現在の日本における
ITの実態
日本におけるIT投資の現状
日本のIT投資は、業務効率化など「守りの投資」にとどまり、「攻めの投資」を通じて顧客開拓や新製品開発にITを活用している米国の後塵を拝しています。ITサービス以外の事業者も、積極的に最先端のテクノロジーやIT人材を取り入れ、ITシステムのポテンシャルを最大限に引き出すビジネスモデルへと転換していかなければ、グローバルな競争に勝つことは困難です。
我が国では業務効率化やコスト削減といった「守りのIT投資」が多数を占めるのに対し、米国では製品やサービスの開発強化といった「攻めのIT投資」が多いという調査も存在する。また、そもそも我が国のIT技術者は100万人程度であり、これは米国の3分の1の水準に止まる上、我が国ではその多くがIT企業に在籍し、多くがITのユーザー側企業に在籍する米国とは対照的であることもその要因と考えられる。
2015年度版ものづくり白書 抜粋「攻めのIT投資」とは
企業のIT活用領域を「Bimodal IT:バイモーダルIT (2つの流儀のIT)」で定義されます。
Bimodal IT:
バイモーダルIT (2つの流儀のIT)とは…
IT調査会社のガートナーが2015年に提唱した考え方で、コスト削減や効率化を重視するSystem of Record (SoR)向けの「モード1」と、柔軟性や俊敏性が求められるSystem of Engagement (SoE)向けの「モード2」という“2つの流儀”を使い分ける手法のこと。
多くの日本企業が「モード1」のITシステムへの投資に特化しています。これは、既存業務のIT化によるコスト削減など、費用対効果の予測が容易で投資しやすい(「守りの投資」)ことに起因しています。
一方で、圧倒的な成長を遂げている企業は、現状存在しないサービス・付加価値をITシステムによって実装する「モード2」の投資によって、他社との差別化を実現しています。このモード2は、費用対効果の予測が困難であるところ、データによって検証するサイクルを加速的に回す(「攻めの投資」)ことのできる、IT運用管理部門を構築する必要があります。
では、具体的にこの「知識創造領域」にIT投資するとはどういったことを指すかをご説明します。