェリスト(Microsoft MVP for CRM)として活動。その後マイクロソフ トでCRM製品を担当し、CRM専門企業アーカス・ジャパン株式会社を設立。企業のCRM導入・定着化を支援するとともに、インタビューや記事寄稿を通じて“真なるCRM”の普及 に努める。プラットフォーム型CRM(CRM2.0)の提唱者であり、CRMの正統後継者にし て世界唯一無二の「CRMドクター」を自負する。

