モデル駆動型(Dynamics 365)アプリのリリース チャネルの既定値の変更(2024.10~)
みなさん こんにちは。
今回は、モデル駆動型(Dynamics 365)アプリの更新(アップデート)に関して、重要な変更がありましたので記事にしました。
アプリの更新の基礎知識
Power PlatformやDynamics 365(on-pre版を除く)は、SaaS製品のため、サービスを提供するMicorosft社により、アップデートが実行されます。機能や操作方法に変更のない、小型のアップデートは、定期的に予告なしで実行されています。ユーザーとっては影響はなく、ほとんどの場合気付きません。
それに対して、機能の追加・廃止やUIの変更など、ユーザーに影響が大きい大型アップデートは、「リリース サイクル(release wave)」と呼ばれ、変更点の事前予告、プレビューを経てリリースされます。通常は1年に2回実施されて、「Wave1・Wave2」や「春のメジャー リリース・秋のメジャー リリース」などとも呼ばれています。
Power PlatformやDynamics 365のエンジニアは、この6ヶ月サイクルに合わせて、アップデートの準備をするのが通例になっていました。
更新への対応スケジュール
あくまで、私の知る範囲での例ですが、エンジニアは以下のスケジュールで対応します。
wave2の場合、7月(Wave1の場合、1月)頃から対応が始まります。
- 7月(1月) : MS社からアップデートの内容が発表されるので、情報を収集します。
- 9月 (3月):プレビュー(機能を有効化すれば試せる)状態になるので、開発環境で、影響の検証を検証を行います。
- 11月(5月):影響を受ける、カスタマイズやコードの修正を行います。ユーザーへの周知や教育をおこない準備します。
- 3月: (9月)リリースが適用され、対応が完了します。
特に、ユーザー数が多い環境や多数のカスタマイズを実施している環境は、変更による影響が大きいため、十分に時間をかけて情報収集・検証・準備を行う必要があります。
更新チャネルの既定値が変更されました(6ヶ月→毎月)
2024年10月に、この対応スケジュールに大きく影響があるアップデートがされました。
既存のモデル駆動型アプリを毎月更新する | Microsoft Learn
一部引用します。
>ビジネス バリュー
>既存のモデル駆動型アプリは月次リリース チャネルを使用するようになるため、毎月更新できるようになります。 月次チャネル リリースにより、アプリは製品が提供する一般提供の最新機能をできるだけ早く利用できるようになります。
機能の詳細
>2024 年リリース サイクル 1 では、Power Apps 環境の既存のモデル駆動型アプリのアプリ リリース チャネル フィールドの自動の動作が月ごとのチャネルに変更されました。 作成者または管理者は、より低いリリース頻度が必要な場合に、半年ごとのチャネル オプションを選択できました。
チャネルとは、更新の頻度のことです。
- 月ごとのチャネル :月に 1 回、その月の最初のリリースと、その後は段階的に毎週ロールアウトされます。
- 半年ごとのチャネル:年 2 回、4 月初旬と 10 月初旬に開始され、その後毎週段階的に展開されます。 注)影響の大きい変更は、サイクルの最後の時期にまとめてリリースされます。
この、更新チャネルの設定の規定値は、これまで「半年ごと」でしたが、2024年10月から、規定値が「月ごと」に変更されました。つまり、設定を変更しない限り、影響の大きいアップデートが毎月(年12回)適用される状態になりました。
影響と対策
この変更で、実際に影響が出始めており、2024年10月に、月ごとのアップデートが適用されたお客様から、お問合せをいただきました。具体的には、下記の記事で取り上げた、【新デザインを試す】ボタンが表示されなくなりました。
Dynamics 365アプリ (モデル駆動型アプリ)の新デザインでのテーマをカスタマイズする方法(2024)
こちらについては、対処方法があるので、機会があれば記事にしたいと思います。
確かに、「月ごと」の更新は、最新の機能を、いち早く導入できるメリットかあります。ですが、業務アプリが、頻繁に更新されることはデメリットにもなり得ます。
十分に検証をしてから更新をしたい場合は、更新チャネルで、「半年ごと」を指定する必要があります。設定方法は、以下のとおりです。なお、設定には「システム管理者」などの管理者権限が必要です。
1.Power Platform 管理センターを開きます。
2.[環境] > 対象の環境を選択 > [ 設定] を選択します。
4.[モデル駆動型アプリのリリース チャネル]を[半年ごとのチャネル]に変更します。
なお、チャネルは後から[自動][月ごとのチャネル]に変更することも可能ですが、適用済みのアップデートは、チャネルを変更しても戻りません。
例) 11月1日に、[月ごとのチャネル] → [半年ごとのチャネル]に変更しても、10月のアップデートは適用済みのままです。
さいごに
この、アップデートのルール変更は、特に、モデル駆動型(Dynamics 365)アプリを長年利用しているユーザーにとっては、重要な変更だと思うのですが、広く知られていないと感じたため、記事にしました。ぜひ、皆さまの環境の設定を確認してみてください。そして、もしお困りごとがあれば、ぜひ、アーカス・ジャパンへお問合せください!