第8回|CRMはなぜ失敗してきたのか?― CRM 1.0から3.0への進化と、その限界 ―
「CRMはうまくいかない」と言われてきた理由
CRMはこれまで、何度もブームになってきました。
しかし現実には、
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▷高額なシステムを入れたのに活用されない
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▷入力が面倒で形骸化する
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▷データは溜まるが成果に結びつかない
という声が後を絶ちません。
ある調査では、
CRMの失敗率は8割以上 と言われることもあります。
なぜ、これほどまでに失敗してきたのでしょうか?
答えは、
CRMの進化段階を正しく理解していなかったから です。
CRM 1.0|顧客台帳のデジタル化
第一世代のCRMは、
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▶顧客リスト管理
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▶名刺管理
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▶商談履歴の記録
といった「顧客台帳の電子化」でした。
これは業務効率化には貢献しましたが、
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▷顧客理解は深まらない
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▷部署間で十分に共有されない
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▷戦略に活かされない
という限界がありました。
つまり、守りのITの延長線上 にあったのです。
CRM 2.0|統合とプロセス管理
次に登場したのがCRM 2.0。
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▶営業(SFA)
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▶マーケティング(MA)
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▶カスタマーサービス
を統合し、プロセス全体を管理する仕組みです。
これにより、
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▷顧客接点の可視化
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▷部門間連携
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▷データ統合
は進みました。
しかしここでもまだ、
扱っているのは「形式知(明示的データ)」のみ
という壁がありました。
CRM 3.0|パーソナライズドCRM
大きな転換点は、
AIやBIが実用化された2016年前後です。
CRM 3.0では、
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▶属性データ
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▶購買履歴
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▶行動ログ
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▶Webアクセス
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▶SNSデータ
を組み合わせ、
顧客一人ひとりを“個客”として理解する
ことが可能になりました。
ここで初めて、
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▷クロスセル・アップセルだけでなく
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▷育成
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▷ファン化
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▷LTV最大化
といった戦略が本格化します。
それでも失敗する理由
では、CRM 3.0が登場したのに、
なぜ失敗は続いたのでしょうか?
理由は大きく3つあります。
① 戦略とITが分断されている
CRMが“営業ツール”のままでは、経営とつながりません。
② データが分断されている
部門ごとにデータが散在し、統合されていない。
③ 暗黙知が取り込めていない
顧客の感情・文脈・背景といった
“インプリシット(暗黙知)”が扱われていない。
つまり、
CRMを入れたが、思想が変わっていない
これが最大の失敗要因です。
形式知と暗黙知の壁
これまでのCRMは、
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▶年齢
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▶性別
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▶購買履歴
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▶問い合わせ回数
といった「見えるデータ」を扱ってきました。
しかし実際の購買決定の多くは、
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▷共感
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▷信頼
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▷体験
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▷感情
といった“見えにくい要素”で行われます。
この壁を越えられなかったことが、
CRM失敗の根本原因でした。
CRMは“管理”から“理解”へ
CRM 1.0〜2.0は「管理」中心。
CRM 3.0は「理解」への第一歩。
しかし今求められているのは、
顧客との関係性そのものを設計すること
です。
ここからさらに一歩進んだ概念が、
次回扱う CRM 4.0(クリエイティブCRM) です。
CRMは未完成の戦略である
重要なのは、
CRMに“完成形”はない
ということです。
市場が変われば、顧客も変わる。
だからCRMは、
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▶導入して終わり
ではなく -
▶進化し続ける経営基盤
でなければなりません。
次回予告|CRM 4.0 ― クリエイティブCRMという思想
次回はいよいよ、
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▷CRM 4.0とは何か
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▷顧客を「分析対象」から「共創者」へ変える発想
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▷なぜ関係性そのものが価値になるのか
を解説します。
