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「求職者の情報と企業の情報が別々で、マッチングは担当者の頭の中」 — 人材紹介・採用支援会社がEMOROCO CRM Liteで求職者と企業の関係を同時管理する方法

こんにちは、CRMエバンジェリストの松原です。

人材紹介ビジネスの競争力は、「二つの顧客を同時に理解している深さ」で決まります。

求職者が何を求めているか。企業が何を求めているか——この二つを高精度で把握し、「この人とこの会社はきっとうまくいく」という確信を持って紹介できるエージェントが、成約率も満足度も高い。

しかし多くの人材紹介会社で、この「二面管理」は担当者の頭の中にしか存在していません。

多くの人材紹介会社では候補者管理にATS(Applicant Tracking System)、企業管理にExcelやスプレッドシート、そしてマッチングは担当者の頭の中という状態が続いています。候補者DB(ATS)と企業DB(CRM)が分断されているために、組織的なマッチングができず、属人的な紹介に依存してしまうのです。

この記事では、EMOROCO CRM Liteのノーコードカスタムフィールドとワークフロー自動化を使って、求職者レコードと企業レコードを一つのプラットフォームで管理し、「組織的なマッチング」を仕組みとして実現する方法をお伝えします。


人材紹介業が抱える「二面管理の4つの構造的問題」

問題① 「求職者情報」と「企業情報」が分断されている

人材紹介業では「求職者・求人企業」双方に関する情報を管理するため、量が膨大になりがちです。こうしたニーズに関する情報の管理が疎かになってしまうと、紹介時に双方の希望を正しく反映できず、ミスマッチを引き起こしかねません。

求職者管理はExcelシート、企業管理は別のExcelシート、選考状況はメールの履歴——これらが別々に存在していると、「A社の採用要件に一致する求職者を今すぐ5名リストアップ」という作業が、担当者の記憶を頼りにした手作業になります。

問題② マッチングが「担当者の勘」に依存している

「管理業務に時間と手間がかかりすぎる」「どれが最新データなのかわからない」「業務の属人化が進み、ブラックボックス化している」など、従来のExcel管理には様々な課題が散在していました。

ベテランエージェントは「B社なら田中さんのキャリアにぴったりだ」という判断を瞬時にできます。しかしその判断は経験と記憶によるものであり、どこにも記録されていない。そのエージェントが退職した瞬間に、「マッチングの精度」は組織から消えます。

問題③ 選考進捗の管理が追いつかない

複数の求職者が、複数の企業で同時進行で選考を進めています。選考の進捗状況や現状の内定者数などリアルタイムで更新すべき情報が多く、上手く情報を管理しきれないと、「求職者への面接連絡に抜け漏れがあった」「求人企業のニーズにマッチしない人材を紹介してしまう」といったことになりかねません。

選考対応のスピードは成約率に直結します。「約1か月で内定まで出す」といったコンセプトのサービスでは、必然的に選考や求職者とのやり取りにスピード感を求められるため、より「最新情報を正しく把握できているか?」という点が重要です。

問題④ 入社後のフォローが「ゼロ」になっている

成約(内定承諾)が決まった瞬間に、多くのエージェントの「顧客管理」は終わります。しかし入社後のフォロー——「配属後の適応状況の確認」「早期離職の防止」「企業担当者への満足度確認」——をしっかり行えるエージェントは、次の求人依頼・次の求職者紹介につながる長期的な関係を築けます。


EMOROCOで「求職者レコード」と「企業レコード」を設計する

EMOROCO CRM Liteは、「顧客レコード」を自由に設計できるノーコードCRMです。人材紹介業では、「求職者」と「企業」という二種類の顧客レコードをそれぞれ設計し、両者を紐付けることで「二面管理」を一つのプラットフォームで実現します。

求職者レコードの設計

【求職者レコードの必須フィールド】

基本情報:
・氏名・生年月日・連絡先(電話・メール)
・現在の居住地
・現職の会社名・業種・役職・年収
・職務経歴の概要(テキスト)

求職者のニーズ(マッチングの核心):
・希望職種(選択式・複数可)
・希望業種(選択式・複数可)
・希望年収(下限・上限)
・希望勤務地(選択式・複数可)
・希望年収の優先度(年収最優先/仕事内容優先/ワークライフバランス重視)
・転職理由(選択式:年収アップ/キャリアアップ/職場環境/ライフイベント/その他)
・転職の緊急度(すぐ動きたい/3ヶ月以内/半年以内/じっくり検討)

価値観・キャリア観(深いマッチングのため):
・仕事で大切にしていること(テキスト:面談で引き出したナラティブ)
  例:「チームの雰囲気を重視。成果主義より協調性の高い職場を求めている」
・絶対に譲れない条件(テキスト)
  例:「リモートワーク可能であること。介護の都合で週2回は自宅勤務が必要」
・過去の職場でよかった点・悪かった点(テキスト)
・求職者の強み・アピールポイント(テキスト)
・懸念点・弱点(テキスト:正直に記録することがミスマッチ防止になる)

選考管理:
・担当エージェント
・最終接触日
・求職者の感情温度(ホット/ウォーム/クール/コールド)
・現在進行中の選考企業(企業レコードとの紐付け)
・選考フェーズ(面談/書類選考/一次面接/二次面接/最終面接/内定/承諾/辞退)
・内定辞退リスク(低/中/高)
・次のアクションと期日

入社後フォロー:
・内定承諾日・入社予定日・実際の入社日
・入社1ヶ月後フォロー実施日
・入社3ヶ月後フォロー実施日
・入社後の状況(順調/やや不安/要注意)

企業レコードの設計

【企業レコードの必須フィールド】

基本情報:
・会社名・業種・規模(従業員数・売上)
・本社所在地・勤務地
・採用担当者名・役職・連絡先
・取引ステータス(開拓中/初回商談済み/取引中/休眠)

採用要件(マッチングの核心):
・現在募集中の職種(複数可)
・採用したい人物像(詳細テキスト)
  例:「マネジメント経験5年以上。業界経験不問だが、BtoB営業経験必須」
・採用予算(年収レンジ)
・急ぎ度(今すぐ/3ヶ月以内/半年以内/じっくり)
・採用の背景(増員/欠員補充/新部門立ち上げ)

企業文化・職場環境(深いマッチングのため):
・社風・カルチャー(テキスト)
  例:「成果主義。若手でも実力次第で昇進できる風土」
・リモートワーク対応(フルリモート/ハイブリッド/出社のみ)
・残業時間(平均月○時間)
・採用担当者が語った「採用したい理由」(ナラティブ)
  例:「事業拡大期でマネージャー候補が急務。半年以内に10名採用したい」

取引関係管理:
・担当エージェント(RA:リクルーティングアドバイザー)
・最終接触日
・企業担当者との関係温度(深い信頼/良好/普通/やや冷え)
・過去の紹介実績(紹介した求職者レコードとの紐付け)
・書類通過率・内定率(データとして蓄積)
・次の求人開拓の優先度(高/中/低)

「マッチング」を仕組みにする——二つのレコードを「紐付ける」

EMOROCOのノーコード機能を使って、求職者レコードと企業レコードを紐付けます。

【紐付けの構造】

求職者レコード「田中太郎さん」
  ↕ 紐付け(選考レコード)
企業レコード「株式会社○○」
  → 選考フェーズ:二次面接
  → 紹介日:○月○日
  → 書類通過:YES
  → 一次面接結果:合格・次回最終面接
  → エージェントメモ:面接官の田中部長との相性が良さそう

複数の選考が同時進行する場合:
田中太郎さん ← A社(一次面接)
            ← B社(最終面接・内定待ち)
            ← C社(書類選考中)

この紐付けにより、「田中さんの今の選考状況を全部見たい」「A社で今選考が進んでいる求職者を全員リストアップしたい」という2方向の検索が、どちらも瞬時にできます。


ワークフロー自動化——「選考対応の漏れ」をゼロにする

人材紹介業は時間との勝負です。人材紹介業では複数の選考が同時進行で進んでいきます。どの案件もスピーディに面接日程を組むことが、成果を出すための重要要素です。

EMOROCOのワークフロー自動化で、選考プロセスの各ステージで必要なアクションを自動生成します。

【選考フェーズ移行時の自動タスク】

選考フェーズが「書類選考」に変わったとき
  タスク:「○○社 田中様 書類選考結果のフォロー(3営業日後)」
  内容:「書類通過可否を採用担当者に確認。
       通過の場合は面接日程の調整に即移行する」

選考フェーズが「一次面接完了」に変わったとき
  タスク①:「田中様 面接後フォロー(当日中)」
  内容:「面接直後に求職者の感触・感想を確認。
        志望度の変化・懸念点を把握する」
  タスク②:「○○社 採用担当者への結果確認(翌営業日)」
  内容:「面接官の印象・次のステップの確認」

選考フェーズが「内定」に変わったとき
  タスク①:「田中様 内定後の承諾意向確認(当日)」
  内容:「内定辞退を防ぐ最重要タイミング。
        他社の選考状況・承諾ブロッカーを全部把握する」
  タスク②:「入社1ヶ月後フォロー」を入社日から30日後に自動生成
  タスク③:「入社3ヶ月後フォロー」を入社日から90日後に自動生成
  タスク④:「○○社への次回求人ヒアリング」を入社日から60日後に自動生成

【求職者の感情温度変化のワークフロー】

求職者の感情温度が「クール」に変わったとき
  タスク:「【温度低下】田中様 転職意欲の再確認・フォロー」
  内容:「求職者の温度が下がっている。
        転職意欲が下がったのか・他社エージェントで内定が出たのか確認。
        早急に関係を温め直す」

最終接触から7日以上経過(選考進行中の求職者)
  タスク:「【接触途絶】田中様 現状確認の連絡」
  内容:「選考中にもかかわらず連絡が途絶えている。
        求職者の温度感と他社の状況を確認する」

【企業向けの定期フォローワークフロー】

取引中企業の最終接触から30日後
  タスク:「○○社 定期フォロー・新たな採用ニーズの確認」
  内容:「組織の変化・新たなポジションのオープン可能性を確認。
        良い求職者が来たら即マッチングできる準備をする」

過去成約企業(入社成功企業)の入社日から6ヶ月後
  タスク:「○○社 入社半年のご報告・次回求人の打診」
  内容:「入社後の状況報告とともに、次のポジションのニーズを確認。
        満足いただいている今が、次の依頼を得る最高のタイミング」

ダッシュボード設計——「今日動くべきこと」を朝5分で把握する

【人材紹介・採用支援 管理ダッシュボード】

【選考進捗サマリー(毎朝確認)】
→ 現在選考中の求職者総数
→ フェーズ別(書類/一次/二次/最終/内定待ち)の内訳
→ 今週アクションが必要な選考案件リスト

【緊急対応アラート】
条件①:「内定後×求職者の感情温度クール以下」
  → 内定辞退リスクが最も高い状態。今日中に求職者に連絡する
条件②:「選考中×最終接触から7日以上経過」
  → 対応が止まっている選考案件。競合エージェントに取られるリスク
条件③:「最終面接後×採用結果未確認(3営業日超過)」
  → 企業への結果確認が遅れている。急いで確認する

【マッチング候補の発見ビュー】
→ 新しく登録した求職者の希望条件で「取引中の企業」を絞り込む
→ 「転職緊急度:すぐ動きたい×希望職種:営業×希望年収500〜700万」
  で登録済み求職者を一覧表示し、該当する企業を紐付けて提案

【入社後フォロー管理】
→ 入社後1ヶ月・3ヶ月フォローが未実施の求職者リスト
→ 早期離職サインのある求職者の把握

【KPIダッシュボード(週次確認)】
→ 今月の新規面談数・書類通過率・内定率・成約数
→ 担当エージェント別のパフォーマンス比較
→ 「どの企業からの紹介が成約しやすいか」の分析

「入社後のフォロー」が次の案件を生む——CRM4.0的な長期関係設計

人材紹介のビジネスは、成約(内定承諾)で終わりではありません。

入社後のフォローを丁寧に行うエージェントが、長期的に最も多くの案件を獲得します。その理由は3つです。

理由①:企業から次の求人依頼が来る

入社した社員が活躍しているという報告を受けた採用担当者は、「また同じエージェントに依頼しよう」と思います。逆にフォローがなければ、「あのエージェントは紹介して終わりだった」という印象になります。

理由②:求職者からの紹介が来る

転職に成功して満足した求職者は、同僚や友人に「あのエージェントがよかった」と話します。入社後のフォローを受けた求職者ほど、この口コミの可能性が高い。

理由③:求職者が次のキャリアのときも戻ってきてくれる

3〜5年後の転職のときに、「あのときお世話になったエージェントに相談しよう」と戻ってきてくれる求職者は、最も質の高いリードです。入社後の関係を維持していることが、この「再来」を生む条件です。

「求職者がよい口コミを広めてくれる」「求人企業から継続依頼を受けられる」という状態を実現できるでしょう。

これがCRM4.0的な「顧客との長期的な関係設計」の人材紹介業における実践です。


EMOROCO CRM Liteが人材紹介業に提供する価値

CRMなら顧客情報を一元管理し、正確なマッチングを実現しやすくなるため、顧客満足度向上と事業拡大に貢献できるのが魅力です。

EMOROCO CRM Liteは、人材紹介専用システム(PORTERSなど)とは異なり、「求職者・企業・選考・入社後」のすべてを一つのノーコードプラットフォームで柔軟に設計できます。

EMOROCO CRM Liteを人材紹介業で使うメリット:

  • ノーコードで自社の業務フローに合わせた設計:自社のRA/CA分業体制・両面型・専門特化型に関わらず、フィールド設計を自由にカスタマイズ
  • 求職者・企業・選考の三層を一元管理:どの方向からもすぐに情報にアクセス可能
  • ワークフローで選考対応の漏れをゼロに:フェーズ移行のたびにタスクが自動生成
  • 入社後フォローの自動化:成約で終わらない長期関係管理が仕組みとして実現
  • 月1,500円/ユーザーのスモールスタート:コンサルタント3〜5名の段階では、1人あたりの担当候補者数・企業数が多くなりがちで、管理の属人化が業績のボトルネックになりやすいこの段階から低コストで導入できる
    EMOROCO CRM Lite 製品ページ

まとめ——人材紹介・採用支援 二面管理仕組み化チェックリスト

求職者レコードの設計:

  • 「希望条件・転職理由・緊急度」のマッチング核心フィールドが設定されているか
  • 「仕事で大切にしていること・絶対に譲れない条件」のナラティブフィールドがあるか
  • 「感情温度・内定辞退リスク・次のアクション」が更新されているか
  • 「入社後フォロー日」フィールドが設定されているか

企業レコードの設計:

  • 「採用したい人物像・社風・カルチャー」のナラティブフィールドがあるか
  • 「書類通過率・内定率」の実績データが蓄積されているか
  • 「次回フォロー日・取引関係温度」が管理されているか

選考管理の設計:

  • 求職者レコードと企業レコードが「選考レコード」で紐付けられているか
  • 選考フェーズ移行時に次のアクションタスクが自動生成されるか
  • 「内定後×感情温度クール」のアラートが設定されているか

入社後フォローの設計:

  • 入社1ヶ月・3ヶ月後のフォロータスクが自動生成されるか
  • 入社6ヶ月後の「企業への次回求人打診タスク」が自動生成されるか

関連記事:[ITベンダー・SIer向けにEMOROCO CRM Liteのカスタムフィールドで商談の競合・決裁者・リスクを可視化する方法]

関連記事:[経営コンサル・研修会社向けにEMOROCO CRM Liteの履歴管理でクライアントとの対話を組織資産化する方法]

 

この記事を書いた人
松原 晋啓

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アクセンチュア等でSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はCRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業のCRM導入や事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じて"真の"CRMの理念の普及に努めている。
アクセンチュアでCRMを学び、マイクロソフトでCRM2.0(プラットフォームドCRM)を世界的に提唱したCRMの正統後継者にして現役最長のCRM専門家(CRM診断士/CRMドクター)
その後もCRM3.0(パーソナライズドCRM)、CRM4.0(クリエイティブCRM)を提唱するCRMの第一人者としてインタビューを受けたり、国内外で多くの賞を受賞している。
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